大原野の植物観察 ’20.7.18 曇

 長い梅雨がなかなかあけないが、中休みを狙って強引に山へ入るも足元滑るすべるで一苦労も辛い。しかし、久しぶりのクロウメモドキの樹木を見たくて上がってきた。しかし、植林地あたりで日当たりよくなくこれでは成長はなかなかだろう。
 花時は4~5月ころのはずだが、さりとて小さな花のためにほとんど注目されない。でも、雌株であれば黒い果実は天下一品の代物なのだが、このような状態では花も実もどうやら難しそう。はからずも、ずっと昔に伊吹山九合目手前でいつも見慣れていたものを思い出させてもらった懐かしいクロウメモドキとなった。なんと、近年ではRDBの京都府カテゴリー準絶滅危惧種の指定を受けているそう。どおりでまれにしか目に入らぬ種であるのだ。

 クロウメモドキはふつう成長すれば樹高3~5mになる落葉低木なのだが、この個体は1mくらいの幼木だろうか。それに幹もまだまだ細く、これだけ日当たり悪ければ成長もなかなか容易ではないだろう・・。托葉や枝に由来する棘をもつ樹だ。特に長枝の先端は棘になりやすく、対生の二股にはその長い棘が目立つのも大きな特徴だろう。

 しかし、こんなに面白い特徴ある樹木なのだから、こちらの道は長く入らなかったのだが、今後は少なくとも花時、実時にはいろいろ観察しにやってこよう!。それにつけても、発見者の植物通の方には大きな感謝であった。

 
 クロウメモドキ(クロウメモドキ科クロウメモドキ属) 
         


 杉の植林地帯の薄暗い地へハナイカダが見られた。しかし、残念ながら葉表には花跡に若い果実は乗っていなかったので、雄株であろう。願わくば晩夏あたりから紫黒色に熟す果実をつける雌株が見たかったのだが・・。来春にはハナイカダの雄花はこちらで観察したいものだ。

     
葉の主脈基部よりに花跡残る    ハナイカダ(ミズキ科ハナイカダ属) 

 タカノツメやコシアブラと同じ仲間であるウコギ科のキヅタ(別名フユヅタ)はつる性で、樹木にはより高木を選んで這い上るように思える常緑つる性木本である。一方、ツタ(別名ナツヅタ)は大邸宅等の塀を横に広がっているのを目にすることが多い。しかしながら、キヅタは照葉樹林の林縁や原野などに生えるために、意外にハイカーでも意識はしないようだ。花も木々の高所で晩秋から初冬にかけて咲かすために目には容易に出来ないかも・・。

         
杉(下部)を這い上るキヅタの気根    左の杉の中部を上るキヅタの気根    別個体で倒木に頑張ってしがみつく葉が間近に 

 次のお目当てはいつも見ているシオデが雄株のために、なんとか西山において雌株を探したいとの思いがあり、やってきて耳にしていたシオデは鹿の餌食になったのだろう。まったく姿はなくなっていたのだが、その箇所とは違った笹薮あたりに大きくつるんでいるシオデを発見できたのが収穫だった。

 ただ、ここでも一部鹿の食害にあっていることが目についた。この時季花時なのだが、どうしたことか花がまったく見られない。相当背の高い笹薮のためにシオデの葉がつくつるも高所になっていることから、その全容すら目にできない始末なのが残念である。

 まさかこれから咲きだすのでもなさそうだし、やっぱりこの個体も要観察となろう・・。でも、茎には稜角もあることから、タチシオデでなくシオデであり、葉裏の色あいからして粉がふく白ぽっいのではなく、緑色の葉裏でシオデで間違いなさそうだ。問題は雌株なのか雄株なのかどちらであろうか・・。願わくば雌株であってほしいのだ。

         
シオデ葉表、葉脈は凹む    シオデ葉裏、白っぽいのではなく緑色    鹿に喰われたシオデの姿。茎には稜あり角ばる 

 続いて、こちらでも久しぶりにカエデドコロを発見できた。なお、カエデドコロの詳細で面白い同定ポイントの現象(葉柄基部の突起)をこちらでどうぞ。今回は離れていたため手にとることならずで特徴の突起(棘)は確認できなかった。

 実は現地では裂片先がそろって丸っぽいのがキクバドコロで、頂羽片だけが尖りその他が丸っぽいのがカエデトコロと大きな勘違いをしていたことが帰宅後に調べて判明したが、あえてその大恥を明かそう・・。涙、爆笑
そこで、キクバドコロの正しい葉の様子をあげてみよう。キクバドコロの正しい葉の姿は5~9裂し、裂片先がすべてとがり、乾くと黒くなる。またカエデドコロにある葉柄基部の突起は、キクバドコロにはないというのも大きな特徴なのだ。

 今後は近縁種のキクバドコロを長く見ていないために、キクバドコロ・キクバドコロと念じながら探し歩こうと心した。やはり相当以前に見た日本海寄りの山域でないと分布は難しそうだナ・・。。

     
いずれの葉先も丸っぽいのもカエデドコロだが、ほとんどが頂の葉先が尖り他は丸っぽいのがカエデドコロだろう 

 他に見られた花々等が少しばかり。4日後に再訪すれば、オトギリソウも咲き初めとなっていたが写真は失敗だった。それにアミガサタケを久しぶりに目にすることもできた。また、聞いていたクリハランも見られた。

         
2裂上唇両サイドに肩ありハエドクソウ   ムラサキニガナこれまた小さい    オニユリ はしばらくでムカゴがつく
         
ダイコンソウの上にクモの巣へ雨雫     フヨウは大形で淡紅色で美しい   キリの若い果実の先が尖り気味 
         
 竹藪近くで見られるキヌガサタケ    クリハランは湿地好み    胞子のう群は丸っぽい

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