キササゲ・カクレミノ・シリブカガシ ’20.7.5 曇

 本格的な梅雨真っ盛りの日々となってきた。とうてい山へは迎えない。やむなく街中の公園内における植物観察としたい。どうやら本日だけは雨は一日お休みのようだ。せっかくだから、我がテリトリーでは見られない植物を探しながらのお散歩としよう。まずは『キササゲ』である。

 キササゲ(ノウゼンカズラ科キササゲ属)は中国に分布する落葉高木で、古くから日本各地で栽培されたため、しばしば河岸などでは野生化した個体が見られるとある。センブリ、ドクダミ、ゲンノショウコ、カキドオシなどと共に民間薬として知られるが、このキササゲは果実にカタルポシドを含み、民間療法として古くから利尿薬として用いられてきたらしい。

 キササゲという名前の謂れは、マメ科の野菜でササゲに果実が似るため、木になるササゲに由来しているといわれる。この果実の長さが30~40cmにもなり、幅は5mmほどの線形となってぶら下がる姿は異様にみえるのも特徴的であろう。この実は熟すと縦に裂け、種子の両端に長毛が密生するようだが、晩秋ころだろうかそのような姿も楽しみにしたいものだ・・。

 
 野菜のササゲにそっくりな果実が木の枝から下がっている

 わたしは、これまでからこの種を目にしたことはなかったが、図鑑等で知っていたために、今回頭の上にその豆姿が飛び込んできて、「あっ、キササゲだ!」と一人で声を出してしまったほどである。それになんと嬉しいことに、ちょうど花時なようで美しい黄白色の花がこちらを見下ろすかのように咲いてくれていた。樹木の高さは5~15mにもなるようだが、こちらのは5~6mくらいの高さだった。

 
キササゲの花は花弁にギザギザがあり、あたかもギャザーのよう 

 続いて、カクレミノ(ウコギ科カクレミノ属)はコシアブラやタカノツメと同じ仲間である常緑樹だが、樹高は3~8mとそう高くならないことから常緑低木の一員である。名前も面白いが、その謂われは着ると姿を隠すことができるという蓑のことで、葉はこの蓑に見立てたものと(樹に咲く花という図鑑)ある。

 その枝先に集まってつく葉は、若木の葉は3~5裂するが、成木では切れ込みはない。また、個体によっては花のつかない枝の葉が3裂し、花をつける枝では切れ込みのない葉も見られるという。

 
落葉樹のカエデのようだが、この葉はカクレミノで常緑 

 ただ、常緑樹のカクレミロだが、秋から冬にかけては、黄色くなって落葉するらしいので、11月下旬ころには葉っぱが緑と黄色のツートンカラーになってきて面白い光景となるようだから、その頃にも訪ねたいものである。もちろん、花も咲くのだが、今回はまだまだツボミ膨らむころだったようで、今月下旬には咲いてくれることだろうから、やはりまた足を運ぼう!

 
カクレミノの花はまだまだツボミだった・・ 

 最後にブナ科の仲間でもあるシリブカガシ(ブナ科マテバシイ属)の果実姿で頭を悩ました、その話をしよう。トホホ

 まずは↓の写真群を見ていただこう。わたしは④で常緑の全縁であるアカガシは知っているが、幅は狭いし、どうみてもアカガシではないなぁ・・?、それに②の若い果実だろうが、こんなの初めてで、まったく手に負えない樹だなぁ・・?と首をかしげてしまった。

 帰宅後すぐに図鑑をめくるも、こんな②のような写真は見当たらない。食後にも図鑑めくりを続けるもどうしても埒があかない。ならばとネットで訊ねよう。すると、ブナ科ということであった。しからば常緑樹の種を画像検索で②と同じような画像が出て、マテバシイorシリブカガシとなってその違いを探せば、やっとシリブカガシとなったのである。

   
① 高さ15m、直径50mほどになる常緑高木 ② この果実姿を見て驚いた、面白い格好だ
   
 ③葉裏は銀色っぽい、葉脈は8対ほど  ④葉は全縁、やや光沢、葉先は尾状に尖り

 わたしが、マテバシイとシリブカガシの相違点より、後者に決定づけたのは次のような違いだった。ただし、どんぐりの様子は秋になるのでその頃に確認したい。

  マテバシイ  シリブカガシ 
葉脈 10~13対 多め 6~8対 少な目
葉裏 緑色  銀灰色
葉先 短く尖る 尾状に短くのびる 
どんぐり底 広く浅くへこむ  狭く深くへこむ

 だが、ネットでは上記以外の他の相違点である次のような点も教えてもらったので記録しておきたい。

①マテバシイの花の開花は6月頃と早く、シリブカガシは9~10月ころの開花のようで、花の開花時期の相違もハッキリしているようだ。

②マテバシイの葉の最大幅の位置は葉の先の方で、シリブカガシの最大幅位置はほぼ中央のような違いもありそう。ただ、この点での区分はやや難しそうに思えるが次回にでも試したい。

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