北山に咲く二種のラン ’22.6.1 晴のち曇り

 今回は京都でもRDBのカテゴリーがいずれも絶滅危惧種という超希少種の開花に出会うという、植物好きなものとしてはこれ以上ない願いが叶えられたのである。いずれにしても、この二種は他所では、以前から別々の場所あるいは日にち違いでは目にしていたのだ。それが同時に両方とも揃って見ることができ、これ以上の歓びの無い一日となってくれた。

 とりわけ、ジガバチソウについては、京都府では生育地や個体数が少なくなっており、近年見かけることもまれである。と京都府のレッドデータブックに絶滅危惧種の選定理由が書かれているくらいだ。
 ハイカーの皆さん、もしこれらの花に出会った時には、稀少植物であることを知って、一緒に歩かれる山友の方々にも大事な種類の花であり、お互いに大切に見守っていこうね・・、と注意喚起していただきたいものだ。どうかお願いします。ペコリ

 
 ジガバチソウ(ラン科クモキリソウ属)

 ネットを見ていると、この種は花時ではなく葉だけの時には花の名前が分からいほどだ、との記述もあるのだがジガバチソウの葉をよ~く睨みつけると、縦の主脈がそう目立たず横方向の二次脈が目立つのだ。
 葉が全縁なのは他にもあるので気にしてもしかたない。それより葉の縁の波がやや大きく緩やかに波打つことが特徴的なのも忘れないことだ。いずれにしても、母種のクモキリソウを知っているのであれば、ジガバチソウの特徴のそれぞれが、クモキリソウは全く正反対であることを知ることだろう。こうして葉だけでその種名が出てくるようになりたいものである。

     

 続いて第二段のヒトツボクロだ。こちらの花ほど単なる山歩きだけではほとんど出会えない種、いや見つけ難い花ではなかろうか。ややもすればうす暗い林床の中で、花も花茎も周りの落ち葉色とほぼ同系色のようで、発見がどうしてどうして容易ではない種なのだ。もっとも、咲く箇所は暗いところばかりではなく、山地の明るい林床に出現とも言われるらしいが・・。

 この花の特徴は葉にあろう・・。とりわけ、一枚の根生葉が目につけばその裏を見るとびっくり仰天だ。濃い赤紫色は植物の中では異様ともいえる色あいではなかろうか・・。

 
ヒトツボクロ(ラン科ヒトツボクロ属) 

 これまでから他の県でもこれらの希少種を目にする機会はあるのだが、今回の二種が6/1ですらもう満開状態を過ぎてしまっているのは初めてであり、植物たちの生きるすべも大変だなと感じながらの単独観察であった。

     
6/1でもうこの花もしおれ気味に見えたが・・   ↑は二株、葉表の主脈は白いのが特徴 

 ヒトツボクロの葉は前年秋に展開し夏には枯れてしまうため、夏にやってきて「エ~とこのあたりにあったハズだが・・」と、得意満面に山友に教えようとしてもダメなことがお分かりだろうか。要するに大勢の山の会の人たちを連れ込めばもちろん、少人数の花好きな人であっても、探し回って足元を踏みつけてしまいオーバーユースとなり、絶滅はてき面となることを知って欲しいのだ・・。

 今回もこちらはやってくる曜日や時間帯まで配慮して、私が撮影している姿を他のハイカーに出会わないようなことまで考慮していたのであった。この個体の草丈の高さ(15~20cm)や葉身(4~7cm)、つけている花数(5~15個)なども可能であれば持参のメジャーやルーペ等で観察したいのは山々なれども、そのような悠長な行為は許されないだろうとの心積もりであったのだ・・。何はともあれ、稀少植物であることへの向き合う態度についても是非知っていただきたいものだ。ただし、( )の数値はメモ書きを持参していただけであった。

 
ヒトツボクロの一葉の葉裏は独特色でびっくり!

 

 
 最後に次の木の花であれば、低山ハイカーならネコもシャクシも、おっと失言だった。いいえ、ハイカーであればどなたでもご存じのツツジ科の二種の見事な開花をご覧いただこう・・。(笑)

     
ネジキの花は長く満開が続いて~     ナツハゼは満開となったばかり~

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