京都西山 ヤブコウジのポンポン山 ’19.2.5 曇

立石橋-立石林道-新鉄塔道-展望台-京青ノ森-釈迦岳-ポンポン山-第三ベンチ-白糸の滝-RP長3-嫁入り道-西山キャンプ場-立石橋 

 近年は立春には山歩きをしていたが、本年は一日遅れとなってしまった。どうやら天候を気にする山歩きの昨今となっているのが原因だろうか。これがわたしにとっては実に情けない昨今だ。以前は決めた日が天候の如何にかかわらず決行していたのだが、そのような意気込みが次第に薄れがちなのは、やっぱり寄る年波に左右されているのだろうが、やっぱりこれが残念だ。そろそろいつまで山と自然を楽しめるのは後何年だろう・・、と数える年代となってきていること事態が寂しい限りだ。でも春はそこまで来ているこの頃だ、楽しみの山屋をほそぼそながら頑張ってみたい。

 そんなことから、今日は小春日和でほとんど寒さ知らずの一日であったが、内容的にはほとんどこれが山歩きだ!、といえるものはなく、これぞ惰性の暇つぶしといってよさそうだった。京青ノ森で一息いれていると、常連さんの一人であるYさんが追いついて来られた。この後は山頂までご一緒させて頂いた。

 その間の山道は次第に先の台風被害があったのだが、常連さん達によって整備が進すみ、ほぼ従来の道を踏むようにして頂いている。しかし、その整備の残害や山肌の大倒木の痛手の景色が目に入るなどして痛ましい状況には心痛む。今年はこれだけ暖かいのだから、そろそろマンサクも咲いてくるのではといつものところで探していると咲けば黄花がすぐに目にはいるハズだが、残念ながらまだまだ先のようだった。するとそこへ、「もうポンポン山へ行ってきたよ」とこれまた常連のHさんに出くわした。いずれにしても、これからも地球温暖化が進むこととなれば、さらなる猛烈な台風、豪雨等の大災害がやってくることになり、山歩きなど楽しめなくなるのではと考えてしまうが・・。と思いながら歩を進めた。

 ポンポン山に着けば早めだが、穏やかな日差しのもとでゆったりと昼飯にありつこう。YさんはHさんが待っている常連組の地へ向かうと山頂を後にされた。もやっており眺望はよくないが、静かな山頂でのんびりと時を過ごそう。この至福の頂が何ともいえないのだ。こちらではもう10日もすれば春一番の花であるフクジュソウの開花が始まることだろうと心浮き浮きとなって、他に何思う・・・。そばのカマツカの樹木が台風によって幹がひび割れ、根っこが持ち上がっている。果してこの樹は今後命を持ちこたえることはできるのだろうか。でも、厳しい自然の中で何度もこれまでから災害に打ち勝ってきたことだろうから大丈夫だろう、いや生き残ってくれることだろうと木肌を撫でまわしていたのだった。

 ポンポン山山頂西側にはくしくもポンポン山と同じ標高(678.9m)を持つ鴻応山があるが、この山には昔はコウノトリが生息していたことに由来するというのが山名のようだ。京都府亀岡市と大阪府能勢町の境界にあるらしい。関西百名山の一つであり、もちろんその全山踏破済だ。

 
 ポンポン山山頂西に見える鴻応山は同じ標高 

 気がつけば小一時間も居座っていたようだ。あたりを見渡すと山頂にはやっぱり10人も姿はなかったが、入れ代わり立ち代わりだから山頂を踏まれた数はその倍くらいだろうか。平日だからこんなものか、さぁ、腰を上げてこのベンチを空けよう。下山に取りかかるにしてもどのルートで帰るか決めもしていない。これぞ足の向くまま気の向くままだった。東海自然歩道をそのまま戻って、釈迦岳を踏んだあたりでこの先の道が決まった。次に出てくる第三ベンチ手前を左折して善峯方向へ下山し、西山古道まで降りると善峯寺とは反対のクリンソウ地方向へと歩こう。途中の白糸の滝がお目当てなのだ。

 白糸の滝といえば本家の静岡県にある「白糸の滝」を思いだした。ネットには次のような件があった。

「世界遺産・富士山の構成資産。湾曲した絶壁の全面に大小数百の滝が絹糸のように落ちる。本滝の一部を除いてすべて湧水となっている。春の藤・秋の紅葉は滝に色どりをそえる。名勝・天然記念物に指定。日本観光百選滝の部第1位」

 わたしは富士山展望の山歩きを何度となく登っていたのだが、その時にももちろんその世界遺産の白糸の滝を見ており、それが高じて、お客様を富士登山の後や滝の周辺の富士の展望地の登山の後に、この白糸の滝をなんどとなく案内したのが忘れられない。ここで小さな、小さなポンポン山の白糸の滝の前で一人で眺めていると、静岡の白糸の滝を思いだしてしまうわたしであった。

