西山の植物観察 ’19.3.8 曇のち晴

 三寒四温を実感するこの頃だが、まさに明日から四日間は絵に描いたように暖かい日となるとの予報が京都地方では出ている。昔の人は偉かったのだろう・・。もう春告げ花のフクジュソウは満開の時期を過ぎたようだが、明日なら暖かい日が差し込んで、あの黄金色の大ぶりの花を咲かせてくれることだろうと今日は山麓の植物観察を寒さの中でうろうろしてみよう。

 一番手は二週間前に蕾を見ていたことから、思い通りの開花となっていたイヌガシであった。厳密にいえば2~3日遅かったのだが・・。まぁ、多くは望まないでおこう。それにしてもこの花の出会いも久しぶりだが、手持ち図鑑にあるとおり「樹木の多い日本だが似た花はほかにはない」と花の前で見るたびにこのフレーズを口ずさむのだ。

 
 イヌガシ(クスノキ科シロダモ属)雄株だが、雌株は花はやや小さくまばらにつく 

 イヌガシは常緑高木とあるが、わたしはこの木は常緑小木だと思っていたのだ。それは当地では沢筋のうす暗い法面の湿ったところに生え、せいぜい高くても3m以下のイヌガシにしかお目にかかっていない。なのに図鑑では山地のやや乾燥したところに多く、高さ10mほどになるとあるではないか。そういえば、この種の出会いもわたしは他の山地では見た覚えがないが、こちらでは何ヶ所にもその木があることを知っている。まだまだイヌガシとの出会いは多くない証だろうか。いや、相違点はまだあるのだ。
 クスノキ科の木は黄色の花が多く、 深紅の花が付くものは珍しい。そして花姿が一種独特であろう。この姿を見ればふつう忘れることはないだろう。それに雌雄別株といって雄株と雌株が同じ場所にはほとんどなく離れた場所で咲くようだ。そして果実は黒紫色に10~11月に熟す。
 名は、カシに似るがブナ科のカシの仲間ではないことによる。シロダモ属だが、なぜか、イヌガシは暗紅色の花を早春に咲かせ、秋に黒紫色に熟すのだが、一方、シロダモは秋に黄色の花が咲き、実は翌年の秋に赤く熟すように、同属とはいえ、相違しすぎな点がこれだけ多いのは不思議に思うのだが如何だろうか。ただ、花姿はシロダモと色違いは別にして密集しての咲き方がよく似ているのは確かだ。この点を昔の方が目をつけて同属としたのだろうか。いずれにしても不思議いっぱいの樹木ではなかろうか。


 続いてスミレがようやく一種咲いてた。それはナガバノタチツボスミレだった。こちらで去年はこちらのページ中段にあるアオイスミレとナガバノタチツボスミレを両方見ていたのだが、今年はアオイスミレの姿はなく、ナガバノタチツボスミレの4輪だけだったが、いずれも花が痛んだような疲れた状態であった。これはやっぱり去年と同じくらいの日で開花していたのだろう。それにしてもアオイスミレの姿がないのは近年では初めてのような気がする。今後が心配だ・・

 
 ナガバノタチツボスミレ 

 ↑撮ったものは右横に葉柄が伸びる円心形の根生葉だが痛んでいた。前向きに3個が茎葉で細長く三角状楕円形に成長する。ナガボノ・・はこの部分が名前の謂れだろう。

  続いて目についたものを取り上げよう。

         
 サルオガセ*1     キツネノカミソリの芽だし、花は夏     ヤノネシダは京都府RDB準絶滅危惧種
         
 ウチワゴケ1cm前後と極小さい    こちらは大木になるカラスザンショウ   テイカカズラ*2 

*1 サルオガセはアルプスでは至るところで目にしてきたが、低山では比較的まれではなかろうか。寄生植物ではなく、空気中の水蒸気を吸って単独で育つようだ。

 *2 テイカカズラはつる性で岩や他の樹木などに気根をだしてよじ登る。スクリュウーのような白花が咲けばよく分かるが、葉だけの時には樹林によじ登っている葉は全縁で、林床をはう葉は波状の浅い鋸歯があり、脈沿いに白っぽい斑が入るのだが、↑画像は樹木によじ登っているのを撮ったため葉は全縁である。

ホームヘ

190309.htmlへのリンク

190314.htmlへのリンク

190322.htmlへのリンク

190324.htmlへのリンク

190326.htmlへのリンク

190331.htmlへのリンク

inserted by FC2 system