体温もビックリ猛暑の釈迦岳 ’18.7.14 曇のち晴

比良駅-イン谷口-大津ワンゲル新道-釈迦岳-ヤケオ山-ヤケ山-北小松駅 

 日本列島が連日の猛暑日(京都は38.5℃と全国二番目の酷暑)において敢えてトレーニングとして比良へ向かった。それも急登で知られる大津ワンゲル新道なのだ。その大津ワンゲルといえば古くからあった道を大津市公民館ワンダーフォーゲル部によって手を入れられたところからの名らしい。
 この道は釈迦岳からいろいろ多くある支稜のうちの最も大きい尾根を登っているので、登り堪えのあるコースとなっているのだ。とりわけ標高680mあたりの雄松山荘道出合から、さらに登るに従い急登につぐ急登の連続で、体力を試され、かつまた二か所のフィックスロープ場が出てくるなど技術力の点など極めてハードな道だろう。

 しかし、この暑さやワンゲル道などを考慮し、アルトレとはいえ距離面を調節して、あまりなボリューム満点さをオミットするトレーニングとしたために、ゆとりある一日とすることができたのだ。ま、ほんとを言えばちょっと短すぎたのかなとの結果でもあった。でも、熱中症にかかって動けなくなった・・、との大恥をかかなくてやれやれでもあったが・・(笑)

 さて、そんなこんなで少しでも早出としようと一番の電車で比良駅を6時半すぎに歩き始めた。そしてイン谷口から大津ワンゲルには、ゴウゴウと白い水煙を立ち上げる小さな谷にかかる小橋を渡る。いよいよワンゲル道だと気持ちも引き締まる瞬間であった。すぐに古い倒木の多い深く掘り込まれた道の連続だが、それでも後半の上部と比べて前半は気持ちよく歩ける。
 右側の東からの湖西線のゴーと響かせる電車音が聞こえるようなあたりが過ぎると、道の中にまで石が転ばる急坂が出現であった。この急登を登りながら、このすぐ先には登山道沿いにノミ跡のある石崖が積まれた地だからあそこで休める・・と思いながら急登りをやっつけよう。

 着いた!、石切り場の石を降ろす道としてこの石積地は使われていた遺物であろう。ここでシャリバテ予防の最初の行動食タイムであった。考えればこんなに高い所まで上がってきてから、付近の石を切り出す重労働を昔の人達はよくもやったものだと、大汗かいた我が身は現代人には考えられない労働であっただろうと思いながらの休憩であった。「何はともあれ昔の人は偉かった!」

 
途中にある石積地 

 ひと息いれたが、次第に急になる道に閉口しながら登れば、そこには最初の道標が立っており、ここが雄松山荘道出合である。その降り道を見れば、最近だろうか「近江舞子」の札が下がっていた。この道も長くご無沙汰であるのだが、いずれご挨拶したいものだ。さぁ、これよりさらに上部は傾斜が追い打ちをかけるのだと気を引き締めよう。

 すぐに目の前の道が根っこだけがはびこってあたかもシースルー状態地であった。ここは左側に避けて難なく通過できるようなっている。そしていよいよ最初のロープ場であった。しかし、このコースのアップダウンは何度もやっていることから岩道の様子は分かっており大丈夫だ。しかし、背が重くて下から引っ張られている感じが辛い。それでもどうにか登り上げてフゥ・・。この後も傾斜はいっこうに緩まない感じが続く。

 さすがに目につく咲く花はノギランくらいで、期待していたオオバノトンボソウやクルマバハグマたちすら、登りながら探す余力は今日ばかりはなさそうだ。やはりこのコースでは下り時でないとその花たちも探せないようだ。今日は歩くばかりの山歩きとなるのも仕方なさそうだ。でも、こんな山歩きはご免だな・・と思いながら次のロープ場を過ぎれば、少しで南側が開けて蓬莱山の眺望が広がってくれた。このあたりまで上がってくれば釈迦岳が近いことを知らせてくれるのでうれしく元気の出る場所というものだ。

 緩やかに広がる斜面には自然林が見事であり、やがてシロモジやカエデ、マンサクの樹々が増え、大木はブナが大きく枝を広げている。左からは田辺新道合流の道標が教えてくれる。この田辺新道だが今年のGWには当たり年のシャクナゲ広がる道を案内できた道だ。この道は昔に釈迦岳への最短近道をと、北比良の田辺松太郎氏が拓かれた道のようで石楠花新道とも言われたのだが、その謂れを知るハイカーは少なくなったのか、このコース名はネット上でもあまり登場していないようだ。

 この一帯は踏み跡も散らばっており、初めての方であればどれが本線だろう・・との状態となりかねないが、立派な山頂標識を探せば大丈夫だろう。1060mの釈迦岳(3等三角点)は5月の花の季節以外はそれは静かな山で人の姿はほとんどなさそうだ。

         
 釈迦岳1060.4m   山頂のブナの古木    北側からの釣瓶岳に蛇谷ケ峰 

 今日のこの暑さの中を1000mほどの低山歩きする変人はそういない。それでもすぐに北側へ出て黒谷上から北向きの釣瓶岳から蛇谷ケ峰をぼんやり眺めて俯瞰する。あの道も歩きたいなとすぐに有頂天になってしまう。こんな時が至福の頂なんだろうか。道標東北そばの古い大木のブナの幹をさすった手で汗だらけの顔を拭い、ゆったりと二度目の行動色タイムとしよう。(9:30/45)

