酷暑の武奈ケ岳 ’18.7.11 晴のち曇

 坊村- 御殿山-武奈ケ岳-パロラマライン-八雲ケ原-ダケ道-イン谷口

 
武奈ヶ岳(1214m)

 下界では猛暑日で36度の予報を知らせている。比良山系最高峰の武奈ケ岳は1214mだから、下界との温度差は単純計算すると1214m×0.65%≒7.8℃下がることとなるが、本日の最高気温36℃-7.8≒28℃となるのだ。もちろん風による体感温度も影響はあるのだが、残念ながら今回はほとんど無風状態で、もう少し風があればいいのにと贅沢な思いではあったのだが・・と今回はいきなり算数のお勉強である。(笑)

 それにしても坊村からの御殿山コースの急登はこの暑さで相当のダメージは否めない。今回は夏山予定のお客様のボッカ訓練案内であったが、武奈も昔の若き時代以来だといわれる方にとってはそのしんどさはお気の毒であった。スピードを普段より一段と落としてゆっくりゆっくりの登り一辺倒の道をどうにか上がって頂いた。

 もちろん、案内しようにも花などこのコースや時期的などで無理なのは承知のために、口数が少なるのはどうしようもない。それでも、どうにかふうふうと登り上げた小ピークの御殿山である。この場より西南稜からの武奈を眺めていただき感動のご様子である。

 
御殿山から西南稜より武奈ケ岳 

 さぁ、この後やや降ってワサビ峠からまた第一ピークへの登りが待っていますと励ましていく。そして岩場の第三ピーク手前から立ち休憩がてらの展望タイムだ。蓬莱や京都北山方面への南部方面の眺めも、比良の山登りでは一級の眺望であろう。ゆっくりお楽しみいただこう。西南稜はあれだけ賑やかだったドウダンツツジやレンゲツツジの満開時を思い出しながら進めば、こんどはその後にホツツジの蕾が穂を見せだしており、しばらくで満開のホツツジが登山者を迎えるのだろう。

 
蓬莱山方面を振るかえり

 こうして、重いリュックを背に頑張っていただいたお客さまも、アキアカネ飛び回る憬れの武奈ヶ岳登頂成功であった。もちろん三角点にもタッチされこちらとの握手の、頂の儀式も喜びの瞬間となったようだ。さぁ、この後は頂の憩いとしよう。まずはお決まりの山座同定であった。
 ハイカーにとってこの行為がどなたであろうとも嬉しいものであることは、長い案内経験からよく知っている。武奈では関西圏ではやっぱり数少ない百名山の一つの伊吹山をまず紹介するのだが、今回の姿はほとんどハッキリせず、それに以前にこちらが案内した福井県の野坂岳はあの方角ですが・・、だが雲がかかり残念であった。
 しかし、お客様は3000級の高山暦の方が長い方のために、360度のこちらの低山山塊では、その方の認知度はそんなに高くはなさそう。それでも高島トレイルの百里ケ岳、もちろん京都府一の皆子山に蓬莱、打身山あたりは登ったヨと言われ、グルリと眺めまわしていただこう。

 ゆったりとお昼をすませてからもまたコーヒータイムで頂の憩いを存分にお楽しみいただこう。それにしても予報では、午後からの夕立も心配ものではあったのだが、これまたお客様の普段の精進のお蔭だろう。見事にその心配もはね飛ばしていただけ、正に喜びの憩いの頂となったのだ。
 こちらの心を述べると、お客様のうれしい言葉は「これまでから○○さんのツアーガイドはもちろん、個人ガイド時も晴ばかりであったし、もちろんノーアクシデントで下山できました。それに花はもとより、歴史や文学等における山の自然学案内ありで、これ以上ない楽しい山の繰り返しの想い出ばかりですよ・・。」と最高の賛辞も聞くことができたのだ。「そうでしたかね、嬉しいです~」と、こちらは恥ずかしながら有頂天の喜びとなってしまった。(笑)

 さぁ、これより下山にとりかかろう。やっぱり予定どうりのコヤマノ分岐からパノラマラインを降って釈迦岳、ヤケオ山や琵琶湖もしっかり眺めていただこう。そして八雲ケ原で一本立て北比良峠へ上がろう。「思い出しますね、チビ達とともに主人が連れて来てくれたのを・・」と回顧録を披露されたのが懐かしそうで微笑ましかった。

 無事にカモシカ台で最後の一本だったが、その後後半では先の豪雨で登山道が川状態となっていたのだがどうにか下山していただいた。でも最後の大山口の小橋手前も増水が残っていたが近年では久しぶりの大雨の様子なら致し方なかろう。そして林道のような広い道を降っていくとなんとびっくり「わぁー土砂崩れだ!、行き止まりだ・・」と大声が出てしまった。
 でも、これまたお客様の精進のお蔭だろう。下山中の山の中の土砂崩れであれば通過に苦労すること必定となるだろうが、山を下りた後の林道付近の土砂崩れであったために難なく駐車場方向へと降りられた。後はイン谷口よりタクシーを呼び比良駅となったのである。

 

 最後に本日ご案内した植物たちの主たるものをご覧いただこう。 

       
ノリウツギの花はこれからだろう  イワハゼの実(別名アカモノ)  タンナサワフタギの実は秋に藍黒色に シロモジの1cmの実は晩秋に黄緑色へ 
       
 カエデの仲間のカジカエデは珍し①  コミネカエデも左に同じく珍し②  クルマバハグマの蕾、葉が輪生状に  下山後林道で土砂崩れあり

* ①カジカエデは関西圏でも希少種のはず、もちろん比良山系でもここ以外に出会ったことはないので、坊村からの武奈登山時はいつも出会うように気にかけている種だが、残念ながら花も果実も出会ったことはない。図鑑によれば黄葉は大形で見ごたえがあるらしいので今年の黄葉時には出会いたい一号だ。

   ②コミネカエデも比較的多くないと思う。比良山系でも出会ったのは数えるほどで希少種だろう。高山に分布のミネカエデと違い、こちらは中央裂片が尾状に長く伸びるのが特徴といわれる。これまでから比良山系でのコミネカエデの紅葉もそんなに見た覚えがない。前述のカジカエデ巡りの下山時に今日も出会ったチドリノキとともにセットで楽しみたいムクロジ科の仲間たちである。

 さてはて、いずれにしても酷暑の中の武奈ケ岳ボッカ訓練登山でしたが、大変お疲れ様でした。今度の本番山行である北アへの夏山を、高山植物の花々や北アルプスの大展望とともに、山歩きも花歩きも多いに楽しみましょう!!、ありがとうございました。

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