川西 稀に見られるユクノキ一庫ダムに咲く ’16.6.10
6月2日に「珍しいユクノキのつぼみが膨らんで、そろそろ花が見られるようになりました。」と植物に詳しい方からの知らせが届いた。お~ユクノキか、それは珍しい樹木だ。ぜひ見てみたいと川西方面の知り合いにその龍化の吊り橋なる場所を調べていただいた。すると「本日6日に行ってみたが、その吊り橋あたりで白く香りのいい花がきれいに咲いていたヨ・・」との連絡があったのだ。ところが、当方は山やら雨やらで、バタバタしている間に、最初の連絡から1週間が過ぎてしまった。
これはヤバい!、と急遽天気のよい10日に出かけてみたのだが、やっぱり失敗であった。それは花がもう終盤となっていたのだ。それに感じとして、えらく咲いている様子が寂しいなと思って山の斜面を眺めていると、そこへ「4年前に比べると全然少ないですね。」と声がかかった。
同じように植物好きな方がやってきたのだ。その方によれば、「4年前は吊り橋正面の山肌には、あたりが真っ白に見えるほど、ほんとうにあたかも雪が降り積もっているように見え、あちこちにユクノキの花が見られたので、そろそろ、4年もたてばまたいっぱいの花が咲いているだろうとやって来たのだ。」とのことであった。
よくよく調べれば、ユクノキの花は蕾から開花はすぐに咲くといい、花が咲けば2~3日で散りだしてしまうというではないか。それに開花は毎年は咲かなくて、数年に一度、いや、3~4年毎とか、5年に1度しか咲かない樹木だとか、いろいろな情報があるのだ。いずれにしても山歩きの人がこの種に出会えるのは相当の幸せ者であるというくらい珍しい樹木花ではなかろうか。
この樹木はマメ科フジキ属のユクノキ(別名ミヤマフジキ)といわれ、そのフジキと酷似する樹木である。そして両者が同時期に咲く場合があり、そんな時には遠方からではどちらの種かは、そっくりなために同定はできない。両者はいずれも大きくなれば20mほどの高さにまで成長するといわれ、斜面に生えるその場所までは到底近寄ることも不可能状態の感じであった。
ところが、今回は下の方に生えて、高い位置に走る林道の高さに枝を伸ばしてくれていたために、幸運にも枝に手が届いて、葉だけが撮れた訳であったのだ。これでもいかにもラッキーであった。が、しかし、肝心の手の届かない花そのものは、ほぼ終盤であり、やっぱりその樹木は手の届かない高値の樹木であったことは違いない。
以上のようなことを知っていただき、以下の画像を見ていただこう。
旧国道に花びら落下で見上げるも高すぎて・・ | そこで、花びらアップ だが・・ |
橋の上から5mほどと遠い | これも遠い、なぜもっと近くで咲かないの・・ | |
最も近いユクノキの花、葉は強風でめくれる | 龍化の吊り橋から左にユクノキ |
表は無毛とあるも遠くてそこまでは未確認 | 葉裏は淡緑色ではなく、粉白色 |
ユクノキとフジキの区分点を見てみよう。ただし、小托葉は落下が早く、100%ついて残っているものではないため、いつまでも同定ポイントとはならない場合もある。なお、ユクノキに初めて出会ったのは4年前に余呉の山歩きの中でしたが、その記事はこちらからご覧ください。
小托葉 | 小葉の測脈 | 葉裏 | 冬芽 | 側脈の伸び方 | |
ユクノキ | 無 | 13対~15対 | 粉白色 | 黄褐色におおわれ裸 | 葉の縁まで届くか、届かないまでも直前まで行く |
フジキ | 小葉基部に有り | 8対~13対 | 淡緑色 | 白い膜質の袋に包まれる | 届かず、分かれて隣の側脈と合流する場合も多い |
続いてわずかではあったが、山野草の残花が見られた。
ギンレイカ(サクラソウ科)花と実 | ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科) | |
ツメクサ(ナデシコ科) | ヤマハタザオ(アブラナ科) | ヤマアジサイ(アジサイ科) |
木本類も少し
キササゲ(ノウゼンカズラ科) | コクサギ(ミカン科) | キブシ(キブシ科) |
ヤマガシュウ(シオデ科) | テイカカズラ(キョウチクトウ科) |