岐阜県で39.3℃の猛暑となった日に西山徘徊 ’18.7.16 晴酷暑

 経験したことのない酷暑日に西山を歩きまわってしまった。それにしても猛烈な暑さだったので、植物観察どころの話ではなくなってしまったのだ。(笑)、これでは低山へいくら登っても涼しくなる訳がないため、山麓あたりを惰性の徘徊とした。実は金剛山でウバユリが咲きだしたとの情報によっての歩きとしたのだが、結果的にはこちらの山域ではまだもう少しかかりそうな雰囲気であった。

     
ウバユリ(ユリ科ウバユリ属)    左の中央の花を拡大 

 ウバユリは山歩きの中で、春先から艶のある大き目な葉があちこちに出だして、それも多年草のために場所も同じようなところで見られることから比較的よく知られる花だ。まず葉が大き目で目立ち、その後花茎も背が60cm~1m前後になる大型種である。そして茎頂に白緑色の若い蕾を数個つけ、西山では7月中旬ころより下旬にかけて数個の花をやや輪生状につける。

 花は、白~緑白色、長さ約10cmほどの筒状で花冠は余り開かない。蕾は、最初上向きに出て(↑画像一番左)、やがて横向きになり花冠の先を小さく開く。ただ、花が咲いているのは4~5日と比較的短く、その後は黄色っぽく変色して落花してしまうので上手く満開状態に出会うのは容易ではない。

 最もウバユリでは、葉が特徴的であるのだ。その特徴を語らない訳にはいかないだろう。その葉はユリの仲間で笹の葉に似た姿の平行脈とは違い、網状脈で幅広なために葉だけを見ると、ユリ状の花をつけるとは思えないところが他のユリの花の葉との相違点なのだ。
 また、若い葉の表面には艶があるのだが次第に艶はなくなる。そして葉には比較的長い柄があり、大きさは大小あるとはいえ、ほぼ長さ15~25cm、幅8~15cmほどの卵状楕円形で、葉先は三角形状の大型で目立つことからハイカーのどなたにでも知られる花となっている。
 そして極めつけは、図鑑などでも見られる表記で、花時には葉が枯れることがあることから「花期が終わると葉が枯れてなくなることを『歯(葉)が落ちている老婆の姥』にたとえた」ものとの説明がよく聞かれるのだが、現実的には花後でも秋まで葉が残っていることは多い。前述のとうり案内していると、目の前のウバユリに青々とした葉がついているのに出くわし、お客さんの前で目を白黒することがままある。(笑)

 最後に食毒の点だが、鱗茎からデンプンを採取でき、食用にもされてきているといわれるが、ユリ根を食べるほど簡単ではなさそうだ。また春にあの艶のある若い葉を見て美味しそうだと食べる人もいるとは聞くが、下手をすれば下痢しやすいとも言われ、葉を食べるのはよした方が賢明だろう。

 もちろん、花後の花が散り終えた姿や、若い果実のユニークな姿など、見どころ一杯のウバユリは春から晩秋まで長い期間ハイカーを楽しませてくれる野草だと感じているのだが、いずれにしても、昨今は昔のように食糧難の時代とは異なることや、植物多様性の自然保護の観点からも、山歩きの中で安易に植物に手を出すのはご法度の気持ちで森を楽しみたいものである。


 続いて、野草類にも夏の花の咲き初めや、終盤の花たちが散見されたのだが、目が回りそうになって頭がくらくらする猛暑の中ではあったが、救われた気持ちで徘徊することができた。

       
ノギラン(キンコウカ科ソクシンラン属)  オオバノトンボソウ(ラン科ツレサギソウ属)  ヤブカンゾウ(ススキノ科ワスレグサ属)  イチヤクソウ(ツツジ科イチヤクソウ属) 
       
 シオデ(サルトリイバラ科・属)  ↑画像の葉部分  オトギリソウ(オトギリソウ科・属) ワルナスビ(北米原産帰化植物) 

 最後に樹木についた若い果実の一部

         
 コバノガマズミ(レンプクソウ科ガマズミ属)    ヤマコオバシ(クスノキ科クロモジ属)    ノブドウ(ブドウ科ノブドウ属)
 

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