貫井 武奈ケ岳から東稜へ ’18.3.11 曇

 貫井-細川尾根-武奈ケ岳-東稜-広谷-八雲ケ原-ダケ道-イン谷口-比良駅

 ようやく歳寒の季節も終焉まじかとなってきたようだ。積雪多き比良山塊の雄でもある武奈ケ岳だが、さすがにこう寒さが緩んでくれば雪の消えるのは当然の理であろう。そうはいってもアイゼンくらいは御まじないに持参として急登尾根として知られる細川尾根を登り、武奈から東稜を下ることとして、今冬の雪山遊びの終焉を崖端歩きとしよう。笑

 今回は貫井のバス停を下車(9:40)してコンクリート道の急坂を登り始めた。それでも今日の残雪に出会えるのは標高どの位のあたりなのだろうか。P706でも皆無であったが、その後の激急登が始まる730くらいから次第にチラホラ状態となって岩石座るあたりでもこの通りで残雪とはいえない。

     
 フラットなP706一帯が好き   岩石転ぶあたりから急登となり~ 

 その後、なぜか急だがブナ林は気持ちが緩み、「あ~またこのブナ群に出会えたのだ・・」と元気になれる一帯なのだ。そして1050あたりまで上がれば、ほどほどに大きい杉が出迎えてくれるのだ。ここはフラットで有難い。だが、雑木うるさくなぜかゆっくり休んでいこうという気にはなれない地である。この大杉すぐ下あたりで単独行男性が降りて行くのに出会っただけだった。雪も無くなったのにこんなコースに入る変人は自分一人ではないと何故か胸を撫でおろしていた・・。笑

     
 元気なブナ兄弟   大杉はあたりの王様だい~

 ここ大杉そばでようやくアイゼンを装着しよう。大杉からは武奈の頂上は近い。だがアップが続くのだ。しかし、締まった雪だから急登はそう堪えなさそう。アッ白い、樹氷かなと思ったがそれは気のせいだった。この暖かさで霧氷などあり得ない。やはり厳寒の多雪時しか綺麗なご褒美はもらえない。

         
空はこのとおり、期待してないが・・     ツルベ岳、蛇谷しかハッキリしない   白倉しばらく踏んでないが・・

 こうしてどうにか北稜に乗り上げた。またまた春霞だ、伊吹すらも目にも入らない。ギャフ~ン!、でも今日は一番気になるのが真下の東稜だ。お~これくらい残雪あれば降りれるナ~と、一安心だ。

     
 ツルベからナガオの山並み    下には今日の下山ルートの東稜が

 雪は上だけで、ほとんど雪なしの細川尾根だったが、それでも結構かかってしまった。武奈ケ岳(12:10~40)では早速昼食中の登山者の仲間入りであった。座った近くの方が北稜側より、今日踏み跡から初めて顔を出したこちらが珍しかったのだろう。到着した私に向かって「どっから上がってきたんですか、まさか畑からですか・・?」とあたりの人達に聞こえんばかりの声で問われた。

 間髪おかずに出た言葉は「イエ、細川からです。私はそんなに健脚ではないですよ・・。畑からであれば地蔵峠からこちらへ来るには、それまでに何か所か鹿除け柵ありで、雪時の出入りには開け閉めが難しいことがありますヨ・・、」と余計なことを喋ってしまった。言ってから「あ~そうか、今日は雪もほとんど消えてるハズですね~」と言い、振り返ってその方の顔を見ればまだまだ相当な若さの人で、この兄さんであれば4時過ぎのバス時間にも充分だから、下るのであれば余裕だろうと思っていると、「鹿除け柵ですか?、何とかなりますやろ。じゃあ、お先に畑へ向かいますワ!」と元気な声で出発されるのを食べながら気をつけてと見送った。

 
 空は到着時が一番良かったようだが・・

 武奈山頂の雪だが、↓画像のように東から南へは、もう雪はさらに少なそう。先ほど下った方は坊村から上がって来たとのことだったが、その調子で北稜を下れば登り時よりずっと多い雪を踏むことになるだろうと思っているのだった。

         
 釈迦など    コヤマノ岳など   蓬莱山など 

 半時間ほど昼飯をしながら、目の下の東稜を眺めていた。「それにしても今年の武奈の雪の上がりは早いナ、3月11日というのにもうこれだけ少ないのか、その代わり初冠雪が11/19だったのだが、雪の降るのが早かったというわけだろうか・・」などと思うは山のことばかりであり、これも頂で幸せなことだと一人含み笑いするのであった。

 まだまだ、周りには昼食を取っている方が座っている。当方は六地蔵さんから東側へ降りた地で座っていたのだが、その場から昼食が済むといきなりアイゼンのままで降りだした。するとそばで食べていたおばさんが「え~、そんなとこ降りてどこへ行くんですか・・?、大丈夫ですか・・」と呼び止めるような大声を出したのだ。こちらはすぐに「あの白い東稜から広谷へ降ります。お先です!」とさらに下へ降ってから左へ大きくトラバースしてブナ林目がけて降りたのであった。

         
写真を撮りながら手を振り~     ここまで来れば完全に独りぼっち    コルの先には1070が・・、アレに行く

 もう頂上からはこちらの姿は見なくなっているがコルへ駆け下ろう。そして緩やかに1070地へ登れば↓のとおりの大パノラマが広がった~~イエ~イ!、東稜から武奈を独り占めで見上げる、これが今日一番のお目当てだったのだ・・。

 
今日は一番乗り~、 願わくば雪がもっともっと欲しかったのだが・・、山頂から15分で1070手前に降りてきた。

 武奈ケ岳を独り占めにした後は広谷の中で一番頑丈な橋あたりに1070から、こちらも15分で着地であった。この広谷一帯の雪もすっかり少なくなっており、どの沢筋も流れを見せている。黄色い広谷小屋側へ渡渉し、右岸からイブルキノコバへ上がろう。

 
ここ広谷の頑丈な橋へ降りる 

 イブルキノコバにはこちらと同時に一人が冬道から降りてきたようだ。その顔は先ほど頂でこちらの隣に先に座っていた青年であり、こちらから挨拶したのだが聞こえなかったのだろう。見向きもしなかった青年だったが、「無口で何一つ口を聞かない人もいるもんだ・・」と、そしてしばらくで先に腰を上げて行ったのだった。イブルキノコバの標識地で又してもこちらから「こんにちは」と挨拶してみると今度は「こんにちは」と受けてくれた。やっぱり頂上ではこちらの声が耳に入らなかったのだろうと忘れることにした。

 この後はいつものストーリーである。八雲ケ原、北比良峠からダケ道と順調に降りだすと、900あたりだっただろうか、雪はほとんど消えて来たためにアイゼンは用が済んだ。カモシカ台で最後の一本とし、行動食をゆっくりと片づけよう。すると小雨が降りだしたがそんなに心配するほどの雨ではなさそうと無頓着で歩いた。そして大山口ではスパッツなど後片付とした。

 さらにこの先には楽しみに待っていたヤマナラシという樹が花を咲かせる予定だが、残念ながらもう少しかかりそうだった。それともまだ幼木で花はもっとかかるのだろうか。ところが関電の電線の真下に芽吹いたために、どうやら関電がこのあたりの雑木を伐採する予定となっているのだろうか。幹に白テープが沢山ついていた。どうやら今年の開花が見られるのであれば最後となりそうな雰囲気であったことは悲しい出来事となってしまった。そしてそのヤマナラシのことばかり考えながら比良駅(16:20~36)まで帰り着いた。

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