琵琶湖周辺の花歩き ’21.6.20 曇のち晴

 梅雨の晴れ間を狙ってラン科の花たちを探し回った。それにつけても雑草に負けずに頑張って咲いてくれる、これらの仲間たちの花の姿に魅了されるハイカーは少なくないようだ。今回は三種のランに出会えたのが嬉しい。

 まずは柿色の花を咲かすカキランが、見事に満開期を迎えてくれていたが、まだまだこれからしばらくは咲き誇ることだろう・・。なお、京都ではかっては湿原に普通に見られた種であったらしいが、昨今消滅した自生地が多くあり、準絶滅危惧種となっている花なのだが、どうりでまだ出会えていない。
 しかし、まだまだ植物層ゆたかな滋賀県の野山ではいろいろな山域で見ることのできるカキランなのだ。湿地に生える多年草なのだが、図鑑には30~70cmの高さで橙黄色を帯びた変わった姿の花を見せるのだが、今回は箇所によっては草叢と競争しながら頭を上に出しながらさらに高く咲きあがっている個体も見られた。この地も以前に草刈りしたのだが、もう繁茂が激しくなっている。今回はその用意をしてなかったために、草刈りしてやれなかったのが悔やまれたが、時期をみて出直し手入れしてやりたいものだが・・。

         
    カキラン(ラン科カキラン属)     
 

 次は小型のコバノトンボソウである。この花は高さ20~40cmになり、少しの風でも揺れながら立つ華奢なランであるので撮影には極めて苦労する種だろうか・・。花序の一方にややかたよってつき、淡黄緑色の小さく、1~2cmの長い距を上向きにつける姿が独特な花なのだ。このようなことから、山の会などで大勢のハイカーを引き連れてその地へ踏み込むなどされたら、一たまりもなく絶滅の恐れがあるので注意したいものだ。

 京都では湿地の開発や遷移の進行で、近年自生地や個体数が極めて少なくなっており、絶滅危惧種となっている超希少種であるようだ。ただ、滋賀ではまだそこまではいかず、RDBカテゴリーはその他重要種の位置づけらしいが、観察時には充分なる注意が必要だろう。

 
コバノトンボソウ(ラン科ツレサキソウ属) 

 さて、本日の最後はトキソウだ。この種はやや早めに咲かせることからほとんど終盤だろうと期待していなかったのだが、さすがに数もまばらで見られる個体はほとんどなかった。しかし、驚いたのは日曜日だったことからか、野草見物者が何組もやってきたことだ。

 中には単独の年若い男性がやってきたことだ。こちらの湿原も草刈り実施済なのだが、その地へずかずかと長靴履いた高齢者たちが入りこんで撮影会となってた所へ着いたこちらは思わず、注意せざるを得なかった。
 これはダメだ、こんな観察をやられたのではトキソウが泣いている。イヤ、泣くだけでなくこの先花の命もなくなってしまうだろう。と思う我が心が嫌われ者になるがと、意を決してしばらくの時間監視員役を務めることとした。

 その場にいるハイカーへ次のように話して姿勢を改めてもらうように、心ならずも申し入れた。

 「わたしはこの地の監視員です。もちろん、これまでから花々保護への草刈り作業などもしながら、希少なトキソウだけでなく、他にもいろいろな花々の咲くこのあたりをいつも見守っています。ちなみにこのトキソウは京都では絶滅危惧種、滋賀では絶滅危機増大種のカテゴリーの位置づけで護られています。どうか、皆さん、極めて希少種でもある植物たちを、後世にも引き継ぐような気持ちになってほしいのです。」等、いろいろな保護にあたっての、希少種観察の心得のお願いを聞いてもらうこととした。

 中には「おたくは地主さんですか・・?」等の質問もあったが、こちらはそれらの声にもめげずに、「いいえ、地主でもなんでもありません、ただの花好きなハイカーの一人です。どうか長く多くの人たちに愛される地で可憐な野草たちを見守ってやりたい一心での言動です。」等、必要なお願いを丁寧に説明することによって、「ここだけではなく、方々の山歩きを楽しまれるハイカーさんであれば、この気持ちはきっと分かっていただけるハズですから、どうそご理解いただき、今後どなたかをお連れして再訪される時には、話したようなことを言って、友達同士で花々等を大切になさる気持ちを伝えてほしい・・」と繰り返したのだ。

 もちろん、さらにつけ加えて「中にはブログ等で、こちらのトキソウ等のページを公開されていると思われますが、花自身のことはいくら詳しく書かれても、その場所の目印となるような道順はおろか、建物、標示物等の写真掲載は厳禁ですし、それがまたネチケットであることも知っていただきたいし、知り合いがそのようなブログをやってる場合には、その方へブログ等の表現等についてのマナーを是非伝えてほしい。」と懇願したのである。

 
もう咲き終わりのトキソウが寂しい 

 今年の植物たちの花々は総体的に、ほぼ1週間は早かったようだが、そのトキソウや他の花々が充分楽しめたこのような年もあったのだ。いずれにしても、今回はトキソウ地で時間がかかったことにより、その他の地への徘徊を思うほどはできなかった。でも↓のような花が目についたがノギラン以外はほとんど終盤での残花だった。しかし、イシモチソウは終わり、モウセンゴケにトウカイモウセンゴケはこれからのようだった。、

         
 シライトソウは完全に終わり    ノギランはこれからが本番か   数えるほど少ないノハナショウブ 

 最後になりましたが、本ページをご覧になられた皆様にもお願いです。特に希少種の花々等の観察時の心得等や、観察時にはオーバーユースを含めて、山歩きのリーダーさんにもご注意いただきますようお願い申し上げます。

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