京都北山 滝谷歩きの愛宕三山 ’19.2.18 晴のち曇

保津峡-西尾根-水尾分かれ-表参道-愛宕山-三角点-ジープ道-
竜ヶ岳-滝谷-反射板-地蔵山-樒原分岐-神明峠-水尾-保津峡 

 ことしは2月中旬というのにずばり魚上氷(うおこおりいずる)の候となり、山の雪もほとんど融けてしまっていることだろう。と愛宕三山を狙ってみた。もっともわたしのかっての三山コース取りは愛宕山が大杉谷左岸から、竜ヶ岳は愛宕三角点より芦見谷を下って竜登口からの東尾根をやり、そして地蔵山へは滝谷から取りつくという人の姿のほとんどないルートばかりでやってきていたのだが、昨今の豪雨豪雪に台風等の自然災害を受けたことから、マイナー部分が大荒れとなってしまって、それらのルートへは入ることすらままならなくなっている。
 今回はその内の地蔵山への滝谷経由のみとなってしまったことから余裕で三山巡りとなった。といいたいが、滝谷部分も今は人もほとんど入らないらしく、踏み跡は消えたも同然で、本来のルートどりはままならなくて、反射板地へ着いた時の喜びはひとしおの気分であったのだ。


 さて、では最初から綴ってみよう。本年の愛宕へは4度目だが、登りはなぜか西尾根ばかり登っている。西尾根部分はもちろん一人っきりであり、話すのは気持ちだけで植物を見ながらのんきなものである。シキミは前回花芽が膨らみかけていたものを見ていたのに、その後20日もたってもそのままのように見えた。またいつものヒイラギが目につくとすぐで植林に入って水尾参道に上がるのが分かる。
 水尾分かれの東屋へ着くと今日も大勢休んでいる。こちらはひと息いれたらすぐに出発だったが、元気組の3人が見る間に追い越して行ってしまった。どうやら消防団のトレーニングのようだ。それは相当な遅れ組に聞いて分かったのだ。服装からザックからどうりで均一だった。エ~、これが仕事かいな・・?、でも、これ以上は語らないでおこう・・。笑

 黒門が見えると、その手前左側には杉の大木が目立つ。その株元へ上がって手でさすり元気をもらおう。ついでに西側を向けば植林が広がり、左手に尾根が伸びているように見える。「お~あの尾根を水尾へ降りる探検をしたら面白そうだ。季節を選んで考えよう。」などと他愛ない思いを巡らしながらの表参道歩きである。

     
 大岩あたりまでは楽だが後がきつい     表参道上部の黒門手前に杉の大木

 すぐで社務所あたりには何人かが巻き割りを上のストーブ小屋へ運んでおられるようだ。「ご苦労さんです・・」と感謝の挨拶を忘れない。

石の階段を上がれば歴史ある古い鳥居とその柱には『神使いの猪』が描かれている。この猪も手でさすって今日は火の神さんではなく、登山の安全を頼もう。笑、そしてすぐ上に『上の亀石』が祀られている。これは大宝年間に役小角が泰澄を伴って山に登り、神廟を造立したのが始まりと伝わり、この石も役小角が置いたという名石で、『上の亀石』といわれるそうだ。もちろん、『下の亀石』も山麓の鳥居本の一の鳥居のそばの平野屋の前に祀られている。この上下の亀石は地中でつながっているとの伝説もあるという。

     
 青銅鳥居の両柱に神使いの猪   愛宕神社でも大勢のボランティア姿 

 愛宕山は-1℃と今日は暖かいが、ストーブ小屋で昼食としよう。(11:20~12:00)、中に居られた方たちに「ご苦労さんです」と声をかけると「○○さんですか」と名指しでいわれてびっくりポンだった。「前に花の名を教えてもらいました。」と話しがはずみ、巻き割りの運び屋さんにも忙しい方だ。「Hさん、Tさんご苦労様でした。またご一緒しましょうね。」

 さぁ、この後は三角点に向かおう。ところが晴れているが暖かすぎて展望はサッパリであった。こちら三角点(12:20)からの眺望は残念!、そんなによいことばかりはないのが人の世だ・・。とすぐに次の竜ヶ岳をと、足は勝手に向かっていた。

 
  愛宕三角点

 ジープ道は氷かけてはいたが、アイゼンまで用はなさそう。トレースから一人の先行者が竜へ向かっているようだ。その内に帰って来られることだろうと思っていると10分ほど先で交差した。三角点より40分ほどでこちらは竜ヶ岳へ着いた。(13:00)

