ジ エ ビ ネ 満 開 ’18.5.12 晴のち曇

 今年の花の開花の早さは異常ではなかろうか。そんな中、花の追っかけもなかなか追っつかないが、ジエビネの開花もそのとうりであり、本来ある持ち合わせた美しさがやや損なわれてたのは残念であった。

 
ジエビネ(ラン科エビネ属) 

 サトイモ科テンナンショウ属はいろいろ多くあってなかなか同定が容易でない科でもある。

1、ムロウマムシグサはコウライテンナンショウのグループであるが、仏炎苞の先が尾状に尖るのが特徴で、こちらの山域ではやや個体数は少ない。
2、コウライテンナンショウは仏炎苞が普通緑色で白状が目立ち、花序の付属体が棒状からこん棒状まで変化があるが、京滋の山域では個体数が特に多い。
3、ムロウテンナンショウは花序の付属体がマッチ棒状であるのが特徴で個体数はやや多い。

         
1ムロウマムシグサ    2コウライテンナンショウ    3ムロウテンナンショウ 

 キク科オニタビラコ属は同じような黄色花が多いことから、歩くばかりのハイカーには「スミレはなんでもスミレだ、このピンクのツツジはなんでもミツバツツジだろう。だが、この黄色い花は分からんナァ・・」くらいのレベルとなる種であろう。

1、オニタビラコも普段ハイカーであればほとんどが目にしているが、名はまず出てこないだろう。理由は同じような花姿がこの時期には多すぎるのが原因であろう。ところがヤクシソウの花は秋に花の少ないころに咲くためにオニタビラコと同じ属なのだが、山歩きの中で結構ヤクシソウの名が聞こえてくるナァ・・と感じている。
 そんなことは別にして、名前が同じようなヤブタビラコ、コオニタビラコは近縁種でほとんど酷似するのだ。1は特に背が高くなるが、小から大まで0.2~1mと背はまちまちだが、ヤブタビラコやコオニタビラコより背がずっと高くなることを知っておれば三種の中のこれだと分かるのだが・・。
2、ヤブタビラコは20~40cmの高さで、茎は斜上したり倒れたりする。根生葉は頭大羽状に深裂し、葉柄はまれに翼がつくが前1の葉姿は↓画像で見比べてほしい。頭花での区別は難しいだろう。
なお、前述のキク科ヤブタビラコ属のコオニタビラコの背はせいぜい20cmというより、ほとんどが横に這っている感じだ。コオニタビラコというこの名は春一番に咲く種で春の七草のホトケノザであり、現在一般にホトケノザと呼ばれる名前はシソ科オドリコソウ属のホトケノザだが、こちらの方が一般的となって親しまれているようだ。ちょいとややこしい・・が三種は1cm以下の小さな頭花はそっくりだ。

       
 1オニタビラコ  根生葉等  2ヤブタビラコ  根生葉等

 野草類では他にも少しだけだが咲いていた。特にマルミノヤマゴボウ、フタリシズカが咲き初めで、ハイカーにはこれから見てもらえることだろう。

       
 マルミノヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)  クリンソウ(サクラソウ科)  フタリシズカ(センリョウ科)のアップ ヨツバムグラ(アカネ科) 極小

 樹木の花はそう多くはなかった。最初はこの木だ。

ジャケツイバラの鮮やかな黄色花は特に目を引く花だが、昔から「綺麗な花には棘がある」とバラの花から出た言葉だろうが、このジャケツイバラの棘も負けず劣らず強烈な鋭い棘の持ち主であることを知っておきたい。多くの山人がこの棘に痛められているのを知っている。だが、今回はまだほとんどが蕾で咲いていたのは10%ばかりの咲き初めだった。それはそうだ、例年のこれまでの満開時季は5月下旬頃なのだから・・。

 
ジャケツイバラ(マメ科ジャケツイバラ属) 

 次の種はジンチョウゲ科ジンチョウゲ属のカラスシキミである。この木は赤く熟した実がミカン科のミヤマシキミに似ることからカラスシキミとの謂れがあるのだ。ところが仲間によく似たコショウノキがあることからややこしい。この両者は大変酷似しているのだ。カラスシキミは日本海側に分布し、後者のコショウノキは太平洋側にと住分けているので、出会った山域で概ね見分けられるだろう・・。でも、そのカラスシキミのポイントをふれてみよう。

     
カラスシキミ左は雄株で右が雌株 (枝は雄株ほど多く出ていない)
         
 果実が出きてた 数は3~8個だった     葉表は光沢あり、葉脈ハッキリしない 葉裏に主脈が浮き出る 

 マツブサ科マツブサ属のマツブサという大変珍しい樹種を大発見した。落葉つる性木本である。別名はウシブドウともよばれる。この個体数は私的にも自生地、個体数ともに少ないと感じている。京都府RDBでは準絶滅危惧種の希少種となっているのだ。わたしもまだ二回目の出会いであった。当地で一人っきりで10年ぶりの飛び上がらんばかりの大感動だった。
 さぁ、この蕾の様子なら、いつころ開花だろうか、その頃を読むのが難しいがなんとしても咲き誇る花そのものを久しぶりに目の当たりにしたいものだ。さて、どうなることやら・・・?。初めて図鑑で知ったが枝や葉は松のような香りがあるため入浴剤に利用するらしい。
 なお、マツブサ科の仲間にはサネカズラ、 チョウセンゴミシがあるが、サネカズラは近在の山でも咲くために珍しくもないが、チョウセンゴミシは関西圏の居住者には珍しい。もちろん両方ともわたしは出会っており、特に花はサネカズラ似だろうか。でも、雌雄別株だが、このマツブサは雄、雌どちらだろうか、今からこちらの花との出合いが楽しみである。果実ができる雌花の方を期待したいのだが・・。

         
 葉は無毛、波状鋸歯有、葉柄長い   枯れ大木につるみ、垂れ下がってた    葉裏はつるんとし、長い花柄先に蕾 

 最後は花のついていた木であるが以外に少なく、これ以外にはヤマボウシ、ガマズミ、コバンノキなどが花は終わったばかり、ウグイスカグラは面白い形の果実が下がっていた。それに最後の山頂では高木のオニグルミが高いところで雄花をダラリと下げ、足元をよく見ればその花が散らばっていた。どうやら秋頃にはそのクルミを狙ってリスが取り合いっこをすることだろう・・。

         
タニウツギ(スイカズラ科)咲き初め     コマユミ(ニシキギ科)満開    カマツカ(バラ科)満開

 ホームヘ

inserted by FC2 system