坂下 サカ谷南尾根から小女郎ケ池 ’18.11.27 晴のち曇

坂下-サカ谷南尾根-P762-Ca1080ケルン地-縦走路-ホッケ山 
-ホッケ谷右岸尾根-P735-林道-苗田橋-JR蓬莱駅 

 今日の下界は久しぶりの20℃越えだったようで、季節外れの暖かさとなったと報じていた。お蔭でこちらの山歩きはこの時期にしてはしっかり汗かき登山となるほどで、寒さ知らずの一日であった。今回は雪の来る前に本年初めてのサカ谷南尾根歩きとし、コースの様子を知っておきたかったのだ。もちろん、もう紅葉は期待していなかったのだが、それでも4~500mあたりではそれなりに楽しめた。

 さて、いつものように坂下の最初の民家が見えるとバスを降ろしてもらい、近畿自然歩道の標識立つ地から葛川橋へ降りよう。サカ谷道コースを左に見送り、右折すればすぐ左に小さな丸っぽい「崩坂改修記念碑」の横に説明書きが立てられている。そばの立て看板に説明書きが貼られているが、3年もたてばそのコピーがほとんど消えかかって読めないのが惜しまれる。

     
坂下の近畿自然歩道とりつき地    崩坂改修記念碑と説明版 

 その説明は以前にも書いてたもので、手抜き先番だがそれを使おう。調べると『坂下町葛川橋南詰め付近、安曇川右岸の若狭街道旧道沿いに立っています。文政六年(1823年)6月の建立で、高さは69cmの記念碑です。崩坂は街道中の難所で、その改修は待ち望まれていました。』とある。
 文政六年というとオランダ人のシーボルトが来日した年のようだ。いやはや、大昔からの坂道がたびたび崩れ、あたりの人たちの往来に長年苦労あって、村の庄屋の尽力によってようやくにして改修とあいなったようで、改修による村人の喜びの石碑となったのだろう。
 しかし、現在は崩坂という名に逆戻りとなっているようで、車が走ることはもちろん無理で、進入禁止となっているのは当然だ。我ら登山者のすくいは環境省による近畿自然歩道と指定されているくらいだが、それでも肝心の登山者の利用も皆無といっていいくらい寂しいのは残念である。

 歩き進めば車の走る音がして下を覗くと行者山トンネル入口だ。すると反対側左から尾根の末端が降りてきている。ここを上がってサカ谷南尾根に取りつこう。少し上がれば気にもしていなかった朝日に輝く紅葉が見事に広がっている。

     
 見事な今年最後の紅葉が嬉しい♪♪  

 600mあたりの植林帯から東へ振って下がれば,、杉の倒木が長い間放置のままである。そこで最初の鋸の出番だが、枝葉が多すぎて手に負えない。仕方なく最小限の整備としよう。すると小さなコル(560くらい)はやっぱり倒木だらけの散乱状態で歩きづらい。これより今回の一番の急登であると見上げて気合を入れる。
 ハァハァ息せき切って植林と自然林の境界を登り上げよう。それでも斜面が緩む740あたりまで半時間だったが、そこは目と鼻の先に標高点P762が待っていることから休まず前進だった。そして着いたフラット地でも一本立てるも、本当は腰を降ろしたい処だったが、こんなところで座って休む場合じゃなく先は長い。

     
 コース中一番の急登、雪時は大変   標高点P762からの見晴らし 

 この後の登りは岩場交じりなのだ。そのためにやはり足元に気を使いながらの登りであることも、このコース歩きが10回目ともなるので充分に分かっていたので慎重に登る。すると珍しく植林帯に突入となってきた。このコース中にはほとんどが自然林の歩きのために、これくらいの植林にはまったく気にならない。
 そして880mあたりのブナの古木地(11:08~11)にまた今年もやって来れた。呆然と「また来たヨ!」と一人呟き、ふと足元を見ればそこにはカラスシキミの幼木が立っているではないか。「そうだ、以前赤い実をつけていたのはこのあたりだったのだろうか、それなら今度はこの種が花咲かす5月下くらいに登って花探しするのも悪くはないな・・」と思いながら歩を進めよう。

 
880mのブナの古木地 

 ブナの古木地が過ぎれば、この後に小低木の雑木が続き、やがて道を塞ぐように成長したシキミが登場した。そうだ、これまではここを無理やり通過させられていた所だった。これをやっと整備するのも今回の仕事だとガンガン邪魔な枝葉をやっつけるのだった。出来た~やれやれ・・と歩けば今度は杉の倒木だ。これだけ太い枝葉が多くついておればとてもこちらでは手に負えない。諦めて、う回路探しをと横を見ればきっちり踏み跡だった。どうやら滋賀県側の集落地の名である「北船路共有林」の小さな札が目についたので、やはりその関係者たちが踏んでいたのだろう。

