金ピラ峠から蓬莱山 ’16.6.27

 JR蓬莱駅-八屋戸-金毘羅神社-登山口-金ピラ峠-蓬莱山-小女郎ケ池-小女郎谷-薬師ノ滝-JR蓬莱駅

 そろそろ、夏山がチラついてくるシーズンとなってきた。生半可なハイクから本格登山にギァチェンジが必要である。そんなことからまずは長い歩きときつい急登を持つ金ピラ峠ルートより蓬莱へのボッカ訓練ともどもアルプストレーニングをやろう。

 月曜日の梅雨の晴れ間であり、人の姿は皆無であろうとJR蓬莱駅9:25発で、肩に食い込むザックを友にガツガツ歩きのスタートである。R161の八屋戸信号から左折すれば北へ上がるばかりの道が続くのだ。そして大分上の方まで歩いた。すると草むらへヒオウギズイセンの咲き初めが目についたのが嬉しい。ヤブカンゾウやノカンゾウはこれまでからよく目にしうるのだが、こちらヒオウギズイセン(アヤメ科)は山人にとっては比較的珍しい種であろう。と言うより園芸種気味ではなかろうか。


ヒオウギズイセンはこれからが咲く時期だろう

 途中40歳前後の男性が「これからマウンテェンバイクを担いで蓬莱へ登り、坂下へ下ります。」とマイカーを置いて準備しているのに出会った。上には上がいるものだとびっくり仰天であった。こちらは、さすがに舗装路歩きも暑さが追い打ちをかけるが、何とか大きな大堰堤あたりまで上がってきた。そこには「野離子川」と看板が立っている。

 ここを通るたびに思い出されるのは私の姪である「のりこ」であった。年若くして嫁いだ長姉の長女であるのが、その「のりこ」であったのだ。末っ子の自分と五つ違いであたかも妹のように、年端もいかない頃は遊びあった仲なのである。
 爾来、永らく音信が途絶えていた。その後、10年ほど前に他界した姉であったが、出会ったその時以来「のりこ」には、またまたご無沙汰が続いている。元気でいるのだろうか、と久々にメイを思い出させてくれた「野離子川」の立て看板前で一瞬足が止まって、遠い彼方の幼時における「のりこ」を独りぼっちで思い描いてたじろいているのであった。そうだ、帰ったらカミさんの前で「のりこ」へ電話で声を聞こうと思い立っていた。

 しばし、郷愁に浸った自らに、その「のりこ」より、「まだまだ登りは続くだろう。怪我しないように頑張って歩いてネ!」と励まされたような気がしたのだ。そしてしばらくで金毘羅神社へ駅から45分で着くことができた。ここで上方にある神社鳥居へ向かって「のりこ」の幸せをまずお祈りし、さらにこちらの本日の安全祈願としよう。きっと金毘羅様も願いをお聞きいたけることだろう。そしてそのすぐ先で金毘羅名水地でしっかり給水であった。

     
 金毘羅神社   神社から5分もかからず金毘羅名水 

 名水地から10分少々で、ようやくの登山口であった。ここまでも舗装路とはいえ、落石が方々に転がる道が続いていたので、結構歩き辛い区間でもあったが、そうはいっても山道よりはましであった。この登山口(10:40)からがいよいよ急登となって汗みどろとなっていると上から高齢者が単独で悠々と歌を歌いながら降りてこられた。聞けば「ここは裏山でいつも歩いているのだ、今日も蓬莱ピストンだ、下に車があっただろう。駅からでなく車で楽しているから・・」と笑って降りていかれた。達者な登山者はいくらでもいるものである。自らもアーでありたい。ところでマウンテェン・・の若者はどうしているのだろうか、一向に追いついてくる様子はない。結局の最後地の小女郎池までその青年には会わず仕舞いであったのだが・・。

