比叡山に咲く花 ’17.8.27

 今回のお目当てはラン科のミヤマウズラが咲いていないだろうかと出かけたのだが、こちらの山域ではまだまだ葉の展開が始まったばかりのようで、花茎すらまったく姿なしで、これならこの先一週間いや、10日いやいや、二週間は後の開花ではなかろうか。去年は9/3に登っているが、その時もう花は終盤だったのだが・・。もっとも昨年の花はすごく開花が早かったのだから、今年はその反対のようだ・・?。

 そんなことから、本日取り上げる花は何かな・・、と考えながら歩いていると、近年あまり目にしなくなった花と勝手に思っている「紫褐色の筋のついたタカサゴユリ」が日当たりのよい草地に5株ほど咲いていたので、この花についてふれてみたい。

 タカサゴユリは台湾原産の帰化植物であり、観賞用として大正時代に導入されたようだ。5~6月に咲くテッポウユリは日本では沖縄に自生することで知られるのだが、テッポウユリによく似た花を荒地や道路の法面などに花期は7~9月に咲かせ、除草されずに広がっているようだ。別名は葉が細いことからホソバテッポウユリの名もあるという。この花は↓左のように花の外側に紫褐色を帯びている模様が特徴であろう。しかし、この紫褐色の筋は時としてまったくない個体もあるらしいから話はややこしい。

 ところが、近年ではタカサゴユリと純白のテッポウユリとの自然雑種が多く見られるようになり、中間的な姿をしている個体もあって変異があり、シンテッポウユリの名で知られている。だが、昨今ではこの花を栽培し販売している農家もあるらしい。それは神戸リリィとも呼ばれ、その花は葉が細く、花被片は薄いのが特徴のようだ。しかし、自然の中で咲く真っ白なシンテッポウユリはテッポウユリとタカサゴユリの交雑種といわれ、その花の葉が広く、花被片は分厚いとの違いがあるとのことだ。

     
本日見た本来のタカサゴユリ    こちらは雑種のシンテッポウユリ* 8/9

 * 従って、↑右画像の花は販売されている「神戸リリィ」なのか確認は出来ていないので、あるいは自然に生えてきた「シンテッポウユリ」なのか、今後いずれの葉の様子などかの観察をしたいものである。


 さて、続いて本日見た山野草類であるが、夏花と秋花の端境期のために、時期的にはそう多くの花たちを楽しむことは可能ではないのは致し方ない。早く涼しさの中での野草巡りがしたいのだが、もう少しの辛抱としよう・・。ちなみに↓画像上段と下段右の4種はどうやら鹿の忌避植物のようで、大繁茂となっている。 

       
 マツカゼソウ(ミカン科)満開  アケボノソウ(リンドウ科)蕾  ナガバヤブマオ(イラクサ科)満開  コアカソ(イラクサ科)満開
       
 クサアジサイ(アジサイ科)終盤 オタカラコウ(キク科)咲き初め   イヌトウバナ(シソ科)残花  ダンドボロギク(キク科)長く咲く

 


 木本類の花や果実を見よう。

 まずはつる性のボタンヅルとセンニンソウを同定してみよう


 この種は山歩きの中で、花そのものはほとんど見分けがつかないほど酷似しており、花好きな方でも、「う~ん、どっちやろう・・?」との声が必ず出る種であろう。植物の同定ポイントは種によって色々な点があるのは致し方ないのだが、この二種も花姿、葉の様子、さらには果実の色あいや姿等だけでなく、細かくいえば区分点は他にもいろいろある。
 しかし、一番簡単で分かりやすい同定ポイントを知れば、それはそれで、山歩き時でも同行者と共に楽しみを倍加させること請け合いであろう。これらの花のその区分点は次のとおりである。それは花からでなく、葉の違いを確認することが、簡単で確実な同定ポイントではなかろうか。

1.ボタンヅルの葉は分かりやすく表現すれば、葉の縁が切れ込んでおり、いわゆる粗いギザギサがあることだ。この葉がボタンの葉に似ることからの名前といわれる。

2.センニンソウの葉は前者と異なり、葉の縁のギザギザがないことであろう。ちなみに名前の謂れは果実には長い白い毛があり、これを仙人のヒゲに見立てたことからこの名がついた。なお、両者とも有毒植物なので、注意を要することも知っておきたい。

     
ボタンヅル(キンポウゲ科)満開    センニンソウ(キンポウゲ科) 8/14 

 他に木本類の花や花芽に果実などを見よう。

     
  シラキ(トウダイグサ科)果実酒適 エゴノキ(エゴノキ科)毒性植物  ミツバウツギ(ミツバウツギ科)完熟黒
     
 アブラチャン(クスノキ科)実を割れば・・  ダンコウバイ(クスノキ科)実完熟黒色 カナクギノキ(クスノキ科)雌花だけ・・ 

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