神璽谷から釈迦岳 ’18.5.1 晴

 比良駅=イン谷-神璽谷-北比良峠-八雲ケ原-カラ岳-釈迦岳-イン谷口-比良駅

 釈迦のシャクナゲを見たいとのご要望により、せっかくなら登山もお楽しみいただこうと中級コースの神璽谷も楽しんで釈迦岳前後のシャクナゲを目指すこととなった。もっとも、今年の異常な開花状況から咲き終わってはいないかしら・・と危惧されたが、そこは日ごろの精進のよさからだろうか、どうにか満開状態を喜んでいただけた。

 まずはこのコース上での二つの滝巡りからである。カマブロ滝は小さな滝だが、水の元気さはいつも変わらない。もちろん、足元にも見どころあるのだが、さすがにニッコウネコノメソウは咲き終わっていた。また、マルバコンロンソウ、ミズタビラコやウワバミソウはまだ咲いていたが、薄暗くて写真は辛かった。
 続いて二つ目の滝が豪快で、その神璽の滝は有名であろう。こちらは多くの滝見物者がひきも切らないようで、今では植物達はほとんど消えてしまっている。だが、滝のすこし手前上には今日最初のイワカガミがまだ咲き残っていたのだが、そのあたりでは近年悲惨なアクシデントも発生するくらい極めて足元不安な地のために断念しよう。

     
 カマブロ滝   神璽の滝 

 二つの滝巡りが終われば、後は変化ある神璽谷をひたすら詰めることとしよう。お客様は方々のアルプス経験者のために、この谷が初めてとはいえ、難なくゴロ太岩を進んでもらえる。開花順がいち早いイワウチワはさすがに終わってしまって葉ばかりであった。
 それに大群落のイワカガミまでもほとんど終盤となっていたために、花はあきらめ骨ある登山を楽しんでもらおう。でも、三角オニギリ岩で一本たて、この付近で花探しであったのだが、残念ながらこの時季は端境期となっており開花種は皆無となっていた。

 そして、その後が一番の見どころであるため、神璽谷ニードルを踏んで蟻地獄あたりの絶景を眺めてもらおう。もちろん、振り返って「次郎坊山の奥に見える大きな山体のあれがこの後に登る釈迦岳ですよ」と案内である。

 
神璽谷蟻地獄 

 そしてダケ道合流点の二体の地蔵さんに神璽谷を無時に登り上げたお礼に頭を下げれば、すぐに北比良峠であった。ケルンそばからコヤマノ岳右上のあの頭が武奈ケ岳だと眺めてもらい、八雲が原湿原へ降りていったのだが、崩壊寸前の木道を渡るもミズバショウの葉も少しだけで他の花などまったく姿なしであった。八雲ケ池から岩のベンチでお昼の後もゆったりコーヒタイムで寛ごう。

 リトル比良へ続く縦走路の稜線にはシロモジのオンパレードで密度ある廊下が続いているが、残念ながらその花はほとんど終盤となっていた。もちろんキンキマメザクラも見られるあたりなのだがもうとっくにサクラは終わって跡形もなかった。
 だが、お客様お目当てのシャクナゲの花はまだまだしっかり咲き残って歓迎してくれてたようだ。ここでの鑑賞会の始まりで充分堪能していただけただろう。でも、「このシャクナゲの群落地はまだこの後にもありますよ」と期待してもらいながら釈迦へ向かおう。

 
満開のシャクナゲがどこまでも~ 

 シャクナゲに満足してもらった後には次の釈迦岳が指呼の間で居座っていた。自然はデッカイ!、イヤイヤ、山は大きいな~、それに萌黄色のまさに山笑うこの彩色が幸せを感じさせてくれるのだ。と互いに笑顔となるのであった。

 
 カラ岳から見上げる釈迦岳

 カラ岳と釈迦は目と鼻の先の間柄だ。坂道を少しでそのあたりには茶色っぽい木肌のグニャグニャと斜め立ちしている木がいっぱい並んでいる。「そうです、これが釈迦のシロヤシオの森なんです。」と解説を聞いてもらおう。「この木は別名ゴヨウツツジともいわれ、愛子様の御印としても有名な樹木であります。五葉の葉の周りは暗紫色で縁取られ、純白の花だけでなく葉とともに高貴ないで立ちに見えることでしょう。それに木肌は松の木肌に似ていることから「マツハダ」とも別名があるのです。」と聞いてもらいましょう。それにしても今年の開花は早そうで、後10日もすればシロヤシオの花びらが汗だくで上がってくる登山者を出迎えることとなるのだろう。

 そんな話からすぐに釈迦岳(1060m)の3等三角点にタッチし、「お疲れ様でした!」と登頂成功の握手であった。すぐ北側からの展望はやや霞んではいたが、釣瓶岳から蛇谷ケ峰への稜線の山並みをご覧いただいた。

         
シロヤシオのならびは気持ち和み~     釈迦岳はいつも静かな山だ   北に釣瓶から蛇谷の山並み 

 釈迦岳から大津ワンゲル道を左に見送った後にはまたまた派手な花色のシャクナゲが群れ咲く共演で待ってくれていた。ここでもまたまた大鑑賞となった。大岩そばには昨秋の台風倒木の杉の木が登山道を塞いでいたのが残念だった。その大岩からリフト道を降って長い道のりをイン谷口へ下山とし、それより比良駅へと帰り着いてもらった。お疲れ様でした。

 最後に本日の道々に出会ったお花たちをご覧いただこう。

   
沢山のフデリンドウにも出会え   さすがイワウチワはこれが最後のニ輪  やや終盤だったがイワカガミもよし~


     
チゴユリはこれからだろう   フモトスミレもほとんど終わり  オオバキスミレは終焉だ

 コバノミツバツツジではなく、どうやら釈迦岳あたりはユキグニミツバツツジが多そうだが、さすがにこのツツジも終焉となっていた。関西圏はコバノミツバツツジが多いのだが、比良山系の釈迦あたりから北への山塊はユキグニミツバツツジに変わっていくようだ。
 花色もコバノ・・の色あいより赤みが濃く紅紫色がかっており、葉柄などといって細かな部分にまで観察しないでも花弁色だけでもユキグニミツバツツジだと同定ができそうだ。なお、さすがに酷似するダイセンミツバツツジは見られないようだ。このダイセンミツバツツジはコバノミツバツツジと同じく葉柄基部が有毛であるのだが、それと違う点は葉の中央部分が最も広いので葉を比較して観察したい種だ。

     
ユキグニミツバツツジ    同定ポイントは葉柄基部が無毛 

 最後の木本類はムシカリ、ガマズミが咲き初めでコバノガマズミは蕾膨らむ状態となっていた。なお、稜線でが古木の本ブナが何本も立っていたのだが、標高を下げて降りれば皮目が多くついて木肌が黒っぽく見える「イヌブナ」が見られた。この木は本ブナがシロブナといわれる反面、イヌブナはクロブナとの別名もあるのだ。
 近年カエデ科からムクロジ科に分類変更となったカエデ類はウリカエデ、ウリハダカエデにハウチワカエデは終盤となっていた。また、比良山系では比較的個体数の少ないコミネカエデの葉も久しぶりに今回目にできたが、この花の開花は遅く来月始めとなろう。

     
ムシカリ、別名オオカメノキ咲き初め  ガマズミも咲き初め   イヌブナは肌が黒っぽい

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