比良 武奈ケ岳 ’18.1.15 晴後曇

 JR比良-正面谷-金糞峠-南尾根-コヤマノ岳-武奈ケ岳-パノラマライン-八雲ケ原-北比良峠-ダケ道-大山口-JR比良

 今年初の武奈へ登ってみようと出かけた。歩き始めた(6:35)ころには一面の青空広がって堂満に釈迦などの頭も見事だ。湖西道路あたりまで上れば日の出が湖東方面の雲間から見せてくれる。今日こそ素晴らしき武奈ケ岳が待ってくれることだろうとハイテンションで正面谷から取りつこう。。

     
堂満に釈迦などの頭が見下ろす  日の出が辛うじて見え~  大山口から今日は左へ 

 14日の早朝までの積雪で、その後は今朝がたまでは雪は降ってはいなかったのだろうか。足元は昨日の踏み跡の上に今朝の数人で既にきれいなトレースとなったのだろう。お陰で歩きやすいのだが、最初の水場で早めのアミノバイタルを喉へほうり込もう。
 その後すぐにかくれ滝を覗いてこよう。そして、青ガレからは急登となってくるのだがゆっくり上がってそろそろ琵琶湖が見えるだろうと休憩がてらの一枚を撮ろう。後は次第に苦しくなってくるが、目の上に大岩が被さるような姿で居座っている。あの岩が動いて転げ落ちればこちらは一たまりもないだろうナ・・!などと思うと写真どころでなく、急に足の回転が速くなる始末であった。
 大岩のすぐそば上あたりまで上がって、これでこの岩が動いても大丈夫だろうと一安心だが、すると、アレ~写真撮っておけばよかったと今頃思うも後の祭りである。でも、この大岩をすぎれば後10分もしないで金糞峠となってくれた。あ~しんどかった・・。

       
かくれ滝に元気を貰う   青ガレでヨシ!と気合入れ  一本立てようとの気持ち誘う  金糞峠からの眺めはそうよくはないが

 ひと息いれてヨキトウゲ谷の小橋取りつきより南尾根をコヤマノ岳へ上がろう。この尾根にも最初はしっかりとトレースがあって地図読みなどまったく無用である。でも、株別れのブナ地をすぎブナがそろそろ出だしてきたなと思えるあたりまで上がってくると、次第に西からの強い寒風がトレースをかき消してきだした。
 あれ~踏み跡が見えなくなってきた。でも、地形を見あげながら何とか進んで上がろう。しばらく深い道なき道を進んで行けば、上から二人のシューとアイゼンだけの青年が降りてきた。一言二言こちらから「早いやないの、もう降りてきたの、山頂の風などの様子はどうだった・・?」と聞けば「強烈な風で寒くてとてもいられませんでした。もちろん真っ白のガスでさっぱりでしたのですぐに降りて来たんです。」と答えると逃げるように降りてしまった。これで二人のトレースが出現してなんとか中峠からの表示もまだ埋まらずに見え、すぐでコヤマノ岳の大木ブナ地となってくれた。

     
ヨキトウゲ谷の小橋  株別れのブナ地  コヤマノ岳のブナの王様 

 あたりは真っ白となって寒風が全身に打ちつけてきだした。ブナ林を足早やに通り抜けて、イブルキノコバ分岐あたりにやってくれども、目の上には武奈の双耳峰すらガスの中である。やむを得ない、ここまで来たのだから頂上だけでも踏みに行こうと冬道のトレースを追って登って行く。本来であれば登る途中にもコヤマノ岳から蓬莱山、西南稜方面などの写真を撮りながら稜線となるのだが、今日ばかりは白は白ではも雪でなく一面ガスばかりの中を進むのであった。涙
 それでもようやくにして武奈ケ岳山頂(11:30~40)となったのだ。これだけ人のいない武奈ケ岳は珍しいだろう。偶然6~7人が御殿山コースから到着したすぐの山頂となったことから、そのグループの写真の撮りあいが長くて、こちらは無人の標識写真は撮れずじまいとなってしまった。しかしながら、360度ガスで真っ白である。泣きたい状態とはこのことであった。

 強風の山頂でのあまりの状態に、今上がってきたにもかかわらず、すぐに下山のことが思い浮かび、本日本来の下山予定ルートである東稜から広谷への方面をのぞき込むのだが、これとてまったくのガスの中であり、「こんな状態なのだがら東稜下りという無謀な行動は中止としよう、そしてのんびりコヤマノ分岐からパノラマラインの初級コースでも降だろう・・」と思い直していると、一瞬東稜方面がやや明るくなって景色を見せてくれるではないか。あ~よかったと思った瞬間、すぐまた真っ白になってしまったのだ。このような繰り返しが続いてからはそのまま白い世界となってしまったが、それどころではなく強風が身体を叩きつけて我慢できなくなってきた。 

 これはアカン!。こんな繰り返しの中を東稜へ突っ込めば見えるようになってもまたすぐにガスってしまう連続であろうから、それでは時間がよけいにかかってしまう。山頂で昼にしようにも東側は雪庇ができ始めたばかりのようで、いつものとおりの東側を一段下げてのテーブル造りも危険な状態となっている。あたりを見渡せば人っ子一人姿はない。山頂滞在には10分余りだったのだが、やむなく寒さに震えながら人の姿が消えた山頂をこちらも後にすることとしたのであった。

