初夏の花巡り ’18.5.6 晴のち曇
一週間前に別地でフデリンドウに出会えたのだが、今回は同じ仲間であるハルリンドウも堪能するほど見ることができた。とりわけハルリンドウのブルーのいろいろな彩色がほとんどの中に、↓右画像のように明るい紅紫色の花が目を引きつけた。
ハルリンドウ |
黄色花が草原に一面に広がっていた。遠目にア、ヘビイチごかな・・と近づけばヘビイチゴでもキジムシロでもない。茎上部には3小葉だが、下から5小葉が見られた。そうだ、これはオヘビイチゴ(バラ科キジムシロ属)だ。この花は花後イチゴ型の果実をつくらないのがヘビイチゴとの相違点でもある。もちろん、副萼片がヘビイチゴの三裂し大きいのだが、こちらの副萼片は萼片と同じ形の尖りがあるのもポイントなのだ。
左の花の下にはイチゴ型でない果実がチラッと | オヘビイチゴの5小葉も同定ポイントの一つ | 群落をつくるオヘビイチゴ |
岩上にはイシモチソウ(モウセンゴケ科属)の芸術的な葉の姿が見られた。この種はモウセンゴケの仲間で一番早咲きだろうが、でもまだその白い花は見られなかったが、その葉だけでも美しいのだ。↓の次の花はカナビキソウ(ビャクダン科カナビキソウ属) で川沿いの土手の日当たりよい草地に群生していたものだが多年草で半寄生植物のようだ。この花も初見であり個体数は多くはなさそうだ。花弁状に見える白い花は萼であり、萼は筒状で先が3~5裂し長さ2~4mmと小さな花である。また、茎の高さは10~25cmとなる。なお、↓一番右画像はお客様からの提供写真(感謝です。)
イシモチソウの芸術的な葉姿 | カナビキソウの葉は互生で長さ2~4cmと細長い |
さて、今年の野草類の早咲きの点ではびっくりものだが、山野草はこの山域ではもう端境期となっているようだった。だが、樹木花はいろいろの展開が始まっているようだ。最初はこの地で初見のズミ(バラ科リンゴ属)が純白の大き目な花がびっしりとついて咲き誇って一人舞台で実に見事であった。
ズミの蕾はピンク色で可愛く、開花すればこれまた清楚な花が美しい~ |
背の低い小さな木に黄色花が可愛い。でもこの花は名が怖い・・。その名はヘビノボラズ(メギ科属)だ。その謂われは鋭い棘があって蛇でものぼれないことからという。
バラの花を小型にしたようなヘビノボラズの花だがうっかり手は出せない、オ、痛い! |
その他の木本類の花々がこれからもさらに咲くこととなろう。
モチツツジ一点張りの咲き初めだ | 葉影でひっそりと咲くスノキ | タニウツギの季節がやってきた | ||
コツクバネウツギかキバナ・・か*1 | こちらはツクバネウツギ*2 | やや遅咲きのカマツカも開花 |
*1 ツクバネウツギの仲間たちの観察ポイントは花の基部につく萼の数だろう。コツクバネウツギやキバナツクバネウツギの萼の数は2~3個である。花色が白色、淡黄色、黄色と変化が多い。ただ、酷似するキバナツクバネウツギはコツクバネの葉が2~5cmといわれ、黄色花のキバナツクバネウツギの葉の長さが4~6cmのものをいうと解説がある。要するにキバナ・・の葉の方が大きい。今回見たものはどうやらキバナツクバネウツギと思えてきたが、この点は今後注視したいものだ。
*2 ツクバネウツギの萼片は普通5個である。花は細い花筒から、やや急に鐘状に広がる。こちらも花色の変化は多い。仲間には他に萼が5個だがその内1個だけが特に小さいオオツクバネウツギがあり、また高所に咲くベニバナノツクバネウツギなどもあるが、ハイカーが手軽に自然の中で多く目にできるのは、コツクバネウツギが圧倒的に多いように感じている。