比良 八幡谷右岸尾根から釣瓶岳 ’18.11.2 曇のち晴

JR堅田=細川-細川城跡-P713-Ca1040-釣瓶岳-ナガオ-広谷-イブルキノコバ-ダケ道-JR比良 

 途中トンネルを出るとバス道はしっかり濡れていた。あれまぁー今朝がたは小雨交じりだったのだろうか。下車時にドライバーさんによれば、「高島時雨だったが、もうこれから上るだろう。でも、山は残るかも知れないヨ・・、気をつけて登ってや~」とのことで、やっぱり明日にすべきだったか、でももう後の祭りである。

 バスの終点細川前(9:50)から、右へは細川尾根だが、今日は川の右岸を登ろう。すぐで細川城址だ。そしてドンドン上り道ですぐに汗が滲んできて半時間でCa500あたりのここが正味の登山口だ。そしてP713mまでが最初の急登だから、「いよいよ登りが始まるのだ。気を引き締めて歩けよ!」と、自らにテンションを上げるのだ・・。

     
 細川バス停前の左道を上がる   半時間で山中の取りつきである 

 ヤセ尾根を息せき切って上っていけば、7兄弟の若いブナが「頑張れよ」と応援してくれてるように感じて意気盛んに登るのだ。でも、これまた半時間でややフラットに感じる枯れた倒木が転ぶP713であった。一口濡らせばすぐ進もう。でも、フラット地上部に松の木が多く残っているが、このあたりにはマッタケが採れたのだろうが、昨今はどうだろうか・・とまたまた食い気の意地が顔を出してくる。・・笑

 このあたりから、次第に色づいてくるような雰囲気が出てきた。自然林が続き気分上々の道が、イヤ、道はないので枯れ木や倒木の無い斜面を探しながら前進だ。

     
P713地には古く枯れた倒木が目印だ    マッタケなく右前方に武奈がいるハズ 
     
急や緩斜面が交互に    この地は稜線へ上がったも同然気分 

 釣瓶岳手前のCa1040mのニセピーク到着(11:45~12:10)だ。だが、この空模様では泣けてくる・・。すぐにやや鞍部の風よけ地で昼飯であったが、ガスが武奈や釣瓶の頭に取り巻くほど寒かった。でも、午後からは晴るだろうから、もう少し待ってみようかとは思ったのだが、寒さがひどく歩けば暖かくなろうと腰を上げてしまった。ところがこの行動が失敗だったのだ。・・泣

     
 P1040mの稜線ピークからの武奈ケ岳にコヤマノ岳  このナガオの景色ではつまらないが辛抱してオニギリを詰め込もう・・  この後に行く釣瓶岳は指呼の間だが・・

 15分もかからず釣瓶岳だが、どうやらこの山頂から富士山の頭を確認した方があるようで、その印の標示が新たに見られた。調べると、昨年12月16日に東へ257km先に富士山の頭が 南アルプスの稜線越しに見えたらしい。でも、相当高性能なカメラでないと写らないだろう。 カメラはともかく、富士山は魅力だが、撮った方があることだけでもうれしい情報だろう。

 さて、この頂周辺には大木が魅力地でもあるのだ。それはブナにアズキナシの古木だが、残念ながらその古木の担い手でもあるアズキナシのやや細めの成木が、台風でだろう幹の途中からやられていたのが残念だった。それでも主の元気な古木の幹に触れて元気をもらってきた。

     
 釣瓶岳(1098m)三角点無  ブナにつるむイワガラミも黄葉始まり 丸坊主でアズキナシの枯れ葉散乱

 さて、今回は比良山塊では最も多く分布すると思われる紅葉期に目立つ種を取り上げてみよう。それはムクロジ科カエデ属の仲間であるコミネカエデの紅葉がすごく、やけに華やかに目立っていた。この種は亜高山帯以上で見られるミネカエデと同じような葉姿であるが、コミネカエデのこちらは低山に分布で、比良山塊にこれだけコミネカエデがあることを、今回じっくり観察してみて初めてその多さを知ったのだった。

 でも、分布の多さでは比良山塊でムクロジ科以外のNo1は、やっぱりクスノキ科クロモジ属のシロモジだろう。この種が比良ではコミネカエデより優勢だろう。そしてこの時期は圧倒的に鮮やかに黄葉景色となり、すばらしい光景を広げてくれているのだ。