     
武奈ケ岳山頂は「白は白でも雪の白ではなくガスばかりの白はお久しぶりネ~♪ 」

 稜線から元上がって来た道を降っていると、しばらくで右前方のコヤマノ岳が一瞬顔見世であったのだが、すぐにまた白く消えてしまった。鞍部に降ってコヤマノ分岐道標から50mも行かないで前を行く一人が止まったようだが、やおら歩きだしたのを見ているとその先すぐに追い着きそうな感じになってきた、
 これはイカン、ゆっくり歩こう・・。どうやら、トレースのあったのは最初だけで先行者は多分こちらが登ってくる時に降りてきた二人の青年がここの途中でノントレースの進行をあきらめ引き返してコヤマノ岳から彼ら二人は登ってきた南尾根をピストンとしたようだと少し先に進んでから分かった。。

 
山頂から下山中一瞬見たコヤマノ岳 

 そのようなことから、パノラマラインは50mほど以降はノントレーであり、前を行く青年らしき一人のトレース泥棒としようとちゃっかりを決め込むこととした。どうせ勝手知ったる尾根だからと不安はない。ところがあたりはガスが消えてきだして、見慣れた風景が広がりだすのだ。「なに~これってどうしたんヤ」、雲が途切れて青空まで広がりだすのだ。山頂を降ってきだして20分ほど経ったのだろうか、「しまった頂上で早合点しすぎたのだ、それはもう後の祭りであったのだ。やっぱりトレース泥棒など悪だくみをする精神がいかんのや」、「イヤ、それは山頂より後のことやないか」「イエ、神さんはあなたの先の行動まで読んでの仕打ちだったのです。」「あ~そうですか、それならば仕方ないです。ハ雲が原で昼飯とします。」と戒心して降って昼食とした。爆笑

     
目の前に釈迦岳などが見えだす・・   スキー場跡降り左に武奈の頭見え 下部からカラ岳、釈迦にヤケオ山も 

 八雲が原で長時間ゆったりと昼食タイム(12:35~13:15)としている間にも数人が降ってきたり、「今日はここまでですワ・・」と登ってきたりする人もあった。ここで思い思いに食事をしていた三人にお先にと声をかけると、最後の方が先ほど一人ラッセルしてくれていた人と分かり、その方に「先ほどはトレースをつけていただきありがとうございました。お先です・・」と礼を言って先行、これよりツボ足で下山スタートとした。ところが今日は平日で登山者は多くはなく温度上昇のようで下山道は北比良峠以降もツルンツルンとはなっていないだろうとツボ足を決め込んだ。
 枯れた松の木あたりではデカザックで「八雲でテン泊ですワ・・」と言葉を聞き、「こちらの今日は山頂でのガスに泣きましたが、明日はお天気もよさそうですから、どうぞしっかり今晩飲んで、明日の武奈をお楽しみくださいネ」と笑いながら言葉を交わして別れた。

 ところが本日のダケ道下り道の雪質が予想通りグーで最後までツボ足で楽に下ることができた。「神さんが山頂のお詫びとしてくれはったのだ。」と勝手な判断としながらのんきに下った。となれば植物観察でもしよう。カモシカ台より下の方で、昨秋10月の21号台風被害の倒木4本は上から順番にコナラ、ウラジロガシ、スギにイヌブナであったのだが、中でも上から二番目の倒木は一番最初に見た時にはシラカシと思っていた。しかしどうも気になるなぁ~と思って今回再度写真を撮るなどして調べて見ると、どうやら同じ仲間のブナ科コナラ属のウラジロガシのようだった。
 同定ポイントは図鑑によればシラカシと酷似するウラジロガシの相違点はウラジロガシの葉裏が粉白色であるので区別できると表記されている。だが、この点だけでは確実な同定とするにはやや不安であることから、この度再調査したものである。それは葉裏が白っぽいことに加え、葉表の緑色がやや薄く、葉の厚さもシラカシよりも少し薄手で縁が波打っている点からの同定であるのだが見立ては如何だろうか。

     
 葉の厚さはシラカシより少し薄手・・ 葉裏は粉白色と白っぽく見えないかナ  ウラジロガシの倒木の下は潜れる

 ただ、今回四本の倒木の内で一番上のコナラの倒木個所だけは、まだその倒木の下を潜るのが苦しく、潜るよりも倒木の上の斜面を巻いて通過した方が容易ですよといいたい。この日はほとんどの方が木の下を無理をして潜って通過されたようだが、巻いたのは私が二人目であった。笑

 こうして当初予定コースとはならなくて、エスケイプを降るという誠に残念ではあったのだが、なんとか曲りなりにも武奈頂上からの東稜をパスして、無事に大山口へ下山となった。提出の登山届予定よりJR比良駅に2時間も早い16時前に戻ってきてしまい、山の神に下山連絡すると「エ~、なんでこんなに早い下山なの、何か事故でもあったのかとびっくりするやないの・・?、!」と言われて、「イヤ、エスケイプルートで下山したんだ~」と痴言おこごとと相成ってしまった。

 本日は真っ白な武奈ケ岳は久しぶりと書いてアップしたが、白は白でもガスでまったくの景色0の白色の山頂であったのだが、これは2011年2月1日以来だった。もっともその当時は青空よりも悪天候を選んでの登頂歩きが多かったので昨今とは思いが異なっていたようだ。でもこの日はトホホの気・持・ち 笑

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