ポンポン山のオオルリソウ ’20.7.2 曇のち晴

 西山山系ではこのオオルリソウは鹿の食害ですっかり食べつくされ、昨今では極めて希少種となっている。それでなくともこのオオルリソウは毎年生える多年草ではなく、2年草のためにいつもの花期には見られる花ではない。極めて数少ない山野草であることも知っておきたい。もちろん、ブログ等においては見られた場所等は絶対に表記は厳禁であることもネチケットとして遵守したいものだ。

 ちなみに、今回見た株で一番草丈が高いのは70cmだったが、図鑑では高さは60~90cmとあるので、さらに成長するかもしれない。なお、次回には図鑑にあった「筒部の上部に鱗片上の付属帯がある」との解説を見逃したので、確認の宿題としたい。シュン

 
オオルリソウ(ムラサキ科オオルリソウ属)  花期は7~9月

 花は4mmとあるように、極小さな花のために拡大画像でご覧頂こう・・。

 
オオルリソウは花冠先が5裂し、径4mmで淡青紫色 

 さて、山は長くやっておれば、ただ、歩くだけでは飽きがくるのは誰もが経験するのだが、こちらはとっくに野草観察に興味が移っている。それは山を初めて年端も行かない世代は歩け歩けばかりなように、次に話す内容には興味が無ければ何でもないことであろう・・。

 だがそのような人たちも、いずれは山の楽しみ方も方角も変わってくるというものだ。その山の楽しみを、人生最後まで続けていければこのうえない喜びが長く続くこととなろう・・。と思って日々楽しんでいるのだ。そう、オオルリソウとオニルリソウの違いなんてどうでもいい・・。と言ってしまえばそれまでだ。でも、人生なんでも知ることによって、更なる興味が湧いてくるというものだ。自然観察を飽きもせずに行えるのは、楽しさがそこにあるからではないだろうか・・。

         
オオルリソウの茎、萼や花柄に圧毛がある    例 近縁種オニルリソウには開出毛が目立つ     オオルリソウの葉は互生で長さ10~15cm

 この時季ともなれば、山野草はもちろん、樹木類でも開花種は少なくなってくる。今日はこのクマノミズキの咲き残りに出会うことができた。この種もあちこちにあるのだが、不思議とクマノミズキのこの個体は咲いているが、あの木には花はつけていなかった・・という感じに思っている。
 その原因たるやいろいろあるのだろうが、やっぱり人間と一緒なのだろう・・?。いずれにしても、ミズキにクマノミズキは高木のためにハイカーにはほとんど興味湧く樹種ではなさそうとわたし的には感じている。それが証拠に、今回もこの木をこちらが撮っていた時に、そばを通りがかったカメラを担ぐ男性が4人通過されたが、誰とも立ち止まって何を撮っているのかとの声かけはなかったのも珍しい・・。いずれも「そんな樹木など関心ない!」と見受けたのだが・・?。

         
ミズキは一足早く花は終わっているが・・。   ミズキより 背丈はクマノミズキがやや低いか    葉はこちらが対生が見分け方のポイントになり

 ケアクシバには、「若枝は緑色で短毛と腺毛が生える。」とネット上にあるのを後で知ったために今回はその点の観察だった。

     
ケアクシバはまもなく散るだろう・・。    若枝は10倍ルーペで短毛と腺毛が生えるを確認 

 シオデもいよいよ満開近しであった。

         
 シオデ(サルトリイバラ科サルトリイバラ属)    葉表だが、葉裏もほとんど同じ色で変わらない   シオデの尾っぽは牛の尾っぽに似ると見られた 

 ツチアケビも見事に咲き誇り

     
ツチアケビは次第に開花が多くなってきた~ *1

 山野草もほとんど数少ない。

         
ノアザミも名残花  アメリカオニアザミはまだまだ元気  サワギクはほとんど終わり 
         
ギンレイカはこちらでは初見*2     ヤブカンゾウは咲き初め     ヒメ ヒオウギズイセンもこれから

 樹木は開花の遅組が果実化始まる。イボタノキの葉主脈のみ凹み、葉先丸いのが特徴。タンナサワフタギは今年は裏年か。西山では花は少なかったが・・?。

     
 イボタノキ     タンナサワフタギ 

 最後にマタタビについて面白い話しをしよう。このマタタビの実には「かぼちゃ型」と「どんぐり型」とがあり、↓画像はかぼちゃ型である。それは、いわゆる虫こぶ又は虫エイと言われ、よく言われるマタタビ酒には両方とも使われる。
 花の開花時期に「マタタビアブラムシ」が寄生し、果実は正常に成長せず「かぼちゃ型」に、こぶ状に成長した果実となる。もっとも10月頃には赤っぽくなって熟すが、だいたい熟す前に落ちてしまうようだ。また、正常な姿は細長い実になる方で長楕円形で2~3cmと細長く、いわゆるどんぐり型となり10月頃には橙黄色に熟す。

 マタタビとサルナシは同属であり、両者の同定にはいろいろあるのだが、あまり聞かない方法も知っておきたい。それは前者の幹の髄は詰まっているが、後者の髄は隔壁に隔てられ空隙(くうげき)(すき間)がある点も相違する。ただ、この方法は枝を傷つける点で問題があり、あまりお勧めではないが・・。

 もう一話、マタタビは「猫がよろこぶマタタビ」としても多くの方がご存じだろう。わたしも山から枝葉を少しばかり持ち帰って近所の猫へ遊ばせた経験がある。ネット上にも次のような記述があった。

 「ネコ科のライオンやトラなどの大型動物類も、マタタビの臭いに恍惚を感じ、強い反応を示すために『ネコにマタタビ』という言葉が生まれたとのことだ。このように猫にマタタビの臭いを嗅がせると興奮・陶酔状態になり、唾液分泌が促進するらしい。
 これはマタタビの葉、茎、実に含まれている揮発性の物質(マタタビラクトン類)が、猫の神経を刺激したり麻痺させたりして、性的快感を覚えさせるような成分が出てくるからだといわれている。なお、このマタタビ以外にも、同様にネコ科の動物に恍惚感を与える植物としてイヌハッカ(キャットニップまたは西洋マタタビ)がある。」とのことだ。

 
マタタビの虫こぶ 

*1ツチアケビと *2ギンレイカはいずれもRDB京都府カテゴリーの準絶滅危惧種です。大事に見守ろう!

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7/08.シャシャンボ、アラゲキクラゲ

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