         
コミネカエデの紅葉    青空の元、紅葉のカエデが嬉しい・・    葉はふつう5裂し、中央裂片が尾状に長い
         
シロモジはどちらかといえば谷筋に近い所へ分布するようで、まさに黄葉の王様だろう    葉姿が独特でふつう3中裂するのが特徴 
     比良山塊のシロモジはこれまでから黄葉
するものだと決めつけていたが、本日一ケ所
のみ日当たりのすこぶる良い地で黄葉でなく
紅葉してたシロモジに初めて出会えた。

 樹木たちの紅葉時期にはカエデ類はもと
より、ほとんどが紅葉、黄葉どちらもあり得る
ようだ。

 そうはいってもわたし的には、昨今は紅葉の
方が黄葉より総体的に少なそうに思って観察
しているのだが・・。
   
シロモジでの黄葉でなく紅葉は初見         珍しいシロモジの紅葉は定点観察したい

 紅葉のメカニズム

 さて、カエデ類に限らず、樹木達は晩秋には美しい紅葉景色を繰り広げて、多くの山の愛好者を喜ばせるのだが、その紅葉についてのメカニズムを考えてみよう。

 そもそも紅葉は実は樹木の生態保護システムと言われる。つまり木々が自分の生命を守るために知恵の一部のようだ。落葉樹が紅葉するのだが、その名のごとく毎年秋から冬にかけて葉を落として丸坊主になる。植物というのは常に葉の気孔から水分を蒸散させて胎内の水分量を調節しているのだ。
 雨量の多い時期には余分な水分はどんどん体外に蒸散させればよいのだが、冬期になって水分量が少なくなってくれば、葉からの蒸散は逆に木に必要な水分量まで減らしてしまうのだ。水分は植物にとっては命綱だから、必要な水分量が不足すれば命に係わるだろう。
 そこで、水の少ない季節は蒸散を防ぐために、葉を落として身を守るわけで、この落葉に至る一過程として、紅葉、黄葉という現象が起きるというわけだ。つまり紅葉、黄葉は落葉の準備段階すなわちプロセスということだろう。

 さて、その紅葉の具体的なメカニズムだが、前述のように秋以降の気温の低下にともない、葉柄基部(つけ根)の部分に離層というコルク層が形成されることにより、葉と枝の間で水や養分の流れが悪くなって、「光合成により作られた糖分が葉に蓄積され、これからアントシアニンという赤い色素が形成される。そしてクロロフィルという葉緑素が分解されて、緑色の色素が減少すると紅葉となるのだ。」、そして、「これらの過程でいろいろな紅葉になる一方で、今まで目立たなかった黄色のカロチノイドという色素が目立って現れて黄葉」となるのだ。いずれにしても植物の種類や土壌、日照などによって、これらの過程には個性があり、赤、黄やまれに橙、暗紫色というように、様々な色あいの葉となるのだ。

 本日見られた上記のコミネカエデ以外にさまざまな紅葉等だったが、同じカエデ類でも前述のような訳で色合いなども同じものはほとんどなさそう。

       
 オオイタヤメイゲツ  ヒナウチワカエデ ヤマモミジ  ウリハダカエデ

 その他の紅葉等で目についた種をアップしておこう。

       
 後半は青空続き、稜線上のブナも見事に  谷あいのサワグルミは坊主となってた 稜線上のネジキで黄葉は見たことなし  ドウダンツツジも紅葉がほとんど 

 今年ほど比良山塊の紅葉を楽しませていただいたことはない。しかし、まだまだ観察力が足りないのが悲しい。さらに頑張りたいのだが・・それにしても前回(10/25)あれだけ多く咲いていたリンドウは全く目にしなかったが、この種の開花期間は短い種のようだ。他方、ウメバチソウは長そう・・。。

 本日の山歩きは細川から八幡谷右岸尾根を静かに登って釣瓶岳、そしてナガオからは紅葉のいろいろが見られ、ダケ道はカモシカ台上あたりまではずっと紅葉観察しながらの歩きだった。今回は細川の登山口から八雲ケ原までは誰一人とも出会わず、一転して北比良峠ダケ道からは多くのハイカーが足早に下山されるため、そのほとんどの方に追い越されながら下山するありさまであった。それでも比良駅(16:30)着だったが、JRの不審物点検等の原因で帰宅はおよそ2時間近くも延着となってしまった。トホホ                                                                            本日のトラックは次のとおり(地図クリックで拡大)

八幡谷右岸尾根からの釣瓶岳 

ホームヘ

181107.htmlへのリンク

181111.htmlへのリンク

181123.htmlへのリンク

inserted by FC2 system