比叡山に咲く花 ’18.5.28 晴のち曇

 今回はセッコクをようやくにして撮れた。昨秋の台風被害による賜物?でもあるが・・・。ここ比叡山のセッコクは大杉の樹上に着生するために、これまでは遠方からの見物しかできなかったものである。

     
セッコク(ラン科セッコク属) 

 セッコクは漢字では石斛と書かれる。健胃、強壮作用などがあり、漢方薬として用いられたこともある。また栽培のための採集等によって、野外の個体数は激減しており、その点でも希少な着生種でもある。

         
1、カキノハグサ(ヒメハギ科)*1     2.カラスビシャク(サトイモ科)*2    3.ミヤマヨメナ 人も鹿は外敵
         
 4.シソバタツナミ 葉裏が茶褐色    5.シライトソウ 花期が長い   5.マルミノヤマゴボウ*3  

*1 葉が柿の葉に似ることからの名だが、仲間のヒメハギの方がよく知られるように、関西圏では見られる山域は比較的限られるようだ。

*2 以前は畑で駆除がやっかいな雑草として嫌われたが、近年ではこのハンゲ属の種は比較的個体数少ない。

*3 同科のヤマゴボウは近年ほとんど見ることはできなくなったようで、山ではこのマルミノヤマゴボウ、野山でよく目にするのはヨウシュヤマゴボウだろう。


 続いて木本類では今回の一押しは、やはり『バイカツツジ』だろう。数あるツツジ科ツツジ属の中でも極めて出会うことの少ないこのバイカツツジだが、幸いこちらでは毎年開花に出会えるのだが、でもその時季は幅があってなかなか目にすることはそう多くはない種でもあろう。

 この種のポイントは、花の斑点がとりわけ面白い。日本では糸魚川から静岡の中央構造線ともいわれるフォッサマグナの構造線を境に、上部の3枚だけに赤い斑点のつくのが東日本型で、西日本型は花心の周り5枚全体に赤い斑点が取り巻くようにつき、東西で花の姿を変えて住み分けているようだ。わたしの手持ち図鑑には、上部3枚だけにしか斑がついていない画像のみの掲載で、この点では不服である・・笑

         
 花はひっそりと葉影に咲き~  東日本の花は赤い斑点が上裂片のみ   葉は大型でレンゲツツジの葉に似る 粉白色で 白っぽく見え上品な葉裏

 次はアジサイ科の仲間のツル性の二種の違いをみよう。なお、山歩きの中で比較的よく見かけるつる性の花として、ツタウルシ(ウルシ科属)と言う種もあるが、こちらは葉が3出複葉であり、鋸歯はなく全縁であるのが相違点であろう。もちろん、この種は有毒植物である。

         
 イワガラミ(アジサイ科)装飾花1個 葉の鋸歯が粗く見える*4    ツルアジサイの装飾花はふつう4個  葉の鋸歯は細かい*5

*4 イワガラミの葉の鋸歯は片側20個以下でつき方が粗く見える。また、フィールドでこの葉をもんで嗅ぐと、思わずイヤな臭いがして放り出したくなるほどだが、ツルアジサイの方は臭わない。 

*5 ツルアジサイ(別名ツルデマリ・ゴトウヅル)の葉の鋸歯は片側30個以上あり細かく見える。葉はもんでも臭わない。

 さて、本日の木本類二番目の比較的出合の多くない種とわたしが勝手に思っている『サルナシ』である。今回は超満開に出会えた。ラッキー♪

         
    サルナシ(マタタビ科属) *6    

*6 サルナシはニュージーランドで品種改良されたキュウイフルーツで、キウイはニュージランドで見られる飛べない鳥のことのようで、果実の色や形がこの鳥に似ることからの名と図鑑説明がある。いずれにしても秋ともなればこの実をみつけ、食べてみると実に美味しいので一度お試しあれ~。もちろんその時にはつるは採らないでやってほしい。


 次はジャケツイバラで、5月下旬の頃の山歩きの中で、花好きにはこの写真を撮ろうとしてその樹々の中へ踏み込み、相当のダメージを受けた苦い経験をほとんどの方がお持ちであろう。要するに強烈な逆向きの棘に衣服が破れたり、手足の皮膚が血だらけになること必死のつる性植物であることを知っておきたい。

 
ジャケツイバラ(マメ科) 
 

*7 ジャケツイバラは高さ1-2 mになるつる植物で、茎と葉軸の裏面に鋭く丈夫な逆刺をもち、この棘は強烈に強く発達して鬼の金棒のようになることもある。そんな状態を目の当たりにしたことあり~。


 最後はその他大勢の樹々である。

         
 コゴメウツギ(バラ科)*8    コアジサイ(アジサイ科)   ヤブデマリ(レンプクソウ科) 
         
 ウツギ(アジサイ科)    オオバアサガラの蕾(エゴノキ科)    スノキ(ツツジ科)

*8 コゴメウツギの名はウツギに似た白い小さな花を小米に見立てたものと図鑑にある。また、関東方面にはカナウツギと名を変えた種があり、西日本に分布するコゴメウツギより全体に大型であるが実に酷似する種だ。

 最後は一部の果樹であるが・・。観察も編集も多過ぎて疲れる・・トホホ、笑

     
 アブラチャンの青い果実   クマシデの果実は思わずぶら下げたい 

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