京都西山 ポンポン山の花巡り ’18.3.14 晴
京都では市街地の温度は20度を上回る暖かさとなって、いよいよ山野草の開花スタートの季節となったようだが、その一番手を競っている花々を見に行こうと裏山の徘徊を楽しんだ。その花はヤマシロネコノメとフクジュソウであった。まずはヤマシロネコノメからご覧いただこう。
ヤマシロネコノメ(ユキノシタ科ネコノメソウ属) |
さて、ヤマシロネコノメは日本植物分類学会で1999年にコガネネコノメソウの変種であるトウノウネコノメの新変種として発表された、比較的新しい種類で古い図鑑には掲載されていない。もっともネコノメソウ属は近年細かく分類され始め図鑑が追いつかない状況でもある属のひとつだろう。
そのネコノメソウの仲間ではヤマネコノメソウと競争するように、イヤ、ヤマネコノメソウよりも先の2月くらいから早く咲きはじめ、ここ西山ではフクジュソウに続いての早春花といえるだろう。なお、↑の画像では大きく写っているのだが、花そのものは大きくても約5mmほどと自然の中にあっては極小さな小さな花を咲かせて春を謳歌しているのだ。
また、京都府レッドデータブックに京都府カテゴリーで『絶滅危惧種』に分類されている超希少種であることも知って、観察時には登山者は踏みつけ等に配意し大事に見守りたい。京都府内では中部地域、南部地域の限られたところに生育するのみである。花はコガネネコノメソウと似ているがシベが萼片より長い点が異なり、さらに東海地方に分布するといわれるトウノウネコノメにそっくりだが、花がやや大きく萼の背面に毛が散生すること等が相違点だともいわれる。
第二弾の早春花はフクジュソウであった。もっとも今シーズン二度目の観察で感動もほどほどである。こちらではスプリングエフェメラルの一番手、「春の妖精」のひとつの黄金花である。今年の開花は寒さ厳しかった割にしては2月10日ころの早くから開花が始まったというのだ。今では葉も茂って果実化も始まっていた。
フクジュソウ(キンポウゲ科フクジュソウ属) |
手持ちの図鑑によれば花は直径3~4cmと大型で、花弁は10~20個、萼片より長く、黄色の金属光沢である。また萼片は帯暗紫緑色で数個とある。この花は日があたっている時だけ開くとあるとおり、本日はずっと大きく開いてくれていた。今期の観察は3月25日(日)までということで、それ以降は害獣柵内には入ることは許されない。
葉は長柄あり3~4回羽状細裂す | 萼片が見えるように撮ってみた |
同じく、フクジュソウ内で、目立たず地味な花が咲いていたが、ほとんどの方達はフクジュソウばかりに気がいって、これらの花たちにレンズを向ける数はそう多くはなさそうだった。でもこの花たちも懸命に咲こうと頑張っているように見えたのだが・・。
ヤマネコノメソウ(ユキノシタ科ネコノメソウ属)満開 | カテンソウ(イラクサ科カテンソウ属)まだ蕾 | アオハコベ(ナデシコ科ハコベ属)咲き初め |
春げしきの山歩き、花信風頬に心地よく裏山の森散歩が続いたのは、この春の日の光と美味なる空気なのだろう。時の過ぎゆくままの一日となって・・。
ケヤキの森 | イヌブナの森 | カナクギノキの森 |
ぽかぽかと温かい春陽の日差しの中には、長い生命続く樹木達が個性豊かに森を仕切っているような景色にも見えたり、こんな気分にさせてくれるために神代の昔から生存していたのだろうと、古木たちが居並ぶ・・。
ウリハダカエデ(ムクロジ科カエデ属) | エゾエノキ(ニレ科エノキ属) | ヤマザクラ(バラ科サクラ属) | アカシデ(カバノキ科シデ属) |
春の山には落葉樹ばかりではない。そこには常緑樹にも居場所があるのだ。なのにこの木は落葉樹が葉を更新したばかりのような姿を見せていた。この緑色の枝の各所から多数の気根をだして他の樹木によじ登るか、地上を這うのだが、このツルマサキは宿主を枯らしてしまったようだが、その宿主はまだ倒れずに沢筋に留まっている。
黄緑色の小さな花を6~7月の梅雨の頃に咲かすというが、毎年その時期にはやってこれない。でも今年こそ目立たない黄緑色の花時を忘れずに上がってこよう。それに裂開した果実も独特な姿で一見の価値あるので、これも10~11月頃を忘れないとこの木と約束して別れた。
ツルマサキ(ニシキギ科ニシキギ属) | その葉アップ |
最後はコケ植物のコウヤノマンネングサである。盆栽の趣味はないのだが、なぜかこの種に出会えば友達になりたくなってしまうのだ。杉林の中にあるために落枝で生も絶え絶えのようで目を覆いたくなるよう、あまりに可哀想な有様であったのだ。すぐさまその付近の枝たちを払いのけてやった。これでもっと健気で綺麗になって喜ばせてくれるだろう。来年もまた会おう!
コウヤノマンネングサ |