京都西山 冬至近づく西山古道 ’18.12.19 曇

善峯寺-京青ノ森-展望台-柳谷分岐-立石橋-西山キャンプ場-野山梅林-光明寺 

 今年も冬至(12/22)はすぐそこまでやってきた。あれだけ暑かった年だったが、この時期ともなればやっぱり寒さが身に堪える。さて、今年の光明寺の紅葉には残念ながら間に合わなかった。しからばとやっぱり台風後の西山古道も歩いておきたいということで向かってみた。
 このコースは「NPO法人京おとくに・街おこしネットワーク」の皆さんがコース全体を10年前に復活され、その後も鋭意コース整備されている。とりわけ先の21号台風の爪痕は過去に誰もが経験したことのないほどの大被害を受けたのだ。その被害もいち早く完全復旧されたと知っての古道歩きだったのだ。

     
 登山口の橋もバッチリ復旧   最初の善峯寺展望台 

 こちらのバス停から善峯寺前の登山口までが特にきつい登りの車道で一番辛い。でも橋もきれいに復旧され、足元も快適な道となっている。最初の展望台にも立ち寄ったりして、次は右に釈迦岳、ポンポン山方面を見送り、左へ水平動が気持ちいい。次は「白糸の滝」と初めての方なら、名前を聞くだけで思わず笑っちゃうほどの小さな滝に出会うが、ここで思わず大笑いしよう!・・。この時期は落ちる水も細いが、初夏前は結構落ちる元気な姿の白糸の滝が見られるのだが・・。

 実は台風の爪痕はこの先から始まるのだ。太い杉の大木やコナラ達の根倒しから始まり、道を塞ぐほどの大木の連続跡があちこちに出現していた。しかし、それらの爪痕もしっかり手入れがなされ、歩くにはほとんど支障はなくなっているのが嬉しいことこの上ない。そのあたりには昭和30年代建立だが、今では荒れ放題で幽霊屋敷同然の京都青年の森記念のログハウス前後あたりも被害が大きい。でも、すぐのクリンソウ地はきれいにされて、これなら来春の開花も楽しめそう。

     
 可愛い「白糸の滝」が・・笑    クリンソウ地は見事に復旧し・・


 花園地からすぐ上の京青の森四差路も当然完全復活であった。実は21号台風上陸は9月4日だった。わたしはその二日後にポンポン山へ歩いたのだが、その時にはここも惨憺たる倒木のオンパレードでもあったのだ。でも、大沢からはもう車が上がってきていた。そちらも復旧が早かったらしい。丁度その車の方がおられ、少しばかり荒れ情報交換である。単独で「尾根等の見回りだ・・」とその姿は黄色いハンターさんだった。「猪や鹿たちの寝ぐらがほとんど変わってしまった」とのことだったが、その点はこちらにはよく分からない話だ。笑
 さすがに登山者の行かない尾根や谷筋の話が中心であったのだが、こちらもその部分は特に興味ある方面の話なので夢中で聞かせていただいた。以前に西山で100Kくらいの猪を仕留めて、大勢で山の斜面をロープで引きずり下ろすのを目にしたことはあるのだが、山中でハンターさんと親しく話が聞けることはほとんど経験はないが、今日は犬連れではなかったのが救われた。笑

 このあたりから新しい林道が縦横に出来ている。しかし、西山古道は林道を横切る形で歩けるのがありがたい。というより新しい林道が以前からの登山道を避ける形で開発されたのは登山者のことを考えてくれたのだろうと、よい方に考えながら歩くことにしている。

 ベニカンのゴルフ場を右に見ながら網沿いを進んで行くが、道沿いではない所に貴重な数少ない「ゴンズイ」が生える場所を見に寄ると、近くのコナラがすっかりゴンズイを覆うように倒木が被さってしまっていた。これは大変だ。西山で唯一ここだけで見ているゴンズイを守ってあげないとと、早急に鋸持参で対処したいものだ。 

 そしてすぐに展望台にやってきた。ここで都富士の比叡山を正面にしながら心ゆったり昼食としよう。自然の中で大展望の何と素晴らしいことかと思いながらの時はこれが正に至福の時といえるのだろう。比良の権現方面は今日は見えなかったが、比叡に横高山、水井山はもちろん、音羽山塊の山並みなどが並ぶのだ。

     
 京青の森はベンチだらけ・・   二番目の展望台、比叡山等真正面 

 この後はほとんど下り道となるのだが、倒木類はそう多くはなさそうだった。そして木漏れ日の広場から柳谷観音さん分岐だが、今日はお寺へはパスとしよう。ここまでくれば下山したも同然だが、山歩きはまだまだ続くのだ。林道が出だして並行して歩いたり、雑木帯や植林帯を縫うように歩けば次第に谷筋へ入る。

 しかし、谷あいの被害も相当のものだったよう。その整備がまた見事であった。コースの管理のメンバーには素人とは思えないほどの技術力を持つ方が多いのだろう。ほんとうに頭の下がる思いばかりであった。すると谷の両側が岩だらけで3~4mほどの高度に、10人乗っても大丈夫!とのことで、名のついた「十人橋」が大改造されて見事にりりしく設置されていた。この橋を以前は多くの人たちを滑りそうな日に、手を取りながら渡った覚えがよみがえったが、ここまで頑丈に整備してもらえば安心して渡れるというものである。ありがとうございます。

