ポンポン山のナナカマド ’19.12.28 晴のち曇

 ナナカマドは日本全国の山地から亜高山帯に分布するバラ科の落葉高木で、高さ7~10mになります。名の謂れとして牧野富太郎は『牧野日本植物図鑑』で本種の項に「材ハ燃エ難ク、竈ニ七度入ルルモ尚燃残ルト言フヨリ此和名ヲ得タリト伝フ。 」とウィキペディアにあります。ただし、実際にはナナカマドの薪は良く燃えるとの記述もあるようです。そして、果実は北海道では、その実を用いてジャムやマーマレードなどの製造がおこなわれているとの記述もあります。

 花期は5~7月ですが、ナナカマドの仲間では背は一番高くなりますが、花序が最も大きいので特に目立ち易いようです。とりわけ、秋の紅葉時には果実の美しさが知られますが、野鳥の目にもよく入るようで好物となっているようです。

 
ナナカマド(バラ科ナナカマド属) 
     

 年末のこの時期には低山の谷筋に背の高くなるタマミズキの実が良く目立ちます。この種はモチノキ科ですが、その仲間は世界には4属あるようですが、日本にはその内のモチノキ属のみしかないようで、23種が分布しているとのことです。

 モチノキ属をさらにみてみますと、大きく分ければ二つに分かれます。それは葉が薄くて落葉性のウメモドキ亜属にはフウリンウメモドキや今回のタマミズキなどがあります。そして葉が厚くて常緑性のモチノキ亜属にはハイカーであればどなたにでも知られるソヨゴがあります。

 さて、そのタマミズキですが、図鑑では10mにもなる落葉高木ですとほとんど書かれていますが、わたしが思うには10mほどではなく、大木では20m、イヤイヤ、中には25mにもなるタマミズキもありそうです。要するに深い谷奥あたりに鳥が落とした糞の中へ、この木の種があれば、その廻りには高い高い樹々が一杯状態は当たり前でしょうから、そんな状態の中で芽生えた場合は周りの樹々より背を高くして太陽の日差しを捉えるには猛烈な成長が必要となる訳です。

 このようなことから、このタマミズキは成長が早く、大木になりやすいようで、寒さが厳しくなりだす年末あたりの赤い果実を見たハイカーは「あの木はなんだ・・?」との声になるのですが、この時季以外にはまずタマミズキを見つけ出すことは容易ではありません。もちろん、5~6月ころだといわれるタマミズキの開花時期であっても、その木を見つけ出すことは相当の植物通でない限りは困難なようです。

 ということで、どなたであってもこの年末あたりには真っ赤な果実のタマミズキを見つけ出すことは可能ではないでしょうか。ただ、関西圏では比較的多そうですが、そうはいってもところどころにぽつんぽつんと点在する樹であるようなことから、一から探そうとするのであれば、相当根詰めて場所を変えて歩き回らないと見つけ出すことは容易ではなさそうです。探索が比較的容易なその期間は11~1月の間ではないでしょうか・・。そうです、今頃なんです・・。笑

 さらに名前がタマミズキとなっているのですが、その謂れはどうなんでしょうか。どうやら、直立した幹から太い枝が出ており、その枝葉が階段状にひろがる樹形であるミズキ科のミズキに、タマミズキの樹形がよく似ているようなことからや、ミズキのように春に幹や枝を切ると水が流れ出すことことからの名前との説もあるようです・・。この春には二点目の手法を試してみたいものです。

 そうそう、果実が真っ赤ではなく黄色い果実色で熟すことから『キミノタマミズキ』と命名されているものもあるようです。現状では山口、広島に神奈川県での発見報告がネット上にアップされています。今後は野鳥が種を落として年数がたてば、いずれ関西圏でも発見されることになるのでしょうか。早く見たいものです・・。

         
    タマミズキ(モチノキ科モチノキ属)     
         
落ち葉左が裏、右4枚は表    シダ猛烈深かしで5m先から撮り、幹は灰褐色     幹元の近くに落ちていた果実を拾い集めて

 ガガイモの種子がもう旅立つ最中でした。今年の花はこちらからご覧ください。その地へ着いてみれば残念なことに風が結構強く吹いており、鹿除け柵の網にいっぱい引っかかっていた種髪がほとんど飛びったっているところで、急いで手掴みで一つ捕まえるのがやっとでした。「お~風よ、うまく種子を運んで落ち場所も考えてやってくれよな~!」と祈るように眺めるのでした。ア~メン・・笑い

         
果実が割れ、種子につく種髪が風に乗る~     ガガイモ(キョウチクトウ科ガガイモ属)空の袋果    網にからむ種子と種髪を手づかみで取って撮る

 *ガガイモの種髪とは、ガガイモの袋果の中へできる種子についた毛を種髪といいます。その種髪はガガイモの種子を風で運ぶ役目をしているようです。その白い毛がほんのわずかな空気の流れでも生き物のように空気中に舞い、最後は種子の重みで地上の草木等ちかくへ舞い降りて、その後に地へ入った種子が芽を出してつる性となって成長していき多年草となるようです。

 
 その他の果実たちです。

         
花も 沢山楽しませてくれたコバノガマズミ   今年はやや少なめのサネカズラの実    ヤマコウバシは紅葉後も落葉は遅い 

 本日はナナカマドにタマミズキのきれいな果実を楽しませていただいたポンポン山でした。どうやら今年最後の山歩きとなりそうです。それにしても今年も地球温暖化によって異常気象となってしまい方々でひどい災害が多数発生しましたが、来年は同じ状況とならないように祈りたいものです。おそらく雪も多いに楽しめるほどとはならないでしょうから、あまり期待しないでおこうと思っています。
 拙いHPをご覧いただきありがとうございました。来年も変わりませずお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。

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