 そして、うす暗いあたりだっただろうか、バイケイソウが咲いていた。比良でこの種が咲くのは他の地では知らない。ここでも花観察であった。撮ったのはいいが帰宅後の確認でほとんどボケているのには泣いてしまった。近頃よほど目が悪くなっているのだろうか。もちろん、デジも腕もダメなのは承知の助なのだが・・。


比良で咲くバイケイソウ

 こちらは、さらに石ゴロが多く出てきだした道ばかりで、人のことは気にしていられない。でもガシガシ歩いて登山口から40分で金ピラ峠(11:20/30)であった。ここにはゴンドラ駅からの道が合うする三叉路でもあるのだが、ここで行動食タイムとしよう。
 さすがにシャリバテ気味となっていたので、しっかり腹につめたが、10分ほどで腰を上げて進めば、単独の男性が一人、そしてさらに若いアベックが降りてきた。月曜日だというのに若者に出会ったが、それぞれ余裕がないのか、最初に出会った高齢の方みたいに、小話をするようなことはなかった。もちろん、こちらも急坂続く中のためにそのような力は出ない区間であったとしておこう。

 やがて、どうにか青空が見えてくれば、もう芝生の先には蓬莱山(1174.2m、1等三角点日本300名山)へ到着(11:50/12:10)であった。山頂芝生には2グループ4人しかいない静かな頂である。すぐ下の山の神休憩所でお昼としよう。武奈やコヤマノ岳を眺めながら、心ゆったりと山頂のひと時を、二時間半ほど歩いて静かに味わうことができた極上の登山となったのである。

 
 蓬莱山三角点より武奈、コヤマノを見る

 この後の下山は、予定通りに小女郎ケ池に立ち寄っていこう。小女郎峠は後にして、笹原のP1101から池へショートし、水を満々と湛えた池には先行者二人が食事中であった。ごそごそ歩けばまだコウライテンナンショウが咲き残っていたのが珍しい。池と蓬莱をバックのマムシグサであった。それにしてもマウンテンバイクの青年はこちらが山の神休憩所で食事中に追い越していったのだろうか。無事に坂下道を降って行っていることだろう。

 さぁ、我が足は小女郎峠(12:40)から蓬莱駅へと下ろう。最初のうちはやや足元不安定だが、そのうちに落ち着いた谷筋歩きとなってくるので心配はない。珍しき花などひとつも咲いていないので、どんどん下ろう。やがて薬師ノ滝(13.35/40)にてミストシャワーで存分に火照った身体を冷やし、水を頭からぶっかけて、オー気持ちいい~・・。

 「魚と樹木の名前が同じ種」

 滝見が終われば、すぐに簡易舗装路となってきた。ウツギ類の開花最終ランナーでもあるノリウツギの咲き初めが瑞々しく咲くも、やや離れたところで残念だった。クマシデの若い果実が下がって風に揺れている。さらに下ればゴンズイ(ミツバウツギ科ゴンズイ属)がいっぱいの果実を下げていた。秋の中で独特の果実の姿で知られる樹木である。何もないのでこのあたりで植物小話としよう。

         
 ゴンズイの葉は2~5対の奇数羽状複葉   秋には赤く熟し、黒い光沢の種が出る    花時は地味だが、実時は目立つようになる 

 さて、そもそもゴンズイの名の謂れだが、材がもろくて役に立たないので、同じように役に立たない魚のゴンズイの名がつけられたという説があるらしい。では、そのように「魚と樹木の名前が同じ種」はどんなのがあるのだろうか。

①カマツカ  ②ゴンズイ  ③キハダ  ④ハギ  ⑤サワラ  ⑥ヒイラギ  ⑦タラ  

といわれている。この内の①だけが川魚であり、その他②以下は海に住む魚といわれているのだ。

 こんな話を思い出しながらJR蓬莱駅着(14:20)だったから、小女郎峠から1時間40分で下山だったようだ。下りは登りと違ってやや樹木観察したために時間がかかったようである。いずれにしても登りと同じような時間で歩けるよう、さらなるアルトレを繰り返すことが必要であろう。それにしても梅雨があがることを祈るばかりである。

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