紅葉真っ盛りの武奈ヶ岳 ’18.10.25 晴のち曇

 JR堅田=坊村- 御殿山-武奈ヶ岳-イブルキノコバ-北比良峠-ダケ道-イン谷口-JR比良

 地震や台風など今年の夏から秋にかけては悪天候による最悪の年となったのだが、それでもようやく爽やかな秋晴れのハイキング日和となってきたようだ。それではと武奈ヶ岳へ紅葉狩りに出かけよう・・!。今年は御殿山コースから登ってみよう。
 でも、やっぱり前情報どうりの台風の爪痕が、これまでに経験したことのないキツイ荒れ様の大被害であった。この登山道の被害が元どうりになるにはどれくらいの年数がかかるのだろうか、と思いながらの急登は余計に心痛むことしきりであったのだ。涙

 さて、今回はカエデ類を主とした紅葉を楽しもうとカエデの写真に忙しい。そしてようやくにして武奈ヶ岳山頂へは2時間半も要して辿り着いたのだが、あいにく御殿山を過ぎる頃より日差しが雲に隠れだし西南稜漫歩が楽しめるゾ・・!、と思うようになってきたのに紅葉の斜面に日があたらなくなってしまった。せっかくの見事な紅葉の光景が台無しだった。なんとか頂における食事が終わりそうな頃に、やや明るさがようやくやってきて、すわシャッターチャンスだと撮ったのがこれだった。残念

 
武奈ヶ岳山頂からの大紅葉見ごろのコヤマノ岳の眺めだったが、日差し少な目でこのありさまでは・・涙 

 坊村からの大倒木地を過ぎてからは、そろそろだな・・と紅葉の景色を楽しみながらゆったりのんびりの御殿山コース歩きであった。

         
 御殿山コース冬道分岐より夏道の谷間はまだ   第二ピークあたりからの西南稜も楽しい歩き続き     ワサビ峠より第一ピーク手前から振り返ると紅葉

 さてさて、本日のわたしのメイン歩きはムクロジ科カエデ属の仲間たちが主体の紅葉狩り散歩である。とりわけ比良山系ではまず見られないカジカエデが希少種の王様だと勝手に思っている。信州方面では普通に見られるのだが、標高やや高めに分布のようだ。比良山系の南の権現山から北の最終ピークでもある蛇谷ケ峰までの山域で、カジカエデにはここ以外には出会ったことはない・・。

 続いて、二番目はコミネカエデだ。こちらは目を凝らせば結構ありそうで、今日も新たな自生地が見つかったので、この山域での確認は三か所目となった。この種はアルプスなどの高山に分布するミネカエデの高山型に対し、こちらは低山型だろう。

     
 カジカエデは比良山系一箇所のみ確認、紅葉遅く落ち葉で   コミネカエデは三か所で確認、紅葉の本番はもう少し先か 


 さて、以前にも記述してはいるが、秋になればなぜ植物は紅葉するのかについて取り上げてみたい。

①緑色の葉は、普段、光合成をして太陽の光と水と空気中の二酸化炭素を、デンプンと糖分に変えて栄養にしているようだが、秋から冬にかけて光が弱くなると、その働きが低下するため、不要になった葉を落とす準備を始めるのだ。

②枝に栄養を流していた篩管ふるいかんが葉柄基部に離層という組織が作られると、その離層で遮断されることになって、葉の糖分濃度が高くなり、それとともに緑の色素であるクロロフィルが分解されて、赤色素であるアントシアニンが生成され、紅葉が始まる。

③また、イチョウ、シロモジ、チドリノキなど黄色に黄葉する木は、アントシアニンができないDNAを持っているためで、その代わり、緑色の下に黄色の色素であるカロチノイドを元々持っていて、クロロフィルが分解されると、その下にあるカロチノイドが表面に現れて黄色くなるのだ。

④もちろん、紅葉の色には赤、黄色だけでなく、コシアブラのように薄黄緑、茶褐色のブナ、ヤマボウシの暗赤色や極端な色合いとしてクロミノニシゴリ、タンナサワフタギのように暗黒紫色など、いろいろな色合いの紅葉となるが、これは樹木の生える土質やさらに日照や雨量等の強さや多さ等の違いによるものだろう。


 日本にはカエデ類は諸説あるにしても、一般的には26種と言われ、わたしは一応カエデ類の全種は何らかの形で観察して出会えている。今回は以下のような種にも巡り逢えた。

     
 1ウリハダカエデ  2ハウチワカエデ 3コハウチワカエデ 
     
 4オオモミジ     5チドリノキ 

1、ウリハダカエデは普通の山域では一番個体数が多い種であろう。そのようなことから山歩きする方ならどなたでも知っておられる名だろう。切れ込みのない葉と3~5裂が混じるが山人に一番見慣れたカエデだろう。

2、ハウチワエデは春の花時が一番分かりやすい。また葉裏の主脈などに毛が残り、葉柄は葉身の2分の1~4分の1の長さで白っぽい毛が多い。葉は7~11裂に浅裂または中裂するのも特徴。

3、コハウチワケデは小ぶりで、葉柄が葉身と同長または3分の2と長っぽいのが特徴で毛もある。葉は5~11裂するが5や11裂は珍しく7や9裂が普通だろう。中には8裂もあるが・・

4、オオモミジの葉は鋸歯が細かく揃っており、イロハモミジやヤマモミジの不揃いの鋸歯とは異なる。葉柄に普通溝はなく、葉身の2分の1~5分の4と長めで無毛

5、チドリノキは単葉といって葉に切れ込みはないのが特徴で特に谷筋に分布が多い。花時も特徴あり。


 カエデ類以外に目についた野草類や樹木たちを簡記しておこう。

         
 リンドウが最盛期だった・・    初見、ツルマメ葉姿は独特の三小葉   左の豆には毛密生、ダイズの原種 
         
大木となるアズキナシ    左の果実は約1cmの楕円形    シロモジはこの山域に多く分布、三浅裂

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