植物園、御所等の植物観察 ’20.7.12 曇のち晴
今回はようやく梅雨の中休みとなって、フウランとモッコクの雌株を目当てに出かけてきた。フウランはやや満開には遅しとのことで白色から淡褐色じみたものの方が多くなっていたのが残念だった。大木の樹上に着生する多年草なために、噂を知った写真家らしき方が何人か先着であり、どうやら、花の内容より写真の方が主体の方達であったようだ。こちらはその反対派だから、持ち合わせた機材の面からいっても、身を小さくせらざるをえないために惨めだった。でも、撮った写真からみても始まらない代物なのだから、そんな不平を言っても・・と静かに引き下がることとした。シュン笑い
フウラン(ラン科フウラン属) |
これまでから、単なるカラスウリは方々で赤い楕円形の果実を見かけていたのだが、キカラスウリの実には一度しか出会えていなかった。というより、その時には下山後に一度だけ黄色くなったキカラスウリの球形の果実が見られた。だが、その翌年に再訪するも堤防法面がコンクリート化しており、キカラスウリは完全に影も形も消えていたのだった。
しかし、カラスウリ属は雌雄異株だ。どうやら雄花ののど元には黄色い葯が見え、葉腋に順次3~4花をつけ、萼筒は膨らまずほっそりしているとのことだ。また、雌花は緑色の柱頭が見え、萼筒の根元が膨らんでいればその部分が子房ということで雌株と分かるようだ。しかし、↓二段目左画像では見ずらいが、花の落ちた萼筒は膨らまずほっそりしているように見えることから、残念ながらキカラスウリの雄株であろうか・・?。トホホ
なお、↓二段目右画像はカラスウリの花だが、残念ながら雌雄どちらか確認は取れていない。
キカラスウリ(ウリ科カラスウリ属) 花冠の裂片の先が広がる |
咲いていたキカラスウリの花 * | 参考画像 こちらはカラスウリの花(’20.8.5撮影) |
* キカラスウリの葉は、葉の表面にはやや短毛があり、濃緑色で光沢がある。そして、カラスウリの葉と違いザラつかない 。
モッコクの花には完全に出遅れたが、ネットで探し回りモッコクの雌株にも初めて出会うことができた。もちろん、最初に行った植物園においてもモッコクの雌株を大分探したが、雄株は何本もあったのだが結局、雌株は探せなかったのだが御所でようやく出会うことができた。
モッコクの両性花、今秋は果実を見たい | 雄花は地元でも見ているのだが・・ |
マテバシイ、シリブカガシはブナ科の仲間たちなのだが、極めて似たもの同士であろう。それでも二つの種の違いを探し出してみたいと観察だった。もちろん、以下の通り以外にもいろいろ相違点はあるようだが、それらは別途の機会としよう。
チェック点等 | マテバシイ | シリブカガシ | |
前年開花後の実と葉先 | |||
昨年開花の実は双方酷似、葉先はやや丸っぽい | 実は前者と酷似、葉先が尖る点が相違点 | ||
葉裏の色 葉脈数の相違 |
|||
葉裏の色の相違 | 葉裏はふつう緑色 | こちらの葉裏は銀灰色で白っぽい | |
開花時期 | 6月頃咲く樹木はふつう | 9~10月の秋に咲く樹木は比較的少ないのでは |
モチノキ、サンゴジュやトベラの果実も目に入った。
モチノキ若い実、葉の先はほとんど尖らない。葉脈はほとんど見えにくい | ||
サンゴジュ名の謂れは実が珊瑚に似るから。枝は燃やすと泡が噴出し燃えにくい |
さらに近場の公園にも立ち寄れば、大木の二股へ着生していたマツバランがたまたま目についた。この種はもちろん全国的にもレッドデータ種でもあり、京都府カテゴリーは絶滅寸前種であって、極めて稀少で珍しいシダ植物である。調べると原始的な植物で、葉や茎の区別がないといわれる。また江戸時代にはイワヒバなどとともに、変異株が珍重された歴史があるらしい。
シダ植物のマツバランが大木に着生してた |