 この十人橋を渡ってしまえば、右側にやや切れ落ちる道が続くも、これまた頑丈に整備されており、その間はそんなに長くはなくすぐで立石橋へ着く。なんの標示もない立石橋を渡り、すぐ左への鉢伏林道で西山キャンプ場に向かおう。もっとも沢山の標示物が賑わっているその右端に「西山古道の道標19」が立っており、その中へは「長岡天神、光明寺へは右矢印」が書かれている。だが、そちらへは街中歩きとなってしまうために、10年前に復活したとおりの古道を歩いて、最終の光明寺へ歩こうと西山キャンプ場へ向かうのであった。

 こうして緩やかに登り気味に広い鉢伏林道(この林道は軽四輪車の走っているのを何度も見ているがどうやら市役所のキャンプ場等の見回りらしい)を歩き、キャンプ場入口で作業員が倒木処理を数人でやっていた。あまりにやかましすぎるために素どうりし、野山へ急登しよう。するとこちらも鹿除け柵が張りめぐらされているも、方々で倒木個所がある。でも最小限度の整備はなされて歩けるようにされていた。そして野山の梅林地到着だ。こちらは河陽が丘等の近隣者が毎朝登山され、その方達だろうがすっかりきれいに整備されている様子であった。すこし一本立てさせてもらい後にした。

         
 頑丈な十人橋に改造された   左は立石橋、右へは鉢伏林道へ     ここは野山の梅林お休み処


 野山には梅林があちこちにあったのだが、持主の高齢化でいずれも放置されてしまっている。その一部にお休み処が整理されているのだが、そこより3~40分でゴールの光明寺到着だった。ここはもちろん浄土宗の法然上人を祀る大寺院で、とりわけ紅葉の時期には全国からの観光客を集めることで知られるようになった。しかし、この頃はほとんど人影はなく寂しい境内が広がっていた。

 
 光明寺の御影堂

 本日の歩きは約10kほどでゆっくり歩きのために5時間もかかってしまった。その中で見かけた主たる植物達は次のような種であった。


 真っ赤に実をつけたタマミズキ

 まず最初はタマミズキが本日のお目当てだったのだ。この木は落葉高木樹で10m以上の高さに成長が早くなる木で、特に年末から1月ころの寒い時期に山肌に点々と真っ赤な実が遠目に入る樹木である。東日本には分布せず西日本型の冬季樹木といえるだろうか。とりわけ6月頃の花は小さく目立たないのでほとんどの人は見たことはないだろう。
 やっぱり話題は寒くなりだす果実時だ。それは3mmほどと小さいながらびっしりとつく赤い実が特徴的だろう。やっぱりモチノキ科の仲間だけに赤色はよく目立つのだ。

 わたしは西山のよく歩く地では4か所見ているのだが、今回はその内1本は実がまったく見られなかったが、その他はびっしりとやパラパラとつける木があった。ふつう真っ赤な実をびっしりとつけるのだが、今年はいろいろのようだと見ているのだ。以前と違い近年のタマミズキは総体的に果実が見られる年は少なくなったように感じている。
 しかしながら、この種は登山道沿いにはなく、ほとんどが人の入らない谷への斜面などのようで、登山中に見るのは容易ではなさそうだ。結局、タマミズキ、タマミズキと意識しながら探し回る山歩きとしないとなかなか出会える樹種ではなさそうだ。それも、見えたとしてもなかなかそばまでは寄れないほど遠く離れた地に赤々とした木が立っており、そのそばまで寄ることすらしんどいので写真は今回も涙だ・・。

     
遠くのタマミズキ(モチノキ科モチノキ属)     割に近かったが激斜面で撮るのは辛い


 次はムクロジ科カエデ属だ。いろいろあったが、これ(カエデの果実)ばかりやってられない・・。笑

 中でもイヌガシの黒熟する果実は初見であった。この独特な姿の花は早春に何度も見かけてはいたが、果実のこの時期では初めて出会えた。それにラン科の常緑のコクランが目に入り、西山という近場であったことから、来年からは遠くまで行く必要が無くなってこの上ない喜びとなった。

         
ここも湿地の ウメモドキ   イヌガシの実は初見     見つけたコクランはラッキー!


 最後にツツジ科のシャシャンボが黒紫色に完熟し、白い粉をかぶっている果実を多数つけていた。ここぞとばかり口に放り込んだ。やっぱり、ブルーベリーはうまい・・!、?

     
ツツジ科の中でも亜高山帯のクロマメノキ
の実とともに1~2を競う美味しさといわ
れ、ブルーベリーの仲間ともいわれる
ようだ・・
   
縦に剥がれ落ち、赤褐色になるのも特徴    シャシャンボ(ツツジ科スノキ属)    常緑小~高木でよく分枝し、5mにも・・

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