京都北山 ミニ縦走の愛宕山 ’16.4.20

 高山寺-松尾峠-榧ノ木峠-ウジウジ峠-水場-龍ノ小屋-竜登口-P811-愛宕三角点-愛宕神社-西尾根-大岩-米買道-落合-六丁峠-小倉山-阪急嵐山

 今回は低山ではあるが、ほぼ20Kのミニ縦走であった。何度も歩いているコースではあったのだが、とりわけ上記の中の北から南に延びるP811の尾根後半は初尾根であって期待していたのだが、前半よりも後半の方が踏跡がそれなりにあって予想していたほどではなかった。しかし、全体としては登り始めから愛宕三角点地までは誰一人会わずに貸し切りの山歩きができた点ではしてやったりの思いであった。

 さて、高雄の高山寺(9:30)から取りつき松尾峠までは4日前に降りた道であり語るに及ばない。途中林道が出てくる所までほぼ1時間で、東側山間の疎林の中を愛宕三山を探しながら歩くことくらいですることはない。幅広い林道歩きが始まり、日当たりよくて辛い。だが、龍ノ小屋までのほぼ6Kの稜線林道歩きとなるのは覚悟の上であった。それにこの林道左右にも目立った植物は足を止めることもなく、めぼしい花も木も眼につかないのが面白くない。時期的にはやむを得ないというものだろう。それよりも、愛宕山塊の松尾峠、榧ノ木峠、ウジウジ峠にダルマ峠などへ北側から谷筋道をしばらくぶりに歩いてみるのも一考であろう。などと瞑想しながらの林道歩きとなった。

 明るい林道歩きもぼつぼつ飽きてきて1時間半たらずで、元気に水の湧き出る雲心寺の水場に着いた。木陰のもとでお昼としよう。愛宕山塊はこのような水場が各所に湧き出るために、そう多くの用意はしないで歩けるのが有り難い。
 それに今日はここの名水汲みにやってくる車もなさそうだ。ほとんど名水汲みの先客者に出会うのは珍しくないほど姿がある。しかし、今日のように、ここで静寂の時が過ごせるのはラッキーというものであった。なお、こちらの名水は通年を通して水の枯れることなくこんこんと湧き出ている。            

 そして、半時間ほどで減ったボトルに水を補充して腰を上げた。そうそう、展望を見ようとすぐそこには隠れなく重なり合う大パノラマが広がる地であった。誰に邪魔されることなく、心行くまで都富士の比叡山などを眺めていた。これが至福の時というものだろう・・・

 
一番手前の尾根の林道を歩いてきた。峰山の右に沢山、最奥は比叡の山並み 

 この後もう少し林道歩きとすれば、ほどなく龍ノ小屋が静かに待っていた。こちらの管理人も近年ほとんど姿を見ないがお元気だろうか。イや、当方の歩きが土日でなく平日多しの状態のために出会わないのだろうと思い直した。クリンソウの目出しは小さく、花咲くのはまだこれからのようだった。

 さて、この後からが山道となり、竜ケ岳と芦見谷の登山道を分ける通称「竜登口」に立った。だが我が足はこの二つとも向かわない。すぐ左の急な斜面を岩をめがけて取りつくのだ。すなわちP811を持つ芦見谷の東尾根である。これを当方はそのP811の一つ北の小ピークに「花園伊藤」との境界石?が埋めてあるために花園伊藤尾根と当方の勝手な呼び名として歩きを楽しむのだ。

     
Ca800地点に堺界石埋まる    その石拡大、画像クリック

 この尾根には物好きな人も居るようで、テープがちらほらとついているが、小さな頭を踏めばすぐに地形図にも表記あるP811地点にやってきたが、ここまでの踏み跡はそれらしく追うことができるくらい歩かれているようだった。以前このピークから直に東へ振ってサカサマ峠へ降りたことはあるのだが、この後の南へ直進は初であった。
 だが、ここまでの路よりもさらに濃いトレースがついていることにびっくりポンであった。せっかく地図読みしようとやってきた甲斐はなかったのだ。もちろん、この時期だから山野草はなく、樹木もコバノミツバツツジの開花以外に皆無であったが、こういう歩きも静かな歩きの期待ができる裏愛宕のひとつだと納得としよう。

 結局、竜登口から花園伊藤尾根を4~50分で愛宕三角点地へ着くと、男性がゆったりと休憩中であった。本日初めての口を利くこととなって、どこから登ってきたの・・?、などといろいろ聞かれるものだから、心ならずも20分ほども座ってしまった。どうやら退職して山歩きを初めたとのことで、山に興味が出始めたような感じであった。話しぶりからほとんど単独行のようだが、慣れるまで初めの内は一人歩きはあまりよくないですよと自らの単独行を忘れて話す始末であった。


愛宕山三角点地

 なかなか質問攻めが終わらないようなために、潮時だろうとこちらから腰を上げさせてもらい、神社(ストーブ小屋前の温度計は12度)にお参りしてから、水尾分かれ下の西尾根から大岩へ下山、その後は久しぶりに落合まで米買道を下る予定通りのコース取りとした。
 もちろん、荒神峠から少し下には水場があることも知っている。こちらには椿の水とお地蔵さんがあるのだ。古道を忍ばせるこちらの水場も「今日も元気だタバコがうまい!」ではなく、湧き出る水の美味さも確認だった。

 大岩からほとんど下り道のために40分強ほどで落合の潜没橋、ここは三年前の台風18号での大被害で、この一帯も大荒れ状態であったのだが、今では元通りに修復されてきれいになっている。しかし、米買道そのものの被害は修復まで手が回らないようで、若干の悪路個所は残っているのは致し方あるまい。

 
落合の潜没橋 

 感じることはどこの谷筋道を歩いても、時期的な面からかもしれないが、山野草の花はもちろん葉そのもののかけらも見当たらず、山の斜面にも青さはほとんどなく、茶褐色の枯れ木であり丸坊主状態の様相が心痛み、自然を楽しむエコツアー的な山歩きを楽しみたい向きには、どうにも居た堪れない気持ちが残念である。それにしても鹿の食害はなんとかならないものだろうか。

 そして舗装路へ落合橋手前から六丁峠まで急坂の連続であったが、これまた何度も上下しているので嵐山高雄パークウェイ沿いから小倉山へと取ろう。こちらもバックに山上ケ峰の頭を見せてくれるくらいが見どころだろう。右手に保津川下りの舟を見やりながら、大河内山荘沿いから亀山公園、そして雑踏の嵐山渡月橋より中ノ島公園でいつものとおり一服をいれて、本日歩いたほぼ20Kのミニ縦走のピークであった愛宕山を振り返るのであった。

 古いガイドブックにも登山口に愛宕道と表記あるのは北桑田地方の人々はこの道を通って愛宕へお参りをしたとあり、現在の山と高原地図にも「愛宕裏参道」との表現も残っているのだ。もちろん、当方は7月末の千日詣り以外は愛宕表参道など歩く気も起きないが、「裏参道」というこの裏悲しい響きに引き寄せられて、総じて静かな裏愛宕が楽しめる数ある北山の峠道を目指したいなと考えるのであった。

 本日出会った花はそんなになかったが、中でもボタンネコノメソウがここにくればイやというほど見られることが分かったことが収穫の一つであった。また樹木はマルバアオダモ、ウワミズザクラ(こちらは高木で撮れず)が満開で多く見られた。また、ムシカリはういういしく咲き初めであった。

 
ボタンネコノメソウ 

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