京都北山 雪の愛宕山 ’18.12.15 曇のち小雪

 保津峡-中~西尾根-愛宕山-樒ケ原分岐-神明峠-水尾-保津峡

 今年は暖冬のようで、雪は多くはなさそうとの予報である。そんな中、なんとこの寒さであれば愛宕山なら雪が見られるだろうと向かってみた。二条駅あたりから山頂方面は白そうな様子が目に入り、「ヤッタ~!・・」と思わず声が出かかった。もちろんアイゼンも用意周到であったので何も心配はない。

 今回のコースは急登で名のある西尾根を登って愛宕山からジープ道より樒ケ原分岐から神明峠へ下る予定である。保津峡駅前には満員らしきバスが発車前であったが、こちらはバスに用はなくまずは中尾根登山口まで車道歩きもすぐだ。山道に入れば急登だが短く稜線に乗る。通い慣れたる道のためにホイホイと進もう。標高点366あたりには、例によってピークハンターさんの新しいきれいな札が下がっていた。多分今年つけられたのだろうか・・?。

 米買道の交差する四差路は大岩という標識が立っているが、名ばかりで小岩でもいいくらいだ。笑・・、この大岩すぐ上に、数年前に鹿除け柵が張りめぐらされた。網の右方向が本来の中尾根で最後はツツジ尾根に突き上げたのだが、鹿除け柵がその中尾根や西側の古道一帯に張りめぐらされて通れなくなってしまった。
 中尾根上部はもう廃道化が進んでおろう。今度は西尾根に乗換えての古道方向の下部は鹿除け柵沿いの端を北へ上り、柵が終われば本来の古道に合流して上は植林帯から水尾岐れ東屋手前あたりへ上るのだ。これが急登の西尾根だ。もっとも、下部は最近ではその鹿除け柵も倒木等で鹿除け柵そのものが痛んでくる始末で、柵そのものの用が足さなくなってきているようだ。そのようなことから鹿除け柵内の以前からの道の踏み跡が次第に濃くなってきている感じだ。

 ところがこの道全体でみれば、この東側のツツジ尾根利用者がほとんどのようで、こちらの道はどうも登山者が以前より極めて少なくなったようである。とりわけ鹿除け柵より上部では一か所だったが、相当の倒木が増加し踏み跡が完全に消えてしまい、慣れない方はこの部分で苦労は間違いないほどの荒れ放題となっていた。倒木で道が消えたそこは北西ではなく北東向きに斜面や樹々を縫えば本来の道が分かることをお覚えておきたい。ここさえ注意すれば後は迷うようなところはなさそうだ。

 だが、枯枝落ち等も相当増えて足元は極めて歩きにくくなっている。次第にこの道を利用する人が少なくなる一方となっているようだ。鹿除け柵設置前の相当昔にほとんど廃道化していた状態を道整備して復活させた身においては、またぞろ廃道化に向かうのだろうかと心配であり、再度の廃道化は誠に残念至極であるのだ。

         
 米買道上の大岩地で四差路   600m直前から雪が出てきた    水尾岐れ手前あたり突き上げる終点

 東屋で一本立てようかと思っていたが、そこへは先客5~6人が喧しいので通過としよう。さすがに表参道だから登山者の姿はピンキリであり、初心者はデカイ笑い声や大声を出す者などがいたり、道が広いからといって横一列で下りてきたりするなど山歩きのマナーなんてものではない。それらを見れば初心者丸出しだから「松の潜りようが足らぬ」ことはすぐ分かるのでもっと山歩きの経験を積んでほしいものだ。。笑

 それでも雪は少ないが、今シーズン初めての雪景色を楽しみながら上がれば、黒門あたりをテン泊並みのボッカ訓練らしき6名の青年が一列に隊列を組んでデカザックで頑張って黙々と歩いていた。このような凛々しい姿の青年に出会えば思わず「ご苦労さん!、頑張ってや!」と声が出るというものだ。「おっ山やってるな!」と見た目もこちらまで超気持ち良いというものだ。

 社務所前の雪をかぶった灯籠が並ぶ景色も久しぶりだった。「今シーズンはもっとしっかり雪をつけて並ぶこの景色を見るのも悪くはないな・・」との思いが頭をよぎり、久しく登っていなかったので、京都の俗諺でもある「伊勢へ七たび熊野へ三たび愛宕さんへは月参り」という言葉どうりの2019年としようと心した。

 お詣りが済めば山頂のストーブ小屋前の温度計は-2度を指していた。その小屋に入れば眼鏡が真っ白でまったく見えなくなってしまったが、いろいろ汗で濡れたものも乾かせてからゆったりと昼食タイムとさせてもらった。いつきてもこの室内は身も心も温まり、これほどありがたい居場所がうれしいの一言である。

 それにしても、こちらが久しぶりの愛宕さんだったために、昔友達と二人で登って、その方と以前から知り合いとなっていた愛宕の常連者であった方の三人で、「地蔵山へこれから行こう!」ということになり向ったのだが、昨今と異なり小さなコルだったが、強烈な吹き溜まりとなっていて、それでなくとも大雪であったことから、とても三人のラッセルでは進むに進めない状態で撤退したことを思いだしその旨の話をすれども、その方は「エ~、そんなこともあったかなぁ~、昔は今と違って雪の量が半端ではなかったからなぁ・・」と懐かしい思い出話に花が咲いたのだった。この方とは「今後は顔を見れば必ず挨拶します」と固い約束をするほどであった。

