京都西山 ナナカマドのポンポン山 ’19.1.8 晴のち曇


 今日も山は晴れそうだ。ならば近場のポンポン山へ登ろう!。この山の王道でもある立石橋から取りつこう。半時間ほど登れば近年林道が登山道と交差して作られている。この交差点は古くより関電の巡視路道の起点でもあったのだが、最近は人の入りがなくなって大荒れ状態の廃道化が進んでいそうと見上げていると、隣の林道をハイカーが降りて来られた。
 その方に尋ねると「上は展望台までこの林道が上がってる。」と言われる。ならばと始めて追ってみることとした。地図にも表示ある電線下をほぼ登るようなことから、これなら上部にある西山古道の展望台へ上ることになるのだろうと読んでの目論見どうりだった。この読みがぴったりで、途中この木も予想していたタマミズキの新たな発見もあったりして、これなら4~6月頃には他の樹木もありそうだし、春、秋の歩きも楽しめそうだナ・・と早くも先の歩きに期待することとなった。

 さて、幸先のよいコース取りとなったのだが、今回は他でもナナカマドの美しい実を見ることができたのが一番の喜びであった。実はこのナナカマドは関西圏の他の山々では5月末に白い花がいっぱい咲くのは目にはしていた。もちろん、その仲間のウラジロナナカマドやタカネナナカマドなどは、これまでのアルプスの高山で数えきれない出会いがあったのも忘れられない思い出のひとつだ。さらには小低木のナンキンナナカマドも関西圏の山で何度も出会っていた。

 ところがである。このポンポン山でのナナカマドの存在はこれまで全く出会った覚えはなかったのだ。しかし、この夏に出会ったハイカーより「稜線で見たのはナナカマドでよいのでしょうか・・?」と質問を受けたことから、すぐにその方と別れて引き返し、「ナナカマドに間違いない!、やった~」と喜び勇んで現認したことがあった。
 その後はその箇所を注意深く観察はしているが、9/4の21号台風によって花殻のついていた枝先は折れてしまっていた。その後に別道で新たにつけられた「ナナカマド」の標示板を見つけたことがあり、それを思い出しての今日の歩きであったが、してやったり、やや遅めではあったが、なんとか真っ赤な果実はそれなりに残ってくれていたのである。

 そもそもナナカマド(バラ科ナナカマド属)は落葉高木で6~10mになると図鑑にある。仲間には前述の種(それらは低木の1~2mだが・・)やアズキナシにウラジロノキもその高さは10~15mともっと高くなる種なのだ。これらも同属であるが、同じようにナナカマドも高い樹木のために、たとえ咲いていてもその花がハイカーの目につくことはほとんど容易ではない樹種であろう。

この真っ赤な実の姿は見事である  

バラ科ナナカマド属の分類(日本には以下の6種しか自生しない)

種名   樹高 花期  小葉 *  果実  分布域
ナナカマド   6~10m  5~7月 4~7対 実の表面に皮目なく、頂部に萼片が残る   山地
ナンキンナナカマド 2~3m  5月頃   3~4対    〃   〃
ウラジロナナカマド  1~2m  6~8月  4~6対  〃 亜高山~高山 
タカネナナカマド  6~7月  3~5対  〃  〃
アズキナシ 10~15m   5~6月  単葉 実の表面に皮目あり、頂部に萼片は残らず   山地
ウラジロノキ  〃

*以上いずれも落葉樹で、葉は全て互生でありナナカマドの仲間は奇数羽状複葉、ただしアズキナシの仲間は葉が互生だが複葉でなく単葉

 このような果実の美しさでは今日も見たタマミズキなどと共に一、二を争う樹種であろうと一人で喜び乍ら見いっていた。今年はこのナナカマドの開花時や果実の最盛期などを今期絶対に見逃さない観察をしたいと一途に心に決めたのだった。今日は↓画像のようにほとんど野鳥にだろうか、果実は少なくなっていたが、その果柄すらも真っ赤であり綺麗そのものだ。ただ、この株は先の台風に直撃を受けたようで、辛うじて根絶やしとはならず、なんとか倒れかかっているくらいだったのだが、やや心配な状態が案じられる。

     
 台風で長い果柄などが一斉に曲がっている    果実と果柄が見事というほかない美しさだ

 続いて、京都府では絶滅危惧種であるヒノキバヤドリギ(ビャクダン科ヒノキバヤドギリ属)であるが、一昨年だったかおそらく細い道の草刈り中に道幅を広げようとしたのだろう、宿主のソヨゴの木をハイカーだろうが、希少種が宿っていることを知らずに切り倒してしまったのだった。

 その後注意深く観察していたが、無くなって淋しく思っていたのだが、今回はその近くのソヨゴにヒノキバヤドリギが宿っているのを発見できた。まだ5cmほどだが、これから成長してくれるだろうから観察を続けたいものだ。実はヒノキバヤドリギは数年前に発見していたのだが、そのページはこちらのページ下段からご覧願いたい。
 なお、以前発行された「京都西山に咲くリスト」にもヒノキバヤドリギはもちろん記載されていない。しかし、これも表記ないがナンキンナナカマドも分布するかも知れないから、さらなる充分な観察を続けていきたい。

↑画像クリックで拡大

 他に見られた果実や冬芽、さらには希少なシダ類等もご覧いただこう。

       
今日は7か所目のタマミズキ発見  さらにズームだが苦しい・・   ほとんど終盤のヤブコウジ 寒空に一斉に空を向く冬芽のネジキ

 シダ類では京都府で準絶滅危惧種の指定を受ける希少種であり、葉の形が矢の根、つまり矢じりに似ている「ヤノネシダ」は貴重だ。しかし、土砂崩れ等で危機にあっており保全や観察には充分注意していきたい。その点ヘラシダは普通に見られる。この種は裏のソーラスがハの字型で面白いので取り上げてみよう。シダの観察ではソーラスの確認は必須なため必ず葉を裏返して見たい。

     
ヤノネシダのソーラスは円形    細長いヘラシダの葉裏が面白い 

 ポンポン山手前の稜線上に先の猛烈台風の爪痕だった大杉の倒木群が、常連組のハイカーによってチェンソーで伐採整備されていた。大感謝でありこれで元どうりの登山道にして頂けた。ありがとうございます!。山頂からの眺望は愛宕山、地蔵山すらぼんやりとしか見えなかったが、こちらは久しぶりに鍋、バーナー持参のボッカ訓練で雪山対策だったのだ。やっぱり頂の寒さの中において、暖かい食べ物は筆舌に尽くし難い時を得られ、1時間もゆったりとしてしまった。ニコニコ

         
登山道の整備進み感謝!     眺望よくない日だったポンポン山    帰り道日傾くイヌブナ大木地 

ホームヘ

inserted by FC2 system