ヒトツボクロとウメガサソウ ’18.6.4 晴

 先日ムヨウランの開花を見落としたことから、同じように小さな花を咲かすヒトツボクロ(一つ黒子)の開花を見逃したくはないとその地へ向かった。すると、正に咲き初めという感じではないか。この花を山友さんに紹介されてから4年目にしてようやく開花に出会えたのである。山友さんに大きな感謝の気持ちの大感動で思わずジ~ンと心に響いて、ひとりバンザ~イ!と叫んでしまった。1時間半ほどもこの場を離れ難たかったのは初めてのことだった。笑

 そもそもヒトツボクロという和名が面白い。いろいろ調べるとこの花の説明は次のようだ。その名の謂れは、葉の裏面が紅紫色を帯びる一つ葉を黒子(ほくろ)に例えたのではなかろうかとの説があった。

 花の解説は次のとうりである。『葉は、卵状楕円形、表面は光沢のある深緑色、中脈に白線がはいり、裏面は紅紫色を帯びる。花茎は硬く、細く直立して、花期の高さは20~30cmとなり、上部に暗緑色の花を5~15個下向きにつける。』とある。もちろん花は極小さく図鑑でも花の大きさはほとんど書かれてなさそうだ。でも下向きに咲かしているのが分かる。

     
葉表中脈に白線目立ち、
裏は紅紫色を帯びる 
   
左が15個、右が12個の花をつけていた      最左画像の右側の花をUp、花茎高さ20cmほど 

 続いてはウメガサソウが見られたのだが、開花時期は6~7月とあるもここでは蕾ばかりであった。可能であれば開花状態にも出合いたい花でもある。この花は直近とはいえないが、2014年7/31に八ケ岳で見て以来である。関西圏ではどの山にでも咲く種ではなさそうだ。

 ウメガサソウの名の謂れは花の形が梅に似て、下向きにつくことが名の由来だそう。花は、高さ5〜10cmで背も小さく常緑の草状の小低木で、海岸や山地の林内に生え、葉はふつう茎の節に2~3個が輪生状につき、長さ2~3cmの披針形で鋸歯が目立つ。茎頂に直径1cmほどの白花を1個まれに2個咲かすようだ。

         
蕾は丸っぽい姿、こちらは葉が2個タイプ    ウメガサソウ(ツツジ科ウメガサソウ属) 葉3個     花はふつう1個だが、ラッキーなことに2個つく

 次はホナガタツナミソウ(シソ科タツナミソウ属) だ。

         
ホナガタツナミソウの花の筒部は長い    稜上の毛は密に下向き   長い葉柄にも開出毛多し 

 イチヤクソウにも出会えたがこちらではまだ蕾であった。それにヤマキツネノボタンも咲いていた。なお、↑のウメガサソウとともにイチヤクソウも半寄生のため、花を移動させても育たないために盗掘しても育たないことを肝に銘じたい。

     
イチヤクソウ
(ツツジ科イチヤクソウ属) 
  ヤマキツネノボタン
(キンポウゲ科属) 

 木本類の主たるものをピックアップだ。

     
 咲き初めのシラキ
(トウダイグサ科)
   バイカツツジ
(ツツジ科)終盤 *1
     
サンカクヅル
(ブドウ科)蕾 *2
   テイカカズラ
(キョウチクトウ科)終盤 

*1 比較的珍しいツツジ科のバイカツツジが咲き残っていた。バイカツツジといえば花弁の上部に赤い斑点があると図鑑にもあるのだが、詳しくは糸魚川から静岡の中央構造線ともいわれるフォッサマグナの構造線を境に、上部だけが赤い斑点のつくのが東日本型で、西日本型は花心の周り全体に赤い斑点が取り巻くようについているというように、東西で花の姿を変えて住み分けているようだ。

*2 ブドウ科のサンカクヅルが蕾をつけていた。さて、ブドウ科の数ある種(といっても他にアマヅル、ヤマブドウ、エビヅルにノブドウくらいだが)からサンカクヅルとどうして同定したのかといえば、葉の姿からであり鋸歯と鋸歯の間が凹んで谷型に低くなる。反対に鋸歯の突起と突起の間が膨らんで丸っぽく高く山になるのがアマヅルであるという。

 わたしの自己流だが、フィールド上での容易に同定できる覚え方を次のようにして利用している。これは鋸歯と鋸歯の間が丸っぽく山状であればアマヅルで、鋸歯のある場所を起点に考えて『アヤ』と覚えるのだ。すなわちアマヅルの鋸歯と鋸歯の間は山状の膨らむ近くにあるのだ。反対に鋸歯と鋸歯の間が谷状に凹んだ部分となっておればサンカクヅルということになるので、「アヤ」が「アマヅルは鋸歯間は山状になる」ことを知ればサンカクヅルの方まで覚える必要はなさそうだ・・。どうぞお試しを!

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