西山に咲く花、シマカンギク 20.11.24 曇のち晴
立冬も過ぎ、11月下旬ともなれば、ここ西山ではすっかり数も少なくなってしまい、絶滅危惧種にもなってしまった『シマカンギク』という、頭花2.5cmほどの大ぶりな黄花の菊が、日当りのよい山麓に見られるようになるのだ。
また、シマカンギクと同じく希少種のアワコガネギクが、京の東山ではこの花より2週間ほど前に咲いてくれる。こちらは1.5cmほどの小さな花で、京の菊渓で咲いていたことからキクタニギクと呼ばれ、この可愛らしい菊を山中で見てから、続いての野生菊の二種目にも出会えるのだから、稀少植物の花好きには贅沢極まりない話であろう・・。何せ今やキク科キク属がハイカーの目にとまる種としては、せいぜい白花を咲かせるリュウノウギクくらいだろうから、シマカンギウやキクタニギクを愛でる幸せは大なるものがあるというものだ・・。
さて、そのシマカンギクを詳細に見てみよう。茎は叢生し、下部は乱雑に倒れ、上部は立ち上がって高さ30~80cmになるために、この花の茎下が藪状態になるのが残念だ。葉には柄があり、長さ3~5cmで、5中裂する。また、柄の基部には葉のような仮托葉が目立つのが特徴で、もちろん、葉裏には丁字状毛があり淡緑色である。
シマカンギク(キク科キク属) 別名アブラギク・ハマカンギク |
晩秋に鮮やかな黄色花で彩り・・♪ | 総苞片は4列で、外片は長楕円形~卵形 | 葉柄基部に葉状の仮托葉が目立ち5中裂 |
その他にも秋晴れのもと、カサコソと枯れ葉を踏みしめながらの素晴らしい一日とすることができた。
カラスウリ、今年は数少ない思いが・・ | ヒメヤブランの実は黒色に熟す、これも少ない | |
名前で覚えやすいハキダメギク | 西山では各所で咲くコクラン 常緑で冬を越す |
木本類も晩秋には、彩りや姿などに派手さが一杯あって楽しみは尽きない日々が続きそう・・。とりわけ、サネカズラは常緑つる性木本で名前といい、花や果実でもハイカーを引き付ける種ではなかろうか・・?。まず、花は暑い8~9月に面白い姿で咲いてくれるのだが、個体数は多くなく開花に出会える機会は少なかろう。この樹は雌雄別株又は同株と珍しい型の樹種でもある。
そして、果実は11月下旬ころに赤くなってくる。たくさんの果実がつく果実は集合果であり、直径2~3cmの球形姿は初めて見たというハイカーがびっくり仰天されたのを見た経験があるのだが・・。(笑)
また、別名のビナンカズラ(美男葛)の謂れは、枝に粘液が含まれ、粘ることによるとされており、昔は特に若いつるから粘液をとって、男性の整髪料に使わていたことに由来するといわれているようだ。
サネカズラ(マツブサ科サネカズラ属) 別名ビナンカズラ |
花は白花で春に咲くアリドオシだが、よくよく観察すれば同じような山域でも少しずつ小さな相違点があって、それぞれ異なる名前がつけられているのはそんなに知られていないだろう。今回はそのあたりを触れてみたい。
①アリドオシの他には、②オオアリドオシ、③ホソバニセジュズネノキ、さらには、④ジュズネノキの4種が図鑑にも掲載されているのだ。お陰でこちらは以前にそれら4種に出会えている。簡単に主たる相違点を並べてみたい。ただし、葉は対生であり、白色の花は4~5月ころ開花で、葉腋に2個つく点等は、いずれもほとんど相違ない。
種名 | 葉身 | 葉幅 | 短枝の変化した棘の長さと葉の比較 | 分布域等 |
アリドオシ | 7~20mm | 6~12mm | 8~20mm、葉と同長か長い | 関東地方以西 |
オオアリドオシ | 2~6cm | 6~20mm | 2~6mm、葉の半分以下の長さしかない | 〃 、葉はアリドオシよりやや大きい |
ホソバニセジュズネノキ | 2~5cm | 7~15mm | 5~7mmで葉の半分以下と短い | 東海~九州地方 |
ジュズネノキ | 4~10cm | 卵形~狭長楕円形 | 棘はないか、あっても極短い | 近畿地方以西。根が数珠状に肥厚する謂れ |
今回見たものは同じ種の三株が並んであった。経験から10株以上あれば↑のいろいろの種が混じっている可能性があるだろう・・。
アリドオシ(アカネ科アリドオシ属) 棘の長さがポイント |
大きいものは25mにもなるといわれるヤマナラシだが、ここではまだ15mほどしかないが群落で繁茂し、それなりに見ごたえがある。それに、名前がまたシャレているのだ。それは微風でも葉が揺れてさわさわと音を立てることから山鳴らしの名がついたと図鑑にある。それに材を箱の材料にしたことから箱柳ともいうらしい。
今日は撮らなかったが、木肌がこれまた面白い。それは一期で沈没したトランプではないが、ヤマナラシの木肌にはトランプのダイヤ形(菱形)の皮目が目立つのが大きな特徴だろう。そのダイヤはこちら!
ヤマナラシ(ヤナギ科ヤマナラシ属) 別名ハコヤナギ | 葉身は7~15cm、葉柄3~7cmと長め | 紅葉は遅めだが、木元の落葉を拾い集めた |
その他の果実が見られた・・。とりわけサンシュユの花はよく見るも、その果実はそうお目にかかれないのではなかろうか・・?。
ムラサキシキブは枯れ葉の落下早し | ヤブムラサキの枯れ葉の落下は遅め | ||
山中に植栽のサンシュユの実 | 同じく植栽のカリンも大きくなり |
11/17ポンポン山の紅葉 ホームヘ 11/30高瀬山から愛宕