 暖かいコーヒータイムとしたことから気も心も温まったので先へと進めば、ここでも台風被害の杉の倒木だらけの地であったのだ。ここももちろん西山古道の世話人さん達によりチェンソーによる大整備がなされており、大荒れの西山古道だったようだが、5月ころにはこの先のクリンソウを楽しみにやって来られるハイカーさん達にはその時に感謝されることは頑なにない。

 今日はそのクリンソウは時期ではないため、その手前のRP長3を左折して「嫁入り道」へと歩こう。先月も歩いているので、もう今年二度目だ。最初はやや荒れ気味だが、次のRP長4を右折以降はきれいに整備済でルンルン歩きができる。早春のコバノミツバツツジの満開が待ち遠うしい。

 こうして、里山歩きを楽しんで最後は西山キャンプ場だ。ここも台風被害で倒木整備は出来たが、キャンプ場の水場は配管の痛手が大きく、まだ使用禁止状態が続いている。しかし、この地は行政管理エリアのために年度内には手が付けられることだろう。
 あたりには鹿除け柵が方々に貼りめぐらされているのだが、この網柵も台風被害が大きな痛手を被っており、またぞろ鹿が柵内に入り込む状態となっている。そのために植物達にも影響がありそうだ。山を徘徊すればこのような心痛むことが多すぎて気を休める山歩きのハズがかえって心配事ができてしまうありさまであるのが悲しい。

 そして鉢伏林道をテクテクで何とか立石橋への周回歩きがエンドとなった。フゥ

 さて、最後に本日の植物をご覧いただこう。今回はヤブコウジについて観察してみよう。

 
ヤブコウジ(サクラソウ科ヤブコウジ属)

 ヤブコウジはヤブコウジ科であったが、分類替えとなりサクラソウ科に変わっている。常緑小低木で10~20cmと低い。花は7~8月と暑い時期に白い花を5~8mmの小さく下向きに咲かせ、花びらに暗紫色の斑点が並ぶ。ところが面白い点だがそれは、開花の年の10月頃から真っ赤に色づく5~6mmの球形の実の姿が美しい。その実が長い時には赤くなって熟してから翌年の暑い開花時の7月近くまで果実が長期間残る点が特異な種であろう。この点を今年はその赤い果実が無くなるまで観察を続けたいものである。
 それに、樹木好きな方ならどなたでもご存じの「十両」といわれるのもよく知られていることだろう。ちなみに一両アリドオシ、百両カラタチバナで、千両、万両はもちろんずばりセンリョウ、マンリョウである。これらは古の頃より万人の金欲を満たすための目出度い樹々ばかりのために、大昔から庭木として植栽されたり、お正月の縁起物として愛されてきたようだ。関西人にはカラタチバナ以外はほとんどのハイカーや観光地の庭園等でも目にされていることだろう。なお、自生のカラタチバナをわたしは静岡県の伊豆半島の山々で出会っている。  

 次は2月も立春の頃は、春は名のみで寒さ厳しき頃なのだが、ふつう樹木たちは紅葉も晩秋が過ぎればほとんどが枯れ葉を落としていく。しかし、樹木の中には年を越して2月になっても枯れ葉をそのまま落とさずに春の新葉の展開を待って新旧の葉を入れ替える種がある。
 その一番手はクスノキ科のヤマコウバシである。近年の巷では、葉がいつまでも落ちないところから、特に落ちない所だけに目をつけて、受験に落ちないよう神頼みにと神社などでお守り札に使われて人気のようである。もちろん、長い間葉を落とさない樹木は他にもある。ヤマコウバシだけではなく、続いてよく知られるのが、ブナ科のイヌブナの葉もヤマコウバシのように葉持ちが長いようだ。今日もこの二種は競うように枯れ葉をなびかせていた。「どうか受験生のお役に立てればいいのになぁ~」と思いながらその木を眺めていたのだった。もう我が家には受験生はいないけれど・・笑

 樹皮に特徴のある種を見かけたので撮ってみた。いずれも10m以上にもなる高木種のために花が咲いても容易に観察は出来かねる。しかし花や葉は木の根元を探せば、落下しているものが見つかることはあるので探したい。

         
 イヌブナ    ナツツバキ   マメガキ 

 比較的珍しいシダを覗いたり、ワクワクしながら山野草の春を待つ姿もいいもんだ・・。本日の踏んだ道はこちら↓、画像クリックで拡大!

ホームヘ

190215.htmlへのリンク

190218.htmlへのリンク

190221.htmlへのリンク

inserted by FC2 system