京都北山に咲く花 ’18.3.29 晴

 今年も早春の花々巡りの時期となってきた。北山での一番花はやっぱりシロバナネコノメソウからのネコノメソウの仲間たちとなる。しかしながら、異常気象による例年とは異なり滅茶苦茶早すぎる開花は、どうにもならない地球温暖化現象なのだから、小さな一人ではもうどうにも止まらない・・。

 さて、山野草たちのそれぞれの一番のポイントを押さえてみながら確認していきたい。もちろん、植物たちの同定ポイントはそれぞれに多数あるのだが、これだ!といえる区分点のみをわたし流に大胆に取り上げていこう。まずはネコノメソウ属からとしよう。

①シロバナネコノメソウ=京の北山では古くからハナネコノメとの名で通っていたのだが、やっぱりこの種はシロバナネコノメソウではなかろうか。その根拠は花粉色が白いことである。ハナネコノメはそれが黄色であるのだ。もっとも今回は日差しのよい個所のみの開花で、ほとんどが蕾状態であった。例年であれば4月初旬あたりが満開の時期なのだが・・。 

 
①シロバナネコノメソウ(ユキノシタ科) 

②キンシベボタンネコノメソウ=ボタンネコノメ系の仲間で、葯が黄色でシベの長さが③ボタンネコノメソウと同じく萼の2/3くらいと短かい。またボタンネコノメソウの葯は暗紅紫色、萼は暗赤褐色と両方がキンシベボタンネコノメソウとは相違する。
 なお、キンシベボタンネコノメソウに酷似する種にヒメヒダボタンがあり、こちらはヒダボタン系の仲間で、葯は黄色であるが、シベの長さがヒダボタンと同じく萼と同長くらいありキンシベボタンネコノメソウより長い。また、ヒダボタンは葯が暗紅紫色であり、萼色は暗赤褐色であるのがヒメヒダボタンとの相違点である。ただ、キンシベボタンネコノメソウとヒメヒダボタンのシベの長短を見極めるには相当観察力等慣れが必要であろう。
 このキンシベボタンネコノメソウは全くの咲き初めで、これからが満開に向けての日々となろう。それに比べて、ボタンネコノメソウは今が満開といえるだろうが、この種は開花期間が長そうで、これからも咲いてくれる種であろう。。

 
②キンシベボタンネコノメソウ 
 
③ボタンネコノメソウ

④タチネコノメソウは葉が広がり気味につくことが大きな特徴であろう。満開だろう。⑤ネコノメソウと⑥ヤマネコノメソウのシベは後者が4個ないし8個で、ネコノメソウは4個とあるので紛らわしく、ならばということで茎葉の互生が後者で、対生がネコノメソウと同定しよう。両者も満開だろう。

         
④タチネコノメソウ 葉は互生     ⑤ネコノメソウ 葉は対生   ⑥ヤマネコノメソウ 葉は互生 

続いてその他の山野草たちについてもふれてみよう。

①トウゴクサバノオ=シロカネソウの仲間たちはほとんどが白花だが、黄花は少なく唯一裏表とも黄色一色である。ちなみに表側が黄色花で、外側基部が黄色でなく紅色となるのがサインシロカネソウで、紫色がアズマシロカネソウであるのが相違点だろう。今が満開のようだ。

②コチャルメウソウ=チャルメルソウの仲間たちは花弁が羽状に裂するが、その数が7~9裂し、よく似たものに5~9裂するオオチャルメルソウやコシノチャルメルソウがあり、太平洋側や日本海側と分布域が異なる。咲き初めであろう。

③ミヤマカタバミ=ほとんどがこの種であり、カントウミヤマカタバミが関東東海方面に、コミヤマカタバミが亜高山帯に、オオヤマカタバミが中部地方に分布するなど咲いている地で見極められるだろう。咲き初めであろう。

④ヤマルリソウ=山地で咲くのはこの種がほとんどだろう。咲き初めでこれからが見ごろとなろう。

⑤スズシロソウ=アブラナ科はセリ科とともに同定が容易でない仲間たちであるが、しかし、スズシロソウはそう難しい部類ではなさそうだ。花後走出枝が出て目立つ種である。まだまだ咲き初めであろう。

⑥オクノカンスゲ=葉はかたく、幅は5mm~約1cmとやや幅広となる。頂小穂はこん棒状で長さ2~3cm、濃褐色だ。まもなく満開となるだろう。

         
 ①トウゴクサバノオ(キンポウゲ科)   ②コチャルメルソウ(ユキノシタ科)     ③ミヤマカタバミ(カタバミ科)
         
 ④ヤマルリソウ(ムラサキ科)    ⑤スズシロソウ(アブラナ科)   ⑥オクノカンスゲ(カヤツリグサ科) 

⑦キクザキイチゲ=花は直径約3cmと大きな花を咲かし、茎葉は3個輪生する。今が満開だろう。

⑧フッキソウ=常緑の葉が繁るほど多くつくのが特徴である。まだ蕾状態でこれからだ。

⑨ヤマアイ=花が花火状で独特な姿は忘れられない。今が咲き初めだろう。

⑩ミヤマキケマン=フウロケマンの変種で、山歩きする人はこの種を何でも「ア、ミヤマキケマンだ!」とほとんど言っているようだが、距が長く屈曲しているものが母種のフウロケマンである。また、花がまばらにしかついてなく、花がミヤマキケマンよりフウロケマンの方が小さめだといわれている。今が咲き初めでこれからが本番となろう。

 他に見られた種はユリワサビ、カテンソウが咲き初めとなっていたがこれからが本番となろう。

         
 ⑦キクザキイチゲ(キンポウゲ科)  ⑧フッキソウ(ツゲ科)    ⑨ヤマアイ(トウダイグサ科)  ⑩ミヤマキケマン(ケシ科)



最後に木本類についてご覧いただこう。

①ダンコウバイ=酷似する種はアブラチャンだが、ダンコウバイには花柄がなく、②アブラチャンには花柄があり、前者が大き目な花が咲き、後者はダンコウバイより小さめの花でやや開花時期が遅めだろう。しかし、葉時は前者が三中裂で、後者が全縁で一目瞭然となる。①は満開、②は咲き初めでこれからだ。

③フサザクラ=花はカツラと酷似しているが、前者の花が枝に互生につき、カツラの花は枝に対生でつくのがポイント。もちろん葉でも先の尖るのが前者で先が丸っぽく尖らないのがカツラである。もうほとんど終了のようだった。

     
 ①ダンコウバイ(クスノキ科)満開  ②アブラチャン(クスノキ科)咲き初め ③フサザクラ(フサザクラ科)終わり 

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