ポンポン山の花歩き ’20.9.28 曇のち晴

 「今年のジャコウソウは豊作だヨ・・」と知り合いの方より情報が入った。しかし向ったのがその後すぐではなく、やや終盤だったのが残念だった。でも、遅めとは言え情報どおりで、これだけの花数に出会えたことはこちらでは記憶になく、この遠慮がちの薄紅色である彩り花を前にして、愛しさには毎年心躍らせてくれるのだが、今年はいつになく大きな感動の一日となってくれた。もちろん、鹿除け柵内ばかりは致し方ないのだが・・。

 ところが、例年であればアキチョウジやツリガネニンジンが咲いてくれくれるのだが、どうしたことかアキチョウジは数えるほどであり、ツリガネニンジンのごときはまったく見られなかったが、時期が早すぎたのだろうか・・?。イヤ、こちらでは裏年となっているのだろう・・。

 
ジャコウソウ(シソ科ジャコウソウ属) 
 
 

 イヌショウマもしっかり咲いてくれていた。しかし、この花は水辺ではなく山地の湿った木陰に生える多年草である。この種は比較的咲くのが珍しいよう思えると勝手に感じている。それはバラ科のヤマブキショウマや、キンポウゲ科のサラシマショウマはよく知られるのだが、さらにはユキノシタ科にもトリアシショウマやアカショウマなどもあるのだ。

 このように、同じく○○ショウマとの名前のつく花で、科の分かれる野草もきわめて珍しいといえよう・・。とりわけ、イヌショウマの蕾は↓画像にチラッとあるように、ほんのり淡紅色なのだが、開花すれば萼や花弁が落ち、残るのは真っ白な雄しべや雌しべだけとなる花姿も面白い・・。

 
 イヌショウマ(キンポウゲ科サラシナショウマ属) 
 

 オタカラコウはメタカラコウの仲間だが、分布域がことなることから、両方の花が同じ場所では見られないのが残念だ。西山や愛宕山塊ではメタカラコウは見られない。とはいえ、愛宕山では田中澄江さんが花の百名山執筆のためにはるばるやって来られたのだが、残念ながら今ではそのオタカラコウすら絶滅してしまったようだ。もちろん、西山でも鹿除け柵内でどうにか咲いてくれるのを見るばかりである。

 メタカラコウは関西圏では伊吹山の上部斜面で見られるのはよく知られている。また、オタカラコウは普通には山地の湿地で花を咲かすのだ。そしてオタカラコウの舌状花が5~9個と多めなのに対して、メタカラコウの舌状花は1~4個と少ない。花姿はよく似ているが、この舌状花の数でもすぐに区別は可能であろう。

 
 オタカラコウ(キク科メタカラコウ属) 舌状花の数が多い

 キク科といえば秋花がよく見られるが、なかでも白い花を咲かすシラヤマギクの数は近年少なくなっているように思える・・。花の高さ1〜1.5mで、茎や葉には短毛があってザラザラする。下部の葉には狭い翼のある長い柄があるのも特徴だろうか。

         
舌状花の数は少なく、疎らにつく    シラヤマギク(キク科シオン属)    下部の葉の葉柄には翼がある 

 西山の山域では染色体数が32本の4倍体のトリカブトが咲くことが新聞で2年前に発表された。、「4倍体のトリカブトは全国初の貴重種」であることのようだ。またムカゴがつくことも大きな特徴の様だ。

     
トリカブト(キンポウゲ科トリカブト属)     その特徴であるムカゴつきのトリカブト
     
ツリフネソウの残花もまだあり    アキチョウジはまばらに咲き 
     
 こちらのウバユリはどうにか鹿に食べられないで    リョウブの丘より小塩、愛宕山も見え

 西山の三か所で知る桜の仲間でもある常緑樹のリンボクだが、なかなか気難しい種のようで満開にはなかなかなってくれない。8日前に出かけたB地のリンボクの開花状況にも寄ってきた。ところがまだまだ蕾のままのようだったのが残念だった。しかたない、また出直しのようだ・・。泣

 
リンボク(バラ科バクチノキ属) 常緑樹 まだまだ蕾

 低山に咲くツリバナは連休明けあたりに五裂の白花を咲かせる。そして秋9月末くらいにはいち早く真っ赤に熟して5つに割れ、果実は赤い仮種皮に包まれた種子が出てくる。花と同じで長い果柄の先に1個の真っ赤な果実が派手にぶら下がっている。もちろん、果柄は約10cmほどと長いために、少しの風でもゆらゆら揺れまくっているのでいつでも写真は辛い・・。泣

 
ツリバナ(ニシキギ科ニシキギ属) 

 その他の木本類で実をつけているが、ほとんどがまだまだ緑色がほんのり色変わりしたくらいだろうか・・。

     
ヤブコウジが晩秋ころに赤く熟する    ナナカマド紅葉と真っ赤な実が冬遅くまで美しい 
     
 ヤブニッケイ実は緑から漆黒に変わる   ガマズミ早くから赤色の実が密で目立つ 

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