コナラの黄葉 ’18.11.30 曇

 晩秋の自然観察を楽しんできた。里山の紅葉はいよいよ佳境に入っており、とりわけ林立する色づいたコナラ(ブナ科コナラ属)の見事な色彩の光景を眺めていると、人の世の雑念を拭い去るひと時であった。

 さて、古のころには里山には欠かせない生活の必需品たるコナラ、クヌギにアベマキなど、特にブナ科の落葉樹たちは人類の古くより馴染みの樹種たちなのだ。思い起こせば1960年代あたりに地球上において第三次エネルギー革命が起こり、人々の生活は大きな大転換をせばまれたのはかくたくなにない。それは第二次世界大戦後の1960年(昭和35年)代に、それまで燃料の主役であった石炭から石油や天然ガスへ転換されたことといわれる。

 もちろん、多くの家庭の暖房や炊事に木炭や薪などの木質エネルギーが用いられる生活だったが、これらの燃料革命によって一変したのである。それまでは膨大なエネルギーを国内の森林から調達していたのだが、この後、急速に石油、ガス、電気などに移行のために、家庭内エネルギー革命につながって人々の近代的な家庭環境をもたらす一方で、多くの里山における森林が放置状態となってしまったのである。
 さらには山間奥地の木質エネルギー生産の場からも多くの収入と雇用の場が消失するという大打撃となって、離農や過疎化が急速に進んでしまい、現在にあっても日本中はもとより地球上においても諸問題が解消されてはいない状況であろう。(以上ウィキペディア参照)

     
     

 かっての木質エネルギーの代表格のコナラだが、爾来山中に見捨てられ、大木化が進み山は荒れ果てているのが悔やまれるが、秋彩には慰められる 

  かっては人々の生活に密接に関わってきたコナラだが、今では萌芽更新もなく大木化が進み心痛む    ミズナラと違いハッキリとした1cmほどの柄あり 

 
 続いて、里山の黄葉の代表格でもあるタカノツメ(ウコギ科タカノツメ属)は黄葉する樹木の中でもひときわ鮮やかであるのだが、そろそろ艶やかな秋色のその役目を終えようとしている。

     
タカノツメの葉は3枚の小葉からなるが仲間のコシアブラは5枚なのだ・・
タカノツメの名の謂れは冬芽が「鷹の爪」のように見えることからで、唐辛子とは別の種である 


 ハンノキ(カバノキ科ハンノキ属)が多数見られたが、それらはほとんど背が低い。ほんとうはもっと背が高いはずだ。これはどうやら昔から当地では早やい内から伐採されてきたようだ。ふつうは高さ10~30mほどとなる落葉高木との位置づけである。それに乾燥地ではなく、低湿地を好むようで足元のぬかるむような湿地帯で分布している。この木の花は初冬から早春の頃とハイカーの非活動期に咲くようで、ほとんど開花状態を目にする方は少いだろう・・。

     
 葉表は無毛、葉身長さ5~13cm柄は1.5~3.5cm 冬芽は左、長いのが雄花序、右、直立が雌花序   葉裏に7~9対の測脈が隆起する 


 リョウブ(リョウブ科・属)①はふつう背がもっと高くなるはずだが、この度カメラには程よい高さで見せてくれた。ところが、この木はハイカーにとっては極めてナツツバキ②と判断が出来かねる種のようで、よく「この木はどっちですか・・?」と尋ねられる樹木ではなかろうか。その理由は多分樹皮を見て紛らわしいと思われているのだろう。

 さて、・・?。わたしはこの二種の同定には花姿の時には、互いに全く異なるために一目瞭然だからOKだ。ところが花の無い時期にはハイカーが悩むようで、その時には葉でも樹皮でも分かるのだが、初心者にはやや容易ではなさそうだ。結局、花(10~20cmの長い総状花序)で見分けるか、さもないと花の終わった後の花枯れ状態時であれば比較の見分けが可能であろう。ちょうど今頃は果実の枯れた状態(↓右)の姿がついているから、これを見つければリョウブだとなる。

 この種の紅葉は黄も赤色もあるようだ・・    開花以外で決定的なリョウブの同定根拠がこれ  
  葉身長さ6~15cm、幅2~7cmと②より大き目   


 最後にヤマコウバシ(クスノキ科クロモジ属)が今回も見られた。これまでから何度も取り上げてはいるが、要するにどこにでも見られるヤマコウバシであり好きな種のために今回も載せてみよう。笑

 
 葉の全縁も特徴、冬芽の花と葉の混芽が珍し
 紅葉が色あせても長く葉を落とさず目立ち易い 

 
 果実類も見られた。

       
 ウメモドキ  ノハナショウブ   イヌツゲ ヒサカキ  

 ホームヘ

inserted by FC2 system