西山に咲く花 ’20.5.24 晴

 西山でようやくイヌザクラに出会えた。ただ、向かうのが一週間ほど遅かったかな‥という感じが悔やまれた。しかし、これで今後のイヌザクラの定点観察が可能になったことを喜ぼう・・。このイヌザクラは15mはあるのだろうか、見事にスリムな高木である。

 山歩きの方ならどなたでもご存じのハズのウワミズザクラと同じ花姿で、試験管ブラシのような白い桜の花を咲かせるのだ。ただ、ウワミズザクラと異なりイヌザクラの個体数は極めて少ないために珍しい種ではなかろうか。この二種の一番の相違点は花の下へ葉をつけない方がイヌザクラの大きな特徴だ。もちろん相違点は他にもいろいろあるのだが、そのうちにボツボツ語ることにしよう・・。笑

 
びっしりと花をつけるのも特徴だろう
       
花序軸に葉はつかない
     イヌザクラ(バラ科サクラ属)     

 イヌザクラの樹からさらに下れば、今度はこれまた太い太い古木のリンボクという、これもイヌザクラと同じバラ科のサクラ属の仲間が立っている。といっても、サクラ属はほとんどが落葉樹なのだが、このリンボクはバクチノキとともに、二種のみが常緑樹なのが大きな相違点である。もっともわたしは植物園でしか自然の中でのバクチノキは見ていない。その名前からして博才なき我が身には似合わないので、その樹に出会おうとの気力はもうない。笑

 一方、このリンボクは相当な年数がたたないと花はつけない。幼樹はもちろん、5~6mにまで成長しても花は咲かないために、西山や東山ではリンボクはとっくの昔から知っていても、その花など見たことはなかったのだ。もっとも以前に大阪南部の岩湧山では咲いたリンボクの花を見たことはあるのだが、もうその様子は記憶の範疇ではなくなっている。今年の秋にはこの満開のリンボクの花を見られるのが今から待ち遠しい。

 今日のリンボクの果実もいよいよ枯れ落ちる時期となったようで、果実の表面がしわがれたものも見えていたが、さすがにこの時期ともなればついている実はほとんどなさそうだ。今年の2月末に初めて見た果実の様子は2/27のページでどうぞ!

 
常緑樹の桜、リンボクの実はいよいよ最後か 

 木本類も花時で楽しい。とりわけ、石崖に咲くニワフジは初見だった。がしかし、多分自然種でなく植栽の感じだったが、この種は図鑑にも「野生種はなかなかお目にかかれない」とあるのだ・・。その他は特別とりたてたものはなかった。

         
 ニワフジ(マメ科)    ハクチョウゲ(アカネ科)中国原産     コアジサイ(アジサイ科)
         
 ツリバナ(ニシキギ科)    コツクバネウツギ(スイカズラ科)   ツクバネウツギ(スイカズラ科)白花 
         
 コゴメウツギ(バラ科)    タニウツギ(スイカズラ科)    ヤブデマリ(ガマズミ科) 

 タツナミソウの仲間を目にすれば夏がきたことを知らせてくれる。今回はそのグループの最初を飾るコバノタツナミ、それも白花であった。草丈5cmと可愛いい。だが、こちらもやや出遅れ感の咲きようだった、残念、その後の歩きでも本来のコバノタツナミにも出会えたのはラッキー・・。 

あまりこの道まで足を伸ばさないため、比良で見たきりだったカワヂシャの満開に出会えたのも感動ものだった。ぬかるんだ溝の縁に群れ咲き生える高さは10~50cmのようだが、今日の花の草丈は30cmで、2年草のために出逢いはたやすくなさそうだ。でも、嬉しい花だった。

 つい一週間前に見た外来種のオオカワヂシャは1mほどと丈が高く、また葉も大きい等見た目でも全然違うように感じたのだが・・?。聞けばメシベも自然種とは違いがあるとのことだが、その点でもよく見てみたい。しかし、茎や葉は無毛でやわらかく鹿が見つければたちまち食べられてしまいそうで、心配だが如何だろう・・。今後も可能な限り観察してしてみたいが、遠いので・・。汗

 
 帰化の方ではなく カワヂシャ(オオバコ科カワヂシャ属)ならいいが?

 次の花、こちらもこの道では初見の花だった。もちろん他の山域では方々で見ているので、まだまだツボミだったが直ぐにハンショウヅルの出会いに喜んだ。「あっ、ハンショウヅルだ。」、と一瞬たじろいた。日当たりのよいところにあったが、開花はもう少し先のようだった。
 つる性で花弁状の萼片は白い毛で縁どられる花が、暗赤色で下向きに咲き鐘形の花を半鐘に見立てた名前である。この仲間もいろいろあり、花時や色あい等それぞれ個性を主張しており、いずれも独特な花姿で好きな花である。満開時を狙って再訪しよう!

 
 ハンショウヅル(キンポウゲ科センニンソウ属) 

 ツチアケビが今年も元気に芽だしとなってきていた。こちらは鹿の食害と人間様が外敵となろう・・?。しかし、この地では山主の方はこの希少な植物を考え、これまでから草刈り時にも人目につきにくいように、長めに草刈りをされる等、配慮され大事に見守って大切な宝としておられるそうだ。

 このように心ある地主の方へ感謝し、気楽に見物させてもらえることは誠に有難いことである。ただし、近年は鹿とハイカーだけが気がかりだ。ハイカーの方々へ伝えたい。「興味本位で触って疵つけたり、成長を弱らせたりすること、そしてもちろん盗掘は厳禁である。!」ことを節に願いたいものだ。その理由はツチアケビが腐生植物のため保全や移植が難しいため、持ち帰って移植してもダメなことを知ってもらいたい。

 ただ、鹿によるツチアケビの若い植物体や開花した花が食べられる被害も殖えてきたといわれる。これは結果として種子ができないことになり、個体の更新が難しいことから、ツチアケビの個体維持が容易ならしめない現状も知ってもらわなければならない。

 
ツチアケビ(ラン科ツチアケビ属)  

 山野草たちは見慣れたものばかりだった。それは、カキツバタ、キショウブ、スイレン、ミズタビラコ、タニギキョウにコウゾリナであった。

ホームヘ

inserted by FC2 system