西山 サイハイラン、ハンショウヅル ’20.6.5 晴のち曇

 今年は早かったサイハイランに出会えた。この地でのサイハイランは久しぶりであるが方々では大きな群生や1~2株と寂しい咲き方であったりのいろいろな光景が楽しめる種であろう。サイハイランの名は花穂の形が戦国時代の大将が軍を指揮するときに使う采配に似ているとして名がついたのだ。

 サイハイランの株は原則葉が一枚であるのだが、こちらでは保護柵内のために近づけない。遠くからではその辺りの様子が撮れないのが残念だった。そもそもラン科は以前腐生植物といわれていたのだが、昨今では「菌従属栄養植物」といわれており、光合成を止め、菌根菌から栄養素である炭素を略奪することで生きる植物のようだ。
 わたしのこれまで見たラン科の中でオニノヤガラ、タシロランなどがこの菌従属栄養植物で一枚も葉をつけていない。ところが、長い年月の間に進化をかさねて、最後の一枚の葉となってしまったサイハイランはこの一枚で辛うじて光合成もしているようなために「部分的菌従属栄養植物」である可能性があるらしい。後世ではサイハイランも残る一枚の葉も退化させて無葉となり、菌従属栄養植物となるのだろうか・・。

 また、こちらの花は白っぽい花や、やや茶褐色じみた花が咲いていたが、株によってはピンク色や黄色等を帯びた花が多いところがあるようだが、株により色の濃淡があるところは自生種のよい点だろう。と生態の不思議についても楽しみたいものである・・。

 
サイハイラン(ラン科サイハイラン属) 

 12日前にはツボミばかりだったために、早く行かないとと思って出かけたのだが、思いのほかこのハンショウヅルは長く咲くようで、今回もまだまだツボミが沢山ついていたので助かった。植林の大伐採跡の地のために日差しがきつく今後の成長は危ぶまれるのだが、このハンショウヅルも大事に見守りたいものである。

 この種はセンニンソウ属の仲間のようなため、もうすぐ咲いてくるセンニンソウといろいろな点での確かめも観察していきたい・・。それは花はもちろん、葉やつる、さらに秋のころの果実など多くの様子等の楽しみがあることだろう。

 
ハンショウヅル(キンポウゲ科センニンソウ属) 

 今年もそろそろヤマハタザオが咲くのかな~・・と斜面をつぶさに探してみた。まだまだ咲き初めのようで開花は多くは見られなかった。調べると昨年は6月の中旬のようだった。小さな花で5~6mmとのこと、草丈は逆に30~80cmと花に比べてバカでかく、全くもって撮りづらい。今年は60cmの高さだったが・・。でも昨年はなんとかうまく撮っているので6/16から見て欲しい。なお、↓の画像説明は昨年画像で詳しく書いているためそちらで代えたい。

 
一番上の様子、花は総状で長角果も長い
       
    中間の茎の様子、茎には毛多し、葉は茎を抱く    下部の様子、越年草でロゼットで冬を越す 

 ハンショウヅルと共に同じ日の12日前に見ていたツチアケビが心配になって足を伸ばしてみた。こちらは多くの株数で元気に成長しており一先ず安堵した。その訳は鹿の食害や盗掘等の恐れがあって長く注視していきたい花なのだ。そもそも、ツチアケビはナラタケと共生しているというラン科の菌従属栄養植物である。

 葉は退化して鱗片状になって葉緑素はない。梅雨の後半になるころにはツチアケビが花を咲かせてくれる。今年もこの花をなんとしても見たいものである。そしてその花を終えると、まもなくでソウセージのような実ができてくるのだ。ソウセージ状の実は膨れていき、この果実の様子がアケビの実と似ているとして名がついている。さらに10月ころには秋のツチアケビの実は熟しきって、ツチアケビの実はやがて役割を終えていき、冬には全草枯れてしまうことになる。そして翌春4月末くらいから、新葉の芽だしが始まっていくのである。

 
 ツチアケビ(ラン科ツチアケビ属) 

 野草類はそれほど多くは見られない。近年どちらの山野でも鹿や猪等による害獣被害で、山野草類は薬草類等を除いて芽出しはしても、多くは花の開花までは成長することは容易ではなさそうなのが悔やまれる・・。泣

       
 マルミノヤマゴボウは鹿の大好物だが  水っぽい登山道で見るミゾホオズキ   ウツボグサは昔薬草で鹿は忌避する  ミヤマヨメナは鹿被害注意花だ 
 

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