京都西山 山上ケ峰から松尾山 '18.9.19 晴のち曇

 阪急上桂駅-地蔵院-松尾谷林道-北松尾峠-ロータリー-山上ケ峰-烏ケ岳-嵐山-松尾山-阪急嵐山

 9月4日の暴風台風21号被害は京都、滋賀一帯の山域での爪痕が近年にない大被害となったために、山歩きには当分は難しそうだ。そんな中だが被害状況は植林帯や大木古木地帯の被害がとりわけ大きそうで、かつ南斜面を登り、東西の稜線歩きの山域がいっそう厳しい被害を受けている模様のようだ。

 このようなことから、今後の山登りは北側から登り、稜線歩きは可能な限り短く取って山頂を目指し、できれば東へ、または西へ向い登ったとは異なる北向きのコースを下る山歩きの山を選択したい。もちろん、植林の多いコースは避け、可能な限り自然林の多い山域を選びたいものである。しかしながら、こんな絵にかいたような理想論の山歩きコースはまず無理ではなかろう。と雨ばかり続く日々を被害状況の分析からどこのどのコースを登ろうかとの思いめぐらしで地図との睨めっこが続いていた。

 明日からしばらくまた雨模様が続くらしい。それでは今日しかないと天候は涼しさといい青空も広がる素晴らしい日和となった。ところが肝心の道の荒れ様はやっぱり爪痕が少なくはなかったが、でもそんなにひどい苦労ばかりが続いた訳でもなく、きつい苦労するでもなくどうにか歩け、してやったりの一日を過ごせた。

 さて、上桂駅(9:25)から歩きだして、苔寺前京都バス停前からすぐで松尾谷林道に西へ向おう。その入り口の橋には早速白い看板に赤字でこの先進入禁止の立て看板が目に入った。もっとも車は当然だろうが歩きには大丈夫だろうと前進だ。5号橋あたりでもう二人連れの女性が引き返して来られ、早速情報収集としよう。

 「この先で相当の倒木が重なっており、こんな状態であれば先はもっとひどいだろうと撤退です。他に単独者二人の方が入って行かれましたが・・」と聞いているともうトレラン気味の単独者が戻って来られ、そこで4人が話しあいであった。

 ザック等の荷は一切持たない空身のトレラン者は「いつもは13号橋まで行くのだが、10号橋あたりで引き返した。もう一人の方は植林倒木のきつい場所で枝落としなどの作業をされてたが大変なようでしたヨ、そしてもう一人はさらに奥に進まれましたが・・」とのことだった。これらの話を聞き、また繰り返す倒木状態を見ながら、倒木の最小限の枝落としもしてあり、これなら進めないことはなさそうだと判断して前進だったが写真も撮らずにダメだったら引き返せばいいとの考えで歩くばかりとした。

 そして、少しばかり進んで行くと、また一人が戻って来られた。この方も小さなザックで戻られ、戻って来られた方達の様子から、こちらは同じような行動では情けない、これは予定どうりにロータリーまで進んで山上ケ峰を登り、引き返してトロッコ保津峡駅へ降り、小倉山から嵐山駅だと思い直して歩き始めた。

 やがて10号橋手前あたりだったが、ここは一番の大木が重なるような倒木が見事に散乱していた。どうやらお一人で連日作業をされている方に話を伺うと「台風の翌日から毎日のように入っているが、なかなか手に負えない。こんなひどい被害は今回が初めてだ。この先も13号橋までしか行ってないのでその先は知らないが同じような繰り返しだろう・・」とのことで、重々お礼を述べて先を急ぐことにした。

 しかし、この先の14号橋あたり以降の荒れ状態は次第に解消して、ルンルンで歩くことができたのだ。最初の方ではあまり被害がひどいようでは引き返そうとも思っていたために、全くその荒れ状態の写真も撮ってはいなかったのだが、20号橋を過ぎると、すぐに初めて表示の無い小さな苔むした橋(21番目)の場所が鋭角の分岐(10:55)で本日初めてカメラを取り出すことになった。10号橋あたりでの一番の倒木地写真を撮ればよかったのに・・とここで思うが後の祭りであった。

 
三叉路を右へ進む 

 さて、ここで左へは白い立て看板の「井戸のシキビ谷」とだけ書かれており、道はきれいで草もほとんど生えていないのだ。これなら初めて来たハイカーならどなたでも左へ向かうだろう。と思いながら、こちらは前回ここで地図で確認して、右へ取ったことを思い出し、草付き細い倒木転がり先の道も見えなくなった状態の右への林道へ突入であった。でも、すぐに立て看板があったり最後の橋と思われるのは22号橋と真新し表示があった。

 こうして右への道を進めばすぐに整備新しい道が続き、快調に上がって行けたがその高台地が賑やかな立て看板地であることを思い出させてくれた。右側は『日本製紙木材(株)社有林』とあり、左側には『洛西高校書道部』の看板が立っていた。この中には「北松尾1」と標示あることから自分流にこの地を勝手に『北松尾峠』(11:05)としよう・・。(笑)

     
左には洛西高校書道部の看板も立ち   右には山主の看板あり 

 ここからはほぼ水平動の林道となってくれる。ここまでくれば林道終点のロータリーは近いだろう。こんな楽な台風後の山歩きであるのなら、ロータリーから北側へのトロック保津峡駅へ降るのでは余りに簡単すぎるようだから今日はよそう、そして反対方向の南への山上ケ峰へ登って、その後は東南への烏ケ岳、嵐山に松尾山を踏んで阪急嵐山へ下山に変更しよう。ならば少しは稜線を南東気味へ降るのだから、少しは荒れ状態歩きも楽しんでみようではないかとの心変わりとした。

