比良 奥の深谷から大橋 ’18.4.28 晴
比良駅=イン谷口-金糞峠-奥の深谷-大橋-南比良峠-縦走路-荒川峠-志賀駅 |
奥の深谷道の上流部分である金糞峠下から大橋までの深谷道を久しぶりに歩いた。このコースは渓谷の流れを耳にしながらずっと歩け、心地よい時をすごすことができるのだ。それにミソサザイなどの野鳥のさえずりと渓流の水音以外には静けさだけがあるだけだ。このような静かな大橋の新緑に浸れる比良山塊での一級の谷歩きが嬉しい。
山頂志向が強い昨今では、このような谷歩きや峠歩きをする人は多くはなさそうだから、今日も思いどうりにどなたにも出会わずに、ひたすら自然織りなすグリーンシャワーを浴びることが叶えられた。そうだ、ここでテン泊も悪くはないな、ではどの道をブラタモリかな・・・(笑)
清流の中の大橋 | 新緑のブナの葉もお見事 |
大橋から少し南比良峠へ向えば、大橋に負けず劣らずの深閑としたブナの森の中へ入れる。ここで、空気を胸いっぱいに吸い込んでみると、それはそれは美味しいのひと言だった。
ブナの疎林は大パノラマの背景シーンではなかろうか |
ころは今、花のシーズン真っ盛りである。ただ、この道々にあるイワウチワの群生地だったが、その花は終焉となっていたのが惜しまれた。しかし、この道の花の女王はこの時期であれば誰が何と言おうともシャクナゲの満開であろう。シャクナゲといえば井上靖の『比良のシャクナゲ』はあまりにも有名だろう。その内にまた読んでみて、己の思考とどう違うのだろうかと比較してから、比良へ登って花の終わったシャクナゲの葉でも見てはどうだろう・・。
満開の『比良のシャクナゲ』いろいろ | ||
シャクナゲの他はイワカガミが多く咲いてはいたが、この一種くらいでは寂しい。とりわけ期待していた贔屓のイワウチワが完全に終焉となっていたのは返す返すも惜しまれた。野球のバットやテニスのラケットなどの材料に用いられたことで知られる「バットの木」のマルバアオダモが、珍しく高木なのに手の届く低い位置で咲いていたのは嬉しい出会いであった。比良では多く見るのだが、今回は一か所しか見なかったオオカメノキだ。
最初から最後まで見たイワカガミ | 数えるほどしかなかったイワウチワ | 低き枝で撮らせてくれたマルバアオダモ | ムシカリともいうオオカメノキ咲く |
とてもではないが瀑布と言うほど見事な滝が比良山系では見られないのが残念だが、それでも『カクレ滝』と『金糞滝』は小規模で水もそんなに元気よく落としてはいない。しかし、イン谷口から歩きだせばこの二つの滝を眺めるだけでも山歩きの楽しみのひとつにしてくれるのだ。
正面谷左岸支流ウエ谷に懸かるカクレ滝 | 青ガレの堰堤のすぐ上にある金糞滝 |
不確かな岩の座る青ガレをヒーヒー言いながら登り上げて金糞峠、そしてちょっと下がってからはいよいよ奥の深谷道の渓谷歩きの左岸を楽しむ。そして途中にはあのどでかい毘沙門岩に着く。岩の下から清水が流れるのでその冷たい流れに手をかざしホッとひと息いれる。また歩き始めるもすぐに大橋だったが、そこへ着けばいつでもするようにスリバチの水場へ向かうのだ。上の擂鉢山からの湧水らしい。ここでの思い出はヒロハコンロンソウに初めて出会った思い出の場所なのだがとっくに絶滅してしまっている。
今日はそばの急な流れにかかる丸木橋には渡らない。壊れてしまい、今ではもう利用すら不可能だろう大橋小屋を左岸側から眺めていた。そしてゆったりと小一時間も新緑に身を染めて昼を過ごそう。13時を回っていたのだろうか、去り難き大橋を辞することとした。その後にはさらに水晶小屋があるのだが、とうとう小屋毎潰れてしまっていた。その後しばらく歩けば南比良峠であった。ここからは堂満岳が見下ろしていた。比良縦走路に合したのだ。今日は北へは向かわずに南へ登って行こう。コヤマノ岳やシャクシコバノ頭を振り返りながら山腹を登り上げ、一汗かけばそこは荒川峠である。この峠道も幅広なゆったり道であり、堂満や釈迦が見送ってくれていた。さぁ、後はJR志賀駅まで降るだけなのだ。
シロモジ多し金糞峠に立つ | 毘沙門岩はゲロゲロと蛙の声しそう | スリバチの名水で喉を潤す |
いよいよペシャンコの水晶小屋 | 堂満に見守られる南比良峠 | ここも冬場は道標埋まる雪深き峠 |
その他に目についた山野草だが、バイカオウレン、ミヤマカタバミにショウジョウバカマなどは完全に咲き終わっていた。
ニシキゴロモは方々に咲いてた | フイリシハイスミレの残花 | モミジチャルメルソウは遅く咲く | コチャルメルソウは全国区で早咲き |
ノミノフスマが山裾まで上がって咲く | キクムグラはもう花は終焉 | このキクムグラも終わってた | 比良では初見のウラシマソウ |