 950あたりからようやく穏やかな散歩道が広がってくれた。でも、すべて葉を落とした雑木林が可愛そうに感じる。やはり紅葉の本番時期か新緑の初夏あたりが良いのでは・・と思いながらの散策としよう。1000mを過ぎるとやや急になるも短いのですぐに穏やかな斜面に上がって来た。
 道なきササ原が広がり、アセビ、カマツカ、シャクナゲなどの小灌木を縫うように進んだ。だが、冬場の澄んだ空気があれば北山の峰々が見事に広がるのだが、これだけ暖かければいかんともしがたいのは当前で好眺望とまでいかない。でもよ~く見れば芦生の傘峠やブナの木峠などの頭も目にできた。

 
 広い雄大な散歩道が素晴らしい

 するとすぐに目的地の小女郎ケ池南尾根のケルン地に到着(12:00~30)であった。このケルンは1960年4月の遭難碑である。まずは手を合わせて頭を垂れよう。58年も前に建立された京都洛陽登高会の方の碑だった。当時は今と違い相当雪深き冬山だったのだろう。でも今では2mも降れば多いほどではなかろうか・・。でも、蓬莱、武奈にコヤマノ岳をバックに本人さんもさぞお喜びの場所ではないだろうか。

 さて、今回はこの後の下山地でも道整備の予定ありのために蓬莱山はパスとすることは心していたので、蓬莱の頭は少しも気にならない。せいぜい武奈にコヤマノ、そして蓬莱の比良のワンツースリーの展望をオカズにお昼としょう。もちろん、眼下に指呼の中の小女郎ケ池も広がっている。

 
小女郎ケ池南尾根のケルンは1m40cmの高い立派な碑で、遭難者の人徳が偲ばれる・・
 
このワンツースリーの絶景は比良山系随一だろうと勝手に決めつけているのだがどうだろう・・? 

 蓬莱山は冬季前の休業らしく、人影は皆無に見える。ホッケ山までの間でもハイカーは2人組と単の3人しか姿なかった。稜線の縦走路は琵琶湖もほとんど見えないような状態で、ホッケに着けばもうこの後に下山するホッケ谷右岸尾根のことばかりが頭をよぎるのだった。

     
 北側からホッケ山の眺め    ホッケから降りる右岸尾根を見下ろす

 縦走路から権現山を右に見送り、カーブ地点で左へ降りることとしよう。ところがすぐにもう倒木攻めが繰り返し待っているのだった。それは標高点P735手前まで続いていた。もちろん、この手の大倒木にはこちらには手に負えない。下山時もそれらの箇所はほとんど右から回避しながら斜面下りの繰り返しとなろう。

 それでも、やれやれで縦走路分岐から20分でP735だった。そしていよいよ問題の迷点の枝切や倒木の枝落とし整備だった。わたし的には690あたりがスタート地点①番とし、2・3・4~と⑨まで行けるようにこれまでから何度か手を入れているのだが、木の成長は早く、かつまた年による豪雨や台風、大雪等での道塞ぎはやむを得ない。そんなことで自己満足ながらこれで雪が多くなっても上からも下からもその踏み跡通りに通過できるだろうと勝手に思い描いているのだが、さてどうなることやら・・?。

 一応、自分の覚書きとしてジグザクの写真を撮って豪雪時でも通過したいために忘れない一助にするつもりである。

    ホッケ谷右岸尾根の雑木多しの踏み跡細い迷点状況(順序は下山時)       
 

 

折 
 

折 
画像無 




進 
① 694m一番広く下山時は分りやすい   ②685ここの登り時は直進し易い    ③679②からすぐと最短、倒木枝邪魔   ③右折すぐの枯れ木切りは太く辛い   
 

折 
 

 

折 
 

折 
 ④670元四差路で直進し易いが左折    ⑤657④からすぐで短い、枯倒木地    ⑥653も⑤からすぐで左折   ⑦648、枝股に空ペットボトルが目印   
 

 
進 
 
これより550あたりまで一番長い直線
だが、倒木、枯れ枝あり大雪時注意


折 
 
リョウブの倒木は道からやや降りて
跨いで右上の道に戻るようにした

 ⑧645ここ広く左折し次までやや長い   途中3本倒木またぐ、枝葉は整備済     最後の⑨ここも広いが後に倒木等あり    ⑨から550あたりまでは古い作業道?  


 550mあたりまで降りてくれば左前方に細い尾根が見える。その南尾根からは細い尾根のために南へ直進すれば、まず道迷いはしないだろう。その間491と400mあたりに↓画像の看板が二か所あるので分かりやすい。下の看板からはすぐ下に林道(392m)へ降り立つ。

 
二か所ある「北浜県営林」の看板 

 うす暗い林道歩きがJR蓬莱駅までほぼ1時間と長く気持ち的に滅入る。でも、左からの林道分岐を見送り右へ進んで次のカーブを過ぎると左側に「ヤマコウバシ」がある。是非見つけて香ばしい良い匂いを嗅いでほしい。もっともこの匂いも今時ではなく初夏あたりがその名の謂れどうりの香りが経験できるのだが・・。

     
 ヤマコウバシ(クスノキ科クロモジ属)   葉は全縁で、冬芽は花と葉の混芽 


本日のトラックは次のとうり。なお、小女郎峠からホッケ山あたりまでの稜線上の縦走路部分は省略。 (画像クリックで拡大)

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