         
 黒門でボッカ訓練の一隊見る    社務所前の景色、もっと雪を!    愛宕神社へ最後の一段・・

 気持ちもスッキリ、お腹も満腹で山頂を辞することとしよう。白髭神社前にはデカイ杉の根倒し倒木が邪魔していたが、無理やり根っこの上を飛び降りてジープ道に降りよう。白くなった道を小気味よく踏みながら、比叡山方向を眺めるも生憎のガスが取付いており、もちろん蓬莱山方面も壊滅だったのが悔やまれた。

 しばらくでいつも挨拶する「バラ科リンゴ属のオオウラジロノキ(↓左画像)」の前に立った。上の枝を仰げば枝先に2~3cmほどとなると図鑑にあるが、残っている実は2cmもないように見えたが、数えきれないほどまだ残っていた。来年こそ、この花果実を5月下と10月中旬には久しぶりに見たいものである。

 ジープ道をのんびり進めば右前方に二こぶラクダのようなピ~クが見え、奥が竜ヶ岳(↓画像中)である。そして↓画像右が気温が下がれば、京都から遠い奈良の高見山や三峰山に行かなくとも、こちらで樹氷見物は充分と以前から決めている個所だった。ということで今季こそ久しぶりにそれを狙いたいものだ。

         
 葉は皆無だが実は多数残り    ジ^ープ道から奥に竜ヶ岳の頭が    地蔵山へ右折道前は樹氷地やや早い

 竜ヶ岳も地蔵山もパスし、本来なら地蔵山へは右折してやや降って向かうのだが、今日はその三叉路を左(南西)へ進もう。その踏み跡も無雪期ほとんど消えるほどの道は杉の倒木が多いが、短いのですぐにジープ道となる。お正月に晴れれば、小塩山やポンポン山はもちろん、アベノハルカスが出来る前に南の梅田ビル群を見た覚えの場所(↓画像中)だ。そしてジープ道を進めばすぐに樒ケ原へ降りる分岐だが、左に地蔵さん(↓画像右)が祀られる箇所を左折しよう。

         
ここも樹氷が見事な自然林だ     三叉路からジープ道一面ガスばかり     樒ケ原分かれの地蔵さん  

 地蔵さんの分岐から20分も降りると鉄塔地が展望がよいのでいつも一本立てるお気に入りの場所(↓左画像)だ。左から山上ケ峰、中央に小塩山にポンポン山、その右奥に石堂ケ岡など西山から北摂の山並みがずらりだ。今回は二人が先客で遅い昼タイムとしていた。

 展望が済めばまた20分ほどで樒ケ原方面への車道に降りて左折すればすぐに神明峠(↓中)である。その峠は今では舗装路の車道だが、古くからの山の中の道で古道として歴史があるのだろう。わたしは以前はここから保津峡駅までの車道歩きではなく、水尾西尾根を高瀬山を踏みほとんど山道で駅近くまで歩いていたのだが、その道は台風被害等で大荒れとなって現状はとても入れない状況となっているようだ。従ってやむなく6Kほど車道歩きとしよう。そしてしばらくで「岩ケ谷猪谷登山口でこの谷筋歩きもしばらくやってないなぁ・・」と感傷に浸りながらその方向を放心状態で眺めていた。

 そこを右にカ~ブすればすぐにとうとう流れ出ていた水場があったのだが、先の21号台風被害だろう、残念ながらすっかり水の流れが変わってしまったのか水は細くなってしまい、かっての水場としての用を足していないのが惜しい。近い集落の方でもこの水場を回復するようにできないのだろうか・・。でも集落も若手が少なくなって山歩きする人もいないのだろうからこの水場は消え行くこととなろう。これまでから山人だけではなく一般の方でも通行人がこの水場で車やバイクを止めて利用していたのを見かけたことは限りないのだが・・・。残念

 水尾集落が近くなればゆずの里そのものだ。まだまだ収穫前のユズがいっぱい見られる。道端には民家の方々が鑑賞用に植えていた常緑小低木が野生化したもので、ブラジル原産の「ナス科のタマサンゴ(↓右)の果実」があちこちに見せてくれている。ちなみに花はこちら

 5年ほど前までは、この他に明智光秀も戦の血止めに使ったといわれる中国原産の帰化植物であるサンシチソウ(キク科サンシチソウ属)も野生化していたのを何度も見たことがあるのだが、昨今は開発等によって絶滅したのかまったく目にしなくなってしまった。

         
鉄塔下は見事な展望地だ    神明峠から奥へは八木へ    鑑賞用のタマサンゴの果実 

 駅についても今年は天候がそんなによくないのか、土曜日だが保津峡駅前にユズ風呂帰りの飲み足りないグループの宴会姿はなかった。というのは以前は長い間そのために駅前でお店を出していた地元のおばーちゃん達も高齢には勝てずに廃業のようだった。山間部の人たちの生活はとりわけ大変なことだろう。なんていろいろ侘しいことばかりだったが考えながら満席の電車に飛び乗った。

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