21号台風後のポンポン山 ’18.9.6 曇

 立石橋-立石林道-京青ノ森-釈迦岳-ポンポン山-西尾根コース-窯ケ谷-森ノ案内所-杉谷-善峯バス停

 9月4日の台風21号は西日本を中心に、これまで経験したことのない強烈な暴風被害が発生した。それでも台風一過とまでいかないまでも、今日は雨も大丈夫のようだからと山の様子を見に行ってみようといつもの登る定番コースを歩いてきた。

         
 稜線の最初の倒木地、この後連続   釈迦岳山頂そのものは被害なし    ポンポン山手前400mもキツイ倒木 
         
この倒木地も斜面利用が得か    ポンポン山頂の被害はカマツカのみ     窯ケ谷倒木地は後半のみだがキツイ

 ところが、ほたる橋から立石橋まででも倒木が何か所か邪魔をする始末で、やや、これは後工程の倒木が心配だな・・と立石林道から取りついたが、すぐに杉を中心とした太い倒木が何ヶ所も出現となってきた。倒木もどうにか枝を潜りながら通過できるところはいいのだが、幅広い猛烈な倒木の枝のジャングル状態の地が何ヶ所もある。

     
 ケケンポナシの果軸部分   ケケンポナシの葉表と果実 *

 *ケケンポナシとケンポナシの主たる相違点=前者の葉の鋸歯は浅くて目立たなく、葉は乾くと赤褐色となる。また後者のケンポナシの鋸歯は不揃いなやや粗い鋸歯である。また、葉は乾いても濃緑色のままである。

 何とかして前進し、ケケンポナシ(↑画像)の葉や果実が散乱していたのでそれらを撮ってみた。そしてようやくにして京青ノ森あたりまで到着も、この四差路の一帯も倒木が重なっている。道は無理で倒木根っこまで高巻きしたりして稜線まで進むが、これまた猛烈であり、太目な樹々の倒木の連続であったが、どうにか斜面をよじ登ったり重なる枝の中を潜ったりしながらの繰り返しが続いた。まさに障害物競争である。途中の釈迦岳あたりまで3時間も要したことから、撤退も頭をよぎったのだがやっぱりポンポン山まではその様子を見てみたいとの気持ちが強くなって、稜線を進んでみた。でもその荒れ模様は少しも変わらなかった。

 荒地を潜ってその先に出たら、反対側で呆然としながらこちらの姿を眺めている人が立っていた。この方は神峰山寺方面からの単独者だった。すぐに「この先の状態はどんなものですか・・?」と情報収集の口火を切られたのだ。その気持ちは痛いほど分かるので、つぶさに説明をした。
 その方は「川久保へ下山予定だが、この先も荒れ様が変わらないのなら、前半も苦労してのここまでだったので、後半は散乱する倒木群も少しは慣れもあって何とか下山としたい」と元気に断言された。素晴らしい!、この勇気ある言葉にこちらも「そうですね、こちらも不安だったのですが、今の話で俄然気持ちが変わりました。わたしは森ノ案内所まで花を見て歩き、それから先は車道を善峯寺、そして小塩十輪寺から山の間のさらに車道歩きで自然観察しながら西山のキャンプ場へ帰るつもりなんです。」と包み隠さずに話す元気が出てきたのだ。お互いに「気をつけて!」と別れその後も繰り返す倒木群も頑張って踏破することができたのだ。

 それにしても人の事は言えないが、この度の激甚台風の二日後に山登りをするのが異常といえるだろう。でもお互い山好きなのだろう。と快く質問にはお答えしておいたが無事に下山されたのだろうか、いや大丈夫だろう、あの方ならキット・・。
 こちらは、あの言葉でさらに元気をもらったのか、疲労感もやっつけられ、その後も順調に山頂まで行くことができたのも感謝であった。もちろん頂では無人であり、このような経験は初めてであったことから、ほとんど登るだけで4時間もかかった山頂だった。でも頂そのものはほとんど変化はなかったようでホッとして昼食も半時間の大休止とした。

 さぁ、窯ケ谷だが、その前にもう一度あたりの樹々をと、眺めまわし傾いたカマツカを見ると、根っこが浮き上がってしまっており、これはやばい!、なんとかこれからも枯れずに生き続けてくれたらいいのだが・・と思うような状態となっていたのが心配事であった。西尾根コースへ降りかけたら、人の話し声が後ろに聞こえたがどうやら二人連れのようだったが、そのまま西尾根出灰分岐方向へと前進した。

 ところがこちらの西尾根コースはリョウブの丘、そしてフクジュソウ地から谷へ降ってもいっこうに荒れてはいなかった。これにはびっくりでこれなら余裕で花巡りができるだろう。とルンルン歩きとしょう。それでもずんずん降るり道には、散らばる枝なども普段よりは多いので出来る限り左右に整理していると、これまたこの行為を疲れ切った顔で見上げている方が立っていた。
 「歩きやすく枝などを整理してもらえると助かります。ありがとう・・」と言ってくれるのだ。うれしいですね。このような言葉は・・。またまたこの単独行の方と話せば「この先の小塩山から登って下りてきて、こんどはポンポン山に行きたいのですが、荒れ様はどんなものですか・・?」とのことだったが、この方はすでに一山を登って降りてまた登りの途中のために相当お疲れの状態であったのだ。