 さぁ、この後は北比良スカイラインだ。ところが本日は雲が広がり、琵琶湖もほとんど見えないだろうとのことは、ここまで上ってくる木の間越しにチラホラと広がった雲の様子で分かってはいたのだ。フジハゲからヤケオ山へのひとり旅としよう。ところが少し下がり始めると本日最初のハイカーの登ってくる方と交差した。50歳前後の元気な足取りでテントだろう、大き目なザックを担がれていた。

 フジハゲ手前あたりまで来ても予想どうり琵琶湖は雲海のごとき雲の下の景色であった。その雲の上にはうっすらと青空らしき変な空模様である。でも夕立は大丈夫だろうと暢気にヤセ尾根あたりも通過するも琵琶湖は見えずじまいでヤケオ山が近くなってきた。でも、このあたりまでくれば雲もとれ琵琶湖が見えるようになってくれていたのに気がついた。

         
 フジハゲ手前から見る奥のヤケオ山    途中から北のコヤマノ岳、武奈ケ岳北稜    フジハゲから振り返り釈迦、蓬莱

 でも、ヤケオ山についてうれしいことがあった。珍しくウラジロノキの手ごろな高さの木に出会えたのだ。この木は普通3~4mくらいの高さの幼木では花はつけないのだが、こちらでは雪深いからだろうか、2~3mだったが手の届くような高さで実をつけている木だった。いずれ花時の5月ころに花を撮りにやってこようとウラジロノキに約束の握手としよう。(笑)、それに、ここヤケオ山は中井新道への取りつき地点でもあるのだが、その旨の道標等はなく、また、山の地図にもその表示もないために若いハイカーが向かうことはどんどん少なくなるのだろうか。

     
この種の写真まれ、 ウラジロノキと果実   ウラジロノキの葉裏は白っぽい 

 その後の降り道はほとんど降りオンリーのいつものようにバラバラに散らばる踏み跡を降りるばかりの時間帯となった。そしてすぐにタンヤマノ頭だったが、その下あたりでようやくリョウブの花が咲いていた。この木も思いのほか高い木の枝で咲くことが多いのだが、ここではやっぱりそんなに高い木の枝ではなく、手ごろな枝に綺麗な花の咲き初めが目に止まって有難く撮らせてもらった。この木の花の写真もわたしにとっては珍しい。それは花そのものは珍しくもないが花が高く咲くので写真そのものが珍しかったのだ。

   
 タンヤマノ頭の松の木   リョウブの花も枝高く、写真はまれ 

 そして、だらだらと下って上っていけば、小さなピーク標高705の大石を踏んでシコクママコナの群生地でそろそろ準備段階だろうかと期待していたが、いくら今年の自然が早いといっても例年9月花なのだからそれは早合点だろう。それでもその草はそろそろ目出しが進んでいるようだった。やっぱり9月上旬にはイヤ、8月下には気の早い個体が咲くこととなるのだろうか。この種は当地では今のところ鹿の標的とならず忌避植物のようでありがたい。

 ヤケ山(11:15/45)に着けば、そこにはお父さんと小四男、中一女の子くらいのファミリーハイクの方々が、この後どうしようか、登るのか降るのかと散々迷われた結果やっぱりこのまま下山しようと降りていかれた。さぁ、静かになったこちらはここで昼食であったが木陰が狭く暑苦しくで弱ってしまった。

 当方が食べ始めてすぐに、米人らしきがっちりとした40前後の女性が一人で上がってこられ、流暢な日本語を笑顔で話されて「武奈ケ岳まで行く予定なんです。」といわれる。こんな時間から武奈までとはなかなか健脚の持ち主のようだ。でも、見るからに山の服装も決まっており、その姿は今時の若い日本人の山女とは訳が違う本格的な山屋の女性のように見えた。そんなことで注意めいた話など一切よすことにして「お気をつけて!」のひと言だけで見送った。

 食後は先ほどの爽やかな女性とのにこやかな話っぷりに気持ちよくなって、満腹とも相まって悠然と大石道を涼峠すずみとうげへ降っていった。この峠は三叉路で以前はこの峠から寒風峠経由で釈迦岳へがほとんどだった。だが、この涼峠は木陰の中の名前のとうりの涼しくて気持ち良い場所でもちろんここで一本だった。

 
 涼峠へ左の大石道から降りて来た

 さぁ、これより少し進めば足元は石ゴロ多しの悪路が続くのも分かっていることから、慎重に歩くこととしよう。そうして半分以上降りれば東屋があって、ここからの楊梅の滝も豪快に水を落とすのが見えてすばらしい。以前は雄滝の近くまで近づいたものだが、遠くから近年は眺めるばかりとなっている。滝からの豪快な勢いの水の流れの上にかかる橋の下山口には12:45/13:00と、のんびりしてここで後始末を済ませてから長い舗装路をJR北小松駅到着(13:20/26)であった。え~まだこんな時間か、降りるのが早すぎたなぁ~・・。(笑)

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