 
 竜ヶ岳もすぐに辞す 

 引き返して小さな鞍部に立つナツツバキ(13:07)から右折するのが滝谷へ向かう地である。先は少し登って行けども久しぶりで谷への降り口までもまったく記憶がなくなっていた。稜線を少し左へ進めばようやく降り口らしき覚えが戻って来た。すぐ↓2枚目のとおり激下りである。向かい側には真上に感じる地蔵山が見下ろしている。それにしても雪が少ないので面白味はさっぱりだ。多雪時には右にとらなくて、直に雪の上を滑るようにして降りたことも思いだしていたが、今日はなんたる雪の少なさヨだ・・。

 ↓三枚目は岩場に根付いたヤマグルマが立っている。「や~久しぶりだね、相変わらず元気に初夏ころには花を咲かせてるかね~・・」とひとり言でご挨拶だ。この木は歴っきとした常緑樹なのに、晩春には赤茶色に色づき落葉する不思議な木なのだ。今日もご覧のように葉はだいぶ色づいていた。名の謂れは葉が枝先に車輪上に集まってつくことから付いたようだが、谷筋の岩場あたりが好きなようで結構、このような危なっかしいところで目にすることがある。

 それでなくとも、足元に小岩多しで急坂下りで歩きづらいがより慎重に下ろう。でも心配していた倒木は最後にあっただけで途中にはなくて助かった。過去には↓最後画像の地でなんども昼食を食べているのだが、谷の荒れ様がこの後に各所に出てきたのは予想外でしっかり冷や汗をかいてしまった。
 でも、なんとか上流の二股地まではこれまでの左岸とは違い、ほとんど右岸を移動することになった。そして谷の二股地のここより左斜面を上下するのが、これまでから赤布などの目印もあってほとんどのハイカーはこちらを利用しているのが主流のようだ。でもわたしはこちらを上下するのは数少なく、今回ルートばかりであった。なぜなら、みんなと同じ道はイヤなのだろう・・。笑

     
 目印のナツツバキ地を右へ降りよう   滝谷への急坂を降りていこう 
     
 赤茶色に色づくヤマグルマ    滝谷へやっと降りて来た、久しぶり 

 そして、この後は反射板へ向けての激登りであるのだが、最初に枯れ枝をいっぱいつけた倒木が坂道を塞いでいた。だけど今は踏み跡すらも完全に消滅であった。倒木枝のそこを無理やり突破して左向きのロープ場を進むと、本来の道へ向えるハズだったが、ロープが終わると、ぷっつりと進行方向は消えており難儀してしまった。とにかく上へ上がればと頑張って稜線だったが、正解は真上に進むのでなく左上からが稜線だった。
 それでもフラットになれば安心で、すぐに反射板地(14:18)だ。ここまで二股からやはり半時間ほどかかって上ってきたことになるがこの時間は以前と変わらなかった。いずれにしても、この滝谷への上下はどの部分も廃道化状態と言えるだろう。しかし、無雪期となれば道はできるだろうが、近年秋ごろにはナツツバキからミズナラの5本兄弟地へ向えば、向い側からの熊の唸り声がしばしば聞こえ、わたしはこのルートは避けがちとなっていたのだが、寒気は冬眠時季だろうと今回は鈴を鳴らさずに歩いたものである。冷や汗

     
 滝谷上流部の二股地、左が本流か   右谷よりさらに右の急斜面を上がろう  

 滝谷歩きの結果は、竜ヶ岳から戻ってナツツバキの地から滝谷へ降り、上流の二股地へ進み、それより激登りをやって反射板地までの歩きに1時間10分もかかっていたことになる。

     
人工物は撤去されないのだろうか    この地からの地蔵山 
     
 地蔵山で行動食     ピークハンターさんの標示も 

 地蔵山(14:30~40)でちょっと一服してからジープ道へ出よう。最後の三叉路から西斜面がやや倒木で荒れ、本来の道は半分ほど消えているがジープ道へ進めば大丈夫だ。高台から牛松山を見下ろし、このあたりからハルカスのまだ無い頃の正月に大阪北部のビル群を眺めたことを思い出していた。

 そしてその先の樒原分岐を左折して関電巡視路道を下ろう。途中の鉄塔下のお休み処での眺望も今一で残念だった。最後は神明峠(16:10)へ着地で、岩ケ谷入口近くの去年の台風で水の出が細くなったしまった水場で後片づけもして、水尾からJR保津峡駅(17:15~43)へ着いた。それにしても日が長くなっているようで駅の外灯はつかず、あたりもまだ明るかった。ゆったりと着替えを済ませてから電車に揺られた。今日も一日楽しく遊ばせていただいた。

     
樒原分岐を左折    神明峠(16:10)  

 本日のトラックは以下のとおり

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