 「相当疲れたし、ポンポン山は止めて左からの杉谷へ降ってもいいかな・・、この山の道もあまり知らないので不安なんです。」と自信がなさそうだ。ではと「ポンポン山より先の左から杉谷へと言われますが、そこまでの稜線は大倒木の連続ですよ。それより、わたしはこれから窯ケ谷を降り、森ノ案内所から善峯寺バス停方向へ向かいますが、ご一緒しますか・・?」といえば、「そうしようかな、その道は歩いたことはないし、でもあまり足は速くないから、だいたい道は聞いたのでゆっくり歩いて降ります。」とのことで後ろからゆっくりされて降りられることとなった。

 こちらは窯ケ谷までの荒れ模様はほとんど変わりないなと思いながら、のんびり花巡りとしよう。そして、オタカラコウ、モミジガサ、ママコノシリヌグイなどが咲いていたが、期待していた以前に新聞情報で知った「日本で初めての4倍体のキタヤマブシ」の開花はまだのようだったのが惜しまれた。それにナベナもまだまだ蕾状態が残念至極であったし、ジャコウソウもまったく咲いていないのか見つからない。

     
オタカラコウ     モミジガサ

 さらに進めば今日のヒットとなったスズムシバナであった。我を忘れて撮っていると二人組のいつもの大原野森林公園を中心とした市より依頼を受けた見回り隊の方が「何かありますか・・?、こちらは荒れる状況確認に登ってきてます。」と言っておられた。
 このメンバーはこれまでからちょくちょく出会っていることから、その人たちの行動目的は聞いているが、何度も会っていることすらこちらを覚えていないらしい。自然の様子、山道の荒れ模様などの調査が主目的で、話し具合等から花にはほとんど関心はなさそうな方々だろう。

 
ようやく満開のスズムシバナに出会えた 

 ところが次の期待花のジャコウソウ、ツルニンジンにアキチョウジなどの手前までくると、なんたることか、この谷一帯で初めての大倒木地(一番上の画像中最後)に突き当たった。これはやばい、倒木の枝の中を突っ切れない。やむなく上の方の根っこまで高巻きせざるを得ないのだ。斜面は滑りやすいし、これは大変だ。「これだったら先ほど最初の谷の方で花の写真を撮っている所で追い越して行かれた、単独の方には気の毒なことをしたな」と思うも後の祭りであった。

 

 
 ヤマジノホトトギス

 こちらはなんとか倒木をやり過ごして、お目当てのジャコウソウなどを見ようとするも、残念ながらヤマジノホトトギス以外はまったく花などなく、ツルニンジンの蕾がぶら下がっているだけだった。でも、これでこの谷の花巡りは終わりだ。と森ノ案内所までは異常なく進むことができた。

 やれやれだと案内所でひと息いれようとすれば、そこには先の単独行の方が「先ほどは道を教えていただきありがとうございました。」と声がする。「あれ~エライ遅かったようですね・・?、やっぱり大倒木で大変だったのでしょう」というと、「いえ、出会った二人組にこの先には倒木があり越せないからすぐ先を右にイヌブナの森へ上がって、左へ東尾根から森ノ案内所へ降りた方がよいと教えられて、今そこから降りてきました。その荒地は見ていないんです。」とのことだった。
 「へ~、イヌイブナの森まで登られたんですか、それはご苦労さまでした。窯ケ谷ではほとんど道は大丈夫でしたが、それでも渡渉も大変でしたでしょう。それにイヌブナの森へ迂回されたとはこれまた大変だったことでしょう。返って最初に登ってこられた西尾根コースへ降られた方がよかったかもしれませんね、変なコースをお教えし申し訳ありませんでした。」と謝る始末となったのだが、この方は「イエ、返って変化ある道を教えてもらいよかったです。」と笑顔で話されていた。

 「さぁ、この後はどうされますか、わたしは善峯から西山キャンプ場まで歩く予定だったのですが、今日は疲れてしまい予定変更で善峯寺からバスで帰ります。」といえば、「私もそうしましょう。」とのことで歩きだすとすぐで二か所で植林の杉の大木が倒木で道を塞いでいるではないか。
 今日は最後まで大変だったな、仕方ないこの倒木地を潜ったり巻いたりしながらだったが、その場所以外は以前と変わらず歩くことが出来て、お陰で最終便15:24発に間に合わせることができたのでよかったのだ。

 それにしても、本日の山歩きは経験したことのないほどの荒れ模様がすごい倒木の連続で、すっかり体力を使い果たしてしまった。しばらくは山登りは断念せざるを得ないのだろうか。イヤ、それは困るというもんだ。フゥ、苦笑い・・

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