比良 小女郎谷から蓬莱山 ’20.5.30 曇のち晴
本年初の蓬莱山である。この時季であれば稜線に咲き誇るであろうアズキナシを観察してこようとで登ってみた。だが、思いもよらず稜線の樹々の開花はいずれも大幅遅れの様相でがっかりとなってしまった。ツボミもほとんど見当たらず、昨年同日の超満開がやっぱり今年の裏年なのだろうかと考えてしまった。ただの開花遅れだけならいいのだが・・。トホホ
もちろん、ドウダンツツジやコトリトマラズ達の樹々の花々も同じだろうと、金毘羅峠道より下山の予定が、蓬莱山からはあえなく一番花が少ないと、これまでから避けてばかりのキタダカミチを下山道と変更してしまったのだ。この道にはバイカオウレン、ホンシャクナゲ、シロモジにイワカガミが多く見られるのだが、それらの開花時期は当然過ぎているのは読み込み済みであった。
ところがである、目ぼしい植物もなくただただ長い九十九折れをひたすら下山していると、あてもしなかったコナスビの変種の『ナガエコナスビ』を見つけてしまった。この初見花に初感動のキタダカミチとなったのが、本日の小さな喜びでありがたかった。
それではそのナガエコナスビについてふれてみよう。母種のコナスビもわたしにとっては雑草くらいの扱いとなっていたので、昨今は目を向けることは余程他に花のない時くらいしか、ほとんどない種となっていたのだが、ナガエコナスビにはそうはいかない・・。。
だが、この花はなんだ~・・。とその場へついた時にはびっくりしてしまった。詳しくを帰ってから調べれば、山地の渓流沿いなど木陰のうす暗いあたりの、水に近い場所に多いとあるとおりであったのだ。とりわけ花柄が6~18mmと長いのをナガエコナスビと呼ぶらしいが、こちらでは16mmあった。花径は1cmでコナスビよりは大き目だった。5本の萼は細長がく、上から見れば花びらの周りに尖り気味の先がアクセントとなっていた。
茎は地面を這い、今回は5~15cmと長く目立っている。葉は対生していた。茎や葉・花柄には毛が密生し、葉身は広卵形で先は短く尖っていた。開花期は5~6月中心だが、夏から秋まで長く咲くようなので、これからも湿っぽい木陰あたりならばこの花を気にかけたいものだ・・。もちろん、本来のコナスビにも以後は目を振り向けてやりたい・・。笑
ナガエコナスビ(サクラソウ科オカトラノオ属) |
ナガエコナスビは長い花柄も独特で、茎も毛深く茎が地を長くはい、その点でも目立っている。
次の花は『デワノタツナミソウ』であった。タツナミソウも同定のやっかいな種であろう。しかし、このデワノタツナミソウは唇形花の下唇に紫斑の入らないのが大きな特徴と大方の図鑑にも表記ありだ。近畿地方以北の主に日本海側に分布とある。
デワノタツナミソウ(シソ科タツナミソウ属) |
地中海沿岸を中心に中央アジアから北アフリカ、ヨーロッパに分布するといわれる『ジキタリス』、それも白花が一輪だけ咲いていたのを初めて目にした。もちろん暗赤色の指サックのような姿で下向きに密に咲かす花を最初に見たのは鈴鹿南部で苦労して登った池小屋山の山中で見たのは忘れられない。それに伊吹北尾根からの下山道でも暑い最中にこの奇妙な花に出会ったのも思い出のひとつだ。昨今では北山のとある林道にも沢山見られるのだが、今回のように群生の中に白花が見られたのはラッキーだった。
なお、花の形がユニークで美しいので、園芸種としての流通もあり、ジギタリスには全草に猛毒があり観賞用に栽培する際には取り扱いに注意が必要であるから、避けるように話しているが・・。
珍しい白花のジキタリス(オオバコ科ジキタリス属) |
野草類は山においてもほとんどが終盤となっている。とりわけ、花の谷小女郎谷の花の賑わいシーズンへやって来られなかったGWあたりが恨めしい・・。今頃急登をエッチラオッチラでは情けない・・ナミダ
ウワバミソウ終盤 | フタリシズカ終盤 | ミズタビラコ終盤 | オククルマムグラ終盤 |
スキー場の植栽?、クリンソウ終盤 、谷へクリンソウとハルザキヤマガラシ |
しかたないから、樹木の花や葉などの観察会としよう・・。
ゴンズイはもう少しで咲く | イボタノキは満開 | カジイチゴ は多くないキイチゴの仲間 | |
ニシキウツギもう終わりか | カマツカは稜線上ではこれから開花 | イヌブナの葉は毛深い | |
今日のアズキナシは花皆無で寂しい | アズキナシの葉脈が美しい~ | この傾いた大木もアズキナシ | |
上右の大木に絡むイワガラミ葉鋸歯粗い | チドリノキではなくクマシデも葉脈美 | 毛のないのがヤマハンノキ |
歩いた順に主たるポイント並べる。
薬師ノ滝 | 大杉に自転車が10年前からか | 小女郎ケ池と21号台風で飛んだ駒札 | ||
蓬莱山1等三角点、後ろは武奈ケ岳 | 山頂のテラスは観光客0人 | キタダカミチの王様、天狗杉 |