 そうと決まればここ北松尾峠からローターまではのんびり植物観察や展望を楽しみながらののんびり歩きとしよう。読みどうりこの部分も倒木被害はなく、ルンルンで歩けば最初のお目当てのアケビの仲間のムベが果実をさげていたのだが、まだまだ色もつかず若い実が3個見えていた。その後にはナツハゼの実が真黒く完熟であり、早速つまんで口へほうり込むのも忘れなく美味を確認とした。

 
ムベ(アケビ科)こちらは熟しても裂けない 

 その後のお目当ては相当の大木で15mの高さは充分あるだろう、その名はウワミズザクラであるが、さすがに高木で21号台風の受けた風もきつかったのだろう。晩秋でもないのにもう葉はほとんど残っていなかった。しかし、ビクともせずにこの地の王様として君臨しているように感じられた。次ぎの訪れは試験管ブラシのような姿の満開の白い花咲くころにこの木のための山歩きをしたいものである。

 
 高木のウワミズザクラが葉を落として

 さらにのんびり歩きをしていると目の前のなんと急峻そうに見える愛宕山が目に飛び込んできた。ここからのアングルは二度目であるが、なかなか見ごたえ充分であった。右からツツジ尾根、西尾根、左下あたり赤い橋の保津峡橋に、左上方向に水尾集落も見えている。いつもは反対にツツジや西尾根からこちらの鋭鋒の山上ケ峰を眺めているのだが、やっぱりこちらからの景色の方がぞっこんであった。でもこの眺めも手前の樹々の成長でそんなに長くは期待できないだろうと思うと寂しさは隠せない。

 
山上ケ峰下林道からの愛宕山の眺望は見事だ! 

 このビューポイント地からすぐでロータリーだが、結局、北松尾峠から50分もかかっていた。こちらの木陰の芝生でゆったりと半時間の大休止(11:55~12:25昼食)とした。さぁ、これからが本日の本番歩きとなるだろうか、と立ち上がりかけたら、単独者がトロッコ保津峡駅側から到着だった。
 すぐに「道の荒れ様は如何でしたか・・?」と聞けば「少しは倒木があったが従来道とそんなに変わらなかったよ」とのことで、「お互いに気をつけましょうね」と別れ、すぐに山上ケ峰に登りあがった。稜線分岐からの山上ケ峰の踏み跡は途中ほとんど消えかかっていたが、ここの道は下り時が要注意だろう。この山も5年前の台風被害で保津川が大被害となったのだが、それまでは結構人気の山だった。わたしも以前は旧船曳路コースをセットとした山上ケ峰歩きをしばしばやっていたが、近年はご無沙汰ばかりである。

 頂上には以前あったが今では山名札さえ皆無で、無粋な火の用心の立て看板や山主がつけた入るべからずの注意板のみであり、三角点を隠すがごとき倒木が横たわっていた。もちろん、相変わらず展望0で何の感動も味わえない頂である。
 どうしてこんなところへ足を向かせるのだろうかといつもながら呆れかえる山の頂である。しかし、他の地からの山上ケ峰の鋭鋒の姿の眺めが格別なためにどうしても向かってしまうのはこれまでと変わらないし、これからもやっぱり踏んで3等三角点にタッチすることになることだろう。

 
鹿除け網の周りに山上ケ峰(482.6m)の三角点 

 稜線分岐まで降り、右折して緑色の網沿いに進み、いよいよ烏ケ岳、嵐山に松尾山の稜線歩きが始まるのだ。するとすぐ先で倒木を切って整理している人がいた。その方は先ほどロータリーで見かけた方だった。お礼を述べて先へと取らせていただいた。やっぱり予想どうりの荒れがやや出だしてきたが、お蔭で烏ケ岳前後がやや爪痕ありだったのだが、これとて無茶苦茶な状態ではなく、ほとんどが自然林のために、大木等の倒木は目にはしなくて難なく進むことができた。

     
 烏ケ岳(398m)    嵐山(382m)

 烏ケ岳も懐かしい。その頂からはもう樹々の葉が台風で落ちたようで、次の嵐山が45度方向に頭を見せていたが全くの指呼の間だ。道はまたどなたかが先ほど手を入れて頂いたようで、切ったばかりの生々しい跡が方々であり、これが松尾山まで続いていたのは感謝一杯であった。ところがその嵐山のピーク方面はこの方の整備はなかったらしく、少々荒れが見られ、嵐山城跡方面へは藪状態となっており、半袖のために藪突入をあきらめ嵐山山頂へ引き返すはめとなってしまった。

 そして、最後は松尾山ゴールだったが、こちらは京都一周トレイルのために標識や踏み跡はガッチリしており楽勝である。しかし、松尾山の山頂からの展望は次第に樹々の成長で見える横幅が狭くなっていたようだ。ではとすぐに引き返して降れば愛宕から比叡山や市街地が綺麗に見えるだろうと移動した。

         
 松尾山(276m)からの展望は狭くなったよう   展望台から愛宕山や岩田山モンキーセンターも    沢山三山に蓬莱山、比叡山 

 この展望を悠然と眺めながら、今日は台風後にしてはしっかりと楽しむことのできたハイクであったと喜ぶのであった。さぁ、降りれば多くの観光客の仲間入りかとウンザリな気持ちが出てきたが、やむを得ないだろうとぶらぶら散歩気分で降りて阪急嵐山駅(14:50)へ